コロナ禍で衰える“呼吸筋”を鍛えることで期待できる健康効果って?

近年、長時間のマスク生活や、在宅勤務による姿勢の悪化により、若い世代でも呼吸筋が衰えつつあることが社会的な健康問題となっています。

そんな中、呼吸筋をトレーニングすることの有用性や情報を収集する「一般社団法人 RMTJapan(日本呼吸筋トレーニング 研究会)」は、呼吸筋を鍛えることでさまざまな健康効果が得られた研究結果を発表!

オンラインセミナーが開催されましたので、その内容をレポートします。

呼吸筋の衰えが与える身体への深刻な影響

まず、呼吸筋が衰えることによる身体への影響としては、運動機能の低下に加え、日常的に呼吸が浅くなることによる自律神経の乱れやそれに伴う不安・うつ症状など。

また毛細血管内の空気が不足し、細胞に十分な酸素や栄養が運ばれず、脳・臓器・筋肉など身体のさまざまな機能低下にまで影響を及ぼしてしまうそうです。

しかし、日本では呼吸筋を鍛えることの重要性が、まだあまり認知されていない現状があるといいます。

循環器疾患を吸気筋トレーニングにより機能改善させる可能性

オンラインセミナーはアメリカ・コロラド大学ボルダー校に所属する生理学者ダニエル・クレイグヘッド氏を講師に迎え、呼吸筋を鍛えることで、高血圧・脳卒中の発症リスクを下げる「吸気筋トレーニングによる循環器機能の改善の可能性」がテーマとなりました。

「高負荷の吸気筋トレーニング(IMST)は1日5分でできる、時間効率の良い運動として最適」とダニエル氏。運動に時間がとれない、余裕がない人におすすめできるそうです。

健康な成人36名をランダムで2チームに分け、それぞれ負荷の異なる吸気筋トレーニングを実施。

被験者に対し、専用器具を使用して30回/日・週6回のトレーニングを6週間実施しました。

一方のグループでは高負荷 IMST(最大吸気圧 75%、n=18)を使用し、もう一方のグループでは低負荷(最大吸気圧 15%、n=18)の器具を使用したシャム*トレーニングを行い、変化を検証したそうです。

(*同様の刺激を与え、効果があると感じることで自然治癒力を引き出し、公正かつ客観的に区別するために使われる偽刺激のこと)

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