子の言語理解力を高める素話のススメ

子の言語理解力を高める素話のススメ

第2回 子どもが読書好きになる秘訣は?
児童書を好んで読めるかどうかが、就学後の学力を左右するという。では、子どもが絵本から児童書に移行するタイミングに、親ができるサポートって? NPO法人子育て学協会会長の山本直美さんに話を聞いた。

「小さい頃に読み聞かせをたくさんしてもらい、絵本好きになった子どもは、比較的児童書への移行がスムーズにできます。集中力や言語理解能力がすでに備わっているのが、その理由です」(山本さん 以下同)

しかし、絵本が好きだからといって、必ずしも読書好きになるとは限らないそう。

「絵本と児童書の間には、実は大きなハードルがあるんです。それは、五感のうち人がもっとも影響を受けやすい『視覚』にあたる絵が、児童書には少ないこと。絵本をひとりで読めるようになっても、半分以上の子どもはストーリーではなく、絵やキャラクターを見て楽しんでいるだけという場合が多いのです」

子どもを本好きに導くためには、親が橋渡し役になる必要があるという。具体的にはどんなサポートができるのだろう?

子の言語理解力を高める素話のススメ

山本さんオススメの方法が「素話(すばなし)」だ。素話とは、本を見せずに耳だけでストーリーを読み聞かせること。第一段階では、子どもが慣れ親しんだ絵本で素話をし、集中して聞けるようになったら、今度は初めての絵本で素話をしてみよう。

「絵がなくても話が聞けるようになると、それまでぼんやりと聞いていた言葉を、初めて『生きた言葉』としてとらえることができるようになります。すると、言語理解能が深まるだけではなく、人の心情を想像する力やコミュニケーション能力も高まります。その結果、就学後の成績にも影響が出てきますね」

素話が聞けるようになったら、いよいよ児童書へステップアップ。絵本の世界観に近い、ファンタジックな短編ストーリーが入門には適しているそう。読み切ったことで満足感を覚える子どもにとっては、一日で読み終える長さの作品を数多く読むことが効果的。この体験の積み重ねで、次第に本を身近に感じられるようになるという。

「運動や楽器などと違って、読書に特別な才能は必要ありません。段階を踏んで丁寧に教えれば、その分子どもは本を好きになれますよ。そしていずれ、学業や仕事の選択肢を広げることに繋がっていくのではないでしょうか」

子育ては、自分ができなかったことを一緒にできるようになるチャンス。読書が苦手なママも、子どもと一緒に本と触れ合う生活を始めてみては?
(波多野友子+ノオト)

お話をお聞きした人

山本直美
山本直美
NPO法人 子育て学協会

幼稚園教諭を経て95年、NPO法人子育て学協会の母体株式会社アイ・エス・シーを設立。保護者と子どものための教室『リトルパルズ』開設の他、リクルート社事業所内保育施設運営、キッザニアの日本初出店に際し安全管理・プログラムの監修・助言も行う。

幼稚園教諭を経て95年、NPO法人子育て学協会の母体株式会社アイ・エス・シーを設立。保護者と子どものための教室『リトルパルズ』開設の他、リクルート社事業所内保育施設運営、キッザニアの日本初出店に際し安全管理・プログラムの監修・助言も行う。

NPO法人 子育て学協会

08年法人認証。「子育てに関わる保護者や人の成長」と「豊かな心と言葉を持つ子どもたちの育成」の実現、「幼児期の子どもたちが心身ともに健康に育つために必要な、子育てに関わる人々の意識改革・成育環境の向上」をミッションとして活動している。

08年法人認証。「子育てに関わる保護者や人の成長」と「豊かな心と言葉を持つ子どもたちの育成」の実現、「幼児期の子どもたちが心身ともに健康に育つために必要な、子育てに関わる人々の意識改革・成育環境の向上」をミッションとして活動している。