「老後の金銭的な不安」は誰にでもあるもの。ここでは、ファイナンシャルプランナーの稲村優貴子さん老後の生活に欠かせない年金について詳しく解説してくれました。今から年金を上乗せする裏技も!
ファイナンシャルプランナーの稲村です。日々の相談業務で年代を問わず多いのが、「老後が不安」という内容。大学を卒業してすぐの女性からこの相談を受けたこともあり、本当に驚きました。「老後なんてまだまだ先」と思っていると、老後資金が足りない「老後破綻」になりかねません。リッチにとはいかないまでもプチリッチな生活を送るためには、まず自分が年金をどれくらいもらえるか把握しておくことが必要です。ここでは、上乗せする方法も紹介します。
年金がいくらもらえるか試算しよう
若い人ほど、「年金なんてどうせもらえない」と思う人もいるかもしれません。もらえないことはなさそうですが、かなり少ないであろうという現実は知っておいた方がよいでしょう。
自分の年金がいくらもらえるかのヒントは、年に1回誕生日送られてくる「年金定期便」にあります。「ねんきんネット」にアクセスして、年金定期便に書かれている「お客様のアクセスキー」と基礎年金番号を入力すれば、このまま今と同じ収入のままだった場合に、65歳から年金がいくらもらえるか試算できます。働き方を変えたら(=年金の種類が変わったり、収入が変わったりしたら)いくらになるかというシミュレーションも可能です。
満額はどれくらい?
厚生年金の場合、満額だとどれくらいの年金額になるのでしょうか。厚生年金は加入期間と給与額に基づいて計算されるため、「20歳から何年働いて、いくら給与を得たからいくら」というズバリの金額が一人ひとり異なります。
例えば、就職し月給20万円で5年間働き、その後退職し専業主婦になった人は、5年分で平均20万円の給与で計算された厚生年金が支払われます。対して入社から退職せず初任給月20万円から徐々に昇給し、40年後の定年退職時は月給50万円になっていた人では、加入期間も給与額も多いため、その分もらえる厚生年金も多くなります。おおよそですが、平均月収が30万円で40年間厚生年金に加入していたとすると、受給できる厚生年金は83万円ほどです。それに加え、国民全員がもらえる国民年金は満額で77万円ほどなので、合わせると160万円の年金額です。1カ月で割り戻すと13万3,333円。月収30万円で40年間働いてもこの程度ということです。
個別相談では様々な人の試算をしていますが、体感的な数字でイメージすると、一般的な女性会社員(大卒から定年まで勤めあげた人)で月10万円から14万円前後です。
「ねんきんネット」で具体的な自分の年金額がわかれば、将来の生活には月いくら必要だから月々いくらずつ足りないとすぐにわかります。定年後のいわゆる老後生活が30年なら360カ月分と計算していくのです。
例えば自分の年金は月11万円、生活費が月20万円必要なら毎月9万円の不足です。それが360カ月続くと3,240万円です。短期間では到底用意できない金額です。もらえる年金額を早めに把握してしっかり準備しておきたいものです。
配信: トクバイニュース