≪川上未映子さんのおススメPOINT!≫
女性にとっての結婚生活あれこれとか、悩みとか、対策とか、具体的な生活のあれこれを書いた2冊のエッセイもそうなんだけれど、とくに小説4冊は、こう、自分がどこでもないような場所にひとりですっと立ってる、みたいなイメージがしんしんとみなぎっているんですよね。そこでは激しい風が吹いているし、ものすごく寒いときもあるし、誰もそばにいなくてどうしようもなく孤立した場所なのに、なぜか、強い気持ちで、静かに深呼吸をくりかえしているような。素晴らしい本に出会ったとき、わたしはいつも断崖絶壁のぎりぎりのところに立っているような気持ちになります。
≪川上未映子さんのおススメPOINT!≫
この本たちもわたしにとっていわゆる「断崖絶壁本」です。「スタッキング可能」の帯文にあった、「どうかなあ、こういう戦い方は地味かなあ」の一文を見たとき思わず目頭が熱くなってそれからずっと焼きついています。メタに立って分析して怪我しないように傷つかないように生きるのもいいけれど、剥きだしの一回性と魂で、それぞれの煉獄のありさまと闘争を記録、そして物語った7冊です。フニクリフニクラ火の山へ。静かで熱狂的なすべての生活者に思わず不安になって挙動不審になるくらいの超ど級の幸あれ。
≪川上未映子さんのおススメPOINT!≫
人は色々なものに刺激を受けたり慰められたりして、今日を重ねて何とか生きたりするものだけれど、この道はいつか誰かが歩いた道なのだ、踏みしめられた道なのだ、っていうかよく見るとこのシミってなんか血痕に見えなくもないけれど大丈夫……? とにかく、この苦しみもこの幸せもこのどうしようもなさもこの辛さも何もかもを、すでに経験した女傑たちがいたのだ……見あげるようなそんな遥かな気持ちにも助けられたりもするものです。同情も馴れ合いも抜きにして、屹然とした「生きるってこういうことでしょう」が筋肉に突き刺さる、思わずひれ伏したくなる凄玉小説。
著者プロフィール

2007年、デビュー小説『わたくし率 イン 歯ー、または世界』(講談社)が芥川龍之介賞候補に。早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。
2008年、小説『乳と卵』(文藝春秋)で第138回芥川賞を受賞。
2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』(青土社)で中原中也賞受賞。
小説『ヘヴン』(講談社)で芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞受賞。初出演の映画『パンドラの匣』でキネマ旬報新人女優賞を受賞。
著書に『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』(講談社)、『ぜんぶの後に残るもの』(新潮社)、『すべて真夜中の恋人たち』(講談社)など。
川上未映子 関連作品

発売日:2014-07-09 35歳ではじめての出産。それは試練の始まりだった!
芥川賞作家の川上未映子さんは、2011年にやはり芥川賞作家の阿部和重さんと結婚、翌年、男児を出産しました。つわり、マタニティー・ブルー、出生前検査を受けるべきかどうか、心とからだに訪れる激しい変化、そして分娩の壮絶な苦しみ……妊婦が経験する出産という大事業の一部始終が、作家ならではの観察眼で克明に描かれます。時にユーモラスに、時に知的に、子供をもつということの意味を問いかけます。
さらに出産後の、ホルモンバランスの崩れによる産後クライシス、仕事と育児の両立、夫婦間の考えの違いからくる衝突、たえまない病気との闘い、卒乳の時期などなど、子育てをする家族なら誰もが見舞われるトラブルにどう対処したかも、読みどころです。
これから生む人、すでに生んだ人、そして生もうかどうか迷っている人とその家族に贈る、号泣と爆笑の出産・育児エッセイ!
発売日:2014-07-09 35歳ではじめての出産。それは試練の始まりだった!
芥川賞作家の川上未映子さんは、2011年にやはり芥川賞作家の阿部和重さんと結婚、翌年、男児を出産しました。つわり、マタニティー・ブルー、出生前検査を受けるべきかどうか、心とからだに訪れる激しい変化、そして分娩の壮絶な苦しみ……妊婦が経験する出産という大事業の一部始終が、作家ならではの観察眼で克明に描かれます。時にユーモラスに、時に知的に、子供をもつということの意味を問いかけます。
さらに出産後の、ホルモンバランスの崩れによる産後クライシス、仕事と育児の両立、夫婦間の考えの違いからくる衝突、たえまない病気との闘い、卒乳の時期などなど、子育てをする家族なら誰もが見舞われるトラブルにどう対処したかも、読みどころです。
これから生む人、すでに生んだ人、そして生もうかどうか迷っている人とその家族に贈る、号泣と爆笑の出産・育児エッセイ!
2007年、デビュー小説『わたくし率 イン 歯ー、または世界』(講談社)が芥川龍之介賞候補に。早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。
2008年、小説『乳と卵』(文藝春秋)で第138回芥川賞を受賞。
2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』(青土社)で中原中也賞受賞。
小説『ヘヴン』(講談社)で芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞受賞。初出演の映画『パンドラの匣』でキネマ旬報新人女優賞を受賞。
著書に『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』(講談社)、『ぜんぶの後に残るもの』(新潮社)、『すべて真夜中の恋人たち』(講談社)など。