番町小学校はエリートコースの始まり!? あの公立小学校が人気のワケ

第5回 公立小学校の失敗しない選び方
文部科学省が昨年12月に発表した「平成28年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校まですべて公立に通った場合の学費は約150万円で、すべて私立に通った場合の学費は約440万円。3倍ほどの差があります。

「お金持ちは私立に」というイメージを抱く人も少なくないかと思いますが、近年、都心部を中心に公立小学校でも「階層化」が進んでいるのだとか。

番町小学校はエリートコースの始まり!? あの公立小学校が人気のワケ

千代田区には名門公立学校が多い

例えば、目黒区の東山小学校や大田区の田園調布小学校、港区の白金小学校など、“ブランド校”と呼ばれる公立小学校はたくさんありますが、教育ジャーナリストの斎藤剛史さんは、「千代田区にある番町小学校は、古くから名門として知られている」と話します。

「『番町小学校』は、港区にある青南小学校、同じく港区の白金小学校と並んで、東京の三大名門公立小学校と言われています」(斎藤さん、以下同)

番町小学校はこれまで、日本最高峰の大学である東京大学への華々しいスタートを飾る入口とされてきたそう。

「番町小学校から始まり、麹町中学校、日比谷高校、東京大学というのが、かつてエリートコースの定番とされていました。ちなみに、番町小学校、麹町中学校、日比谷高校はいずれも千代田区にある公立の学校です」

また、斎藤さんが話してくれた学校以外に、千代田区では、麹町小学校や九段小学校といった公立小学校も人気のようです。

番町小学校に人が集まる理由

番町小学校が、東大へのエリートコースの始まりということはわかりましたが、人気の理由はきっとほかにもあるはず。斎藤さんに聞いてみたところ、「番町小学校に限らず、千代田区にある公立学校全体に言えること」と前置きし、以下のように続けます。

「千代田区には皇居や国会議事堂、官公庁の庁舎などがあり、NTTドコモや新日鐵住金、カルビーといった大企業の本社も集中しています。このようなところに勤める人たちは、比較的金銭面の余裕もあり、教育熱心であることが多いので、公立小学校といえども教育環境がよくなるのではないでしょうか」

私立小学校と違い、公立小学校の場合は、場所によって、居住実績がないと入れないなど、条件があります。こういった話を聞くと、「自分の子どもも通わせたい」という気持ちがじわじわと盛り上がってくるものですが、焦らずまずは一息。希望する公立小学校について、情報を集めるところから始めたほうがよさそうです。
(文・明日陽樹/考務店)

※本記事の情報は執筆時または公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

お話を聞いた人

斎藤剛史
教育ジャーナリスト
1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、旧文部省や東京都教育庁など主に教育行政の現場を取材する。「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリーのライター兼編集者。
1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、旧文部省や東京都教育庁など主に教育行政の現場を取材する。「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリーのライター兼編集者。