五月人形を飾るのは「安全祈願」
一説によると、奈良時代以降、5月5日にお祝いすることが定着したと言われる「端午の節句」。そんな端午の節句のお祝いには、兜と鎧をまとった五月人形を飾る家庭が多いですよね。
しかし、「昔からの風習だから」「自分もそうやってもらったから」と、“何となく”飾っている人も少なくないはず。そこで、「どうして五月人形を飾るのか」を調べてみたところ、一般社団法人日本人形協会のウェブサイトが参考になりそう!
同協会のウェブサイトによると、兜や鎧を飾るのは武家社会から生まれた風習で、身の安全を願って神社にお参りする際、兜や鎧を奉納するというしきたりに由来しているとのこと。
兜や鎧は、武士たちの身を守る大切な道具。それと同様に、「大切な子どもを交通事故や病気から守る」という願いを込めて飾られるようになったのだとか。

鯉のようにたくましく…「立身出世」を願うこいのぼり
五月人形のほかに、こいのぼりも端午の節句に飾るもののひとつ。5月5日が近づくと、あちらこちらで風に泳ぐこいのぼりが散見され、なかには全長100メートルのジャンボこいのぼり(埼玉県加須市)やギネス世界記録にも認定された大小5000匹を超えるこいのぼり(群馬県館林市)など、こいのぼりを観光に活かす自治体もあります。
そんなこいのぼりは、江戸時代の町人階層から生まれた(とされる)風習。中国のとある伝説が由来だといいます。
“とある伝説”とは、「鯉が急流をさかのぼり、竜門と呼ばれる滝を登ると竜になって天に登る」というもの。こいのぼりは、この伝説に登場する鯉のようにたくましく、「子どもがどんな環境にも耐え、立派な人になるように」と、「立身出世」を願う飾りなのだとか。ちなみに、この伝説は「登竜門」という言葉の語源にもなっていると言われています。
このように、「五月人形」にも「こいのぼり」にも、それぞれ飾る理由があります。その意味をきちんと理解しておくと、より意義深いイベントになりそうです。
(文・山手チカコ/考務店)
出典:一般社団法人日本人形協会