今年は夫婦で一緒にいる時間が今まで以上に長くなったという方も多いと思います。貴重な時間を過ごすことができたとは思いますが、一方で一緒にいるともめてしまうこともありますよね。いったいどうしたらもっと穏やかに過ごすことができるのでしょうか?今回は『賢い子を育てる 夫婦の会話』や『子どもが聞いてくれて話してくれる会話のコツ』の著者でNHK eテレ『すくすく子育て』でキャスターをしていた、フリーアナウンサーの天野ひかりさんに夫婦のコミュニケーションのコツを教えていただきました。
子どものコミュニケーション力は家族の会話から

我が子にコミュニケーション力をつけてほしいと思っているパパやママは、たくさんいると思います。思いやり、愛情、スポーツや芸術などの才能も、コミュニケーション力があって、はじめて相手に伝わり、その力を大きく伸ばせるものです。
そんなコミュニケーション力は、パパやママが言葉で教えて身につくものではありません。毎日の家族の会話の中で自然と育まれるものです。
子どもは「こうやって伝えると、お願いを聞いてもらえるんだ」「こういう言い方をすると、相手を怒らせてしまうんだ」など、パパとママの会話を聞いてマネをしながら、どの言葉を使い、どの言葉を使わないかを考えて育っていきます。家庭内の何気ない会話は、子どもにとって、良くも悪くも学びの材料になっているのです。
お兄ちゃんやお姉ちゃんがいる場合は、そのぶん家庭内の会話量が増えますから、おのずと学ぶ機会が多くなります。長子よりも弟や妹の方がソツなくコミュニケーションができる場合が多いのはそういう理由もあります。
「あなた」で始めるとケンカになりやすい

そう考えると、もちろん夫婦の間で穏やかにお互いの言葉や思いを聞く、基本的なコミュニケーションが大事だと感じられると思いますが、そうはいかないこともたくさんあります。
そこにはどんな理由があるのでしょうか?
ケンカになってしまう時、あなたはこんなことを言っていませんか?
「あなたは全然家事をしてくれないよね」
「あなたは自分の時間があっていい」
「あなたはわかっていない」
これは言われた方としては、やる気になりにくい言葉ですよね。この3つの共通点は「あなた」が主語になっていることです。このように「あなた」つまり相手を主語にして話し始めると、相手を責めたり、勝手に決めつけたりする言い方になり、要望はつたわりにくいのです。
また、これらは全て「相手への要望」になっています。要望は、裏を返すと、相手のしていることを非難することになります。だからこそ、言われたことで「そんなことないよ!」と腹をたてる人もいるのです。
では、この主語を「私」に変えてみたらどうでしょうか?
「私は、もっと家事をしてほしい」
「私も、自分の時間がほしい」
「私は、もっとわかってほしい」
こうなると、自分の要望を伝えることができます。一見、自分勝手のようにも見えますが、相手を責めていないというところがポイント。言われた方としても、腹を立てるようなことは少なく、「なるほど、そうなんだ」と受け止めやすいのです。いきなり要望をぶつけないことは、相手を傷つけないことにも繋がります。
配信: パパコミ