抱っこ紐のタイプ別の特徴

抱っこ紐を選ぶコツは「メインで使う場面」をはっきりさせておくことです。抱っこ紐は大きく4種類に分かれており、それぞれ得意とするシチュエーションが異なります。
まずは、抱っこ紐のタイプごとに、どのような使い方に適しているのか確認しておきましょう。
キャリータイプ
「キャリータイプ」はリュックのような肩ベルトと赤ちゃんの背中を支える面、太めの腰ベルトのついた、広く使用されている一般的な抱っこ紐のことです。
付属のパッドを使用したりストラップを調節したりすることで、「新生児から36カ月ごろ」まで長く使用できるものもたくさん見つかります。
「抱っこしたまま家事や買い物をしたい」「なるべく多くの機能がほしい」というのであれば、キャリータイプのなかから選ぶとよいでしょう。
スリングタイプ
「スリングタイプ」とは、片側の肩から反対側の腰にかけて、ハンモックのように装着して使う抱っこ紐のことです。
カンガルーの袋のように、赤ちゃんをすっぽり包み込んで使用します。成長してきたら、おしり部分だけを乗せて抱っこのサポートとしても使えるデザインです。
折りたたみやすいため、「かさばらないで持ち運べるタイプがほしい」「セカンド抱っこ紐として使いたい」という人におすすめします。
ラップタイプ
「ラップタイプ」は「ベビーラップ」とも呼ばれ、ママの体にギュっと巻きつけるようにして使用する密着度の高い抱っこ紐です。
一体感があるため、首がすわる前の赤ちゃんも安定して抱っこしやすいでしょう。両肩・背中・腰と重みが分散されるため、1点に疲労が集中するということもありません。
「赤ちゃんをしっかり固定したい」「見た目がかわいいものがいい」という場合は、ラップタイプから探してみてはいかがでしょうか?
ヒップシートタイプ
「ヒップシートタイプ」は、赤ちゃんの座面を大人の腰部分に取り付け、座らせるようにして使用する抱っこ紐です。
ウエストポーチのような形状の抱っこ紐に乗せるだけのため、赤ちゃんを手で支える必要があります。支えが欲しければ、キャリアが付属しているタイプを選ぶとよいでしょう。
「抱っこ紐に収納できる部分がほしい」「手早く乗せたり降ろしたりしたい」という場合は、ヒップシートタイプがぴったりです。
抱き方のバリエーションは4タイプ

「赤ちゃんを寝かせるか縦に抱くか」「対面するか同じ方向を向くか」「抱っこするかおんぶするか」といった、抱き方の面から抱っこ紐を選ぶ方法もあります。4タイプの抱き方別に、使用感・安全性・使える期間などについてまとめました。
横抱っこ
横抱っこは、「赤ちゃんが寝ている姿勢をキープできる」のが特徴です。「生後すぐから首がすわるまで」は、基本的に横抱っこになります。
早いうちから縦抱っこを好む赤ちゃんもいるため、使う期間は「長くて生後6カ月くらいまで」とあまり長くはありません。
自分の腕だけで抱くよりも安全性が増すため、産後に退院するときや「お宮参り」などに重宝します。一方で、横幅があり、片手を添えておく必要もあるため、家事などアクティブに動くには不向きです。
対面抱っこ
対面抱っこは、「いつでも赤ちゃんの表情を見て体調を確認できる」のが特徴です。特に蒸れやすい夏は、熱中症を予防するためにこまめな体調チェックが欠かせません。
対面式は自分と赤ちゃんの胸をぴったりくっつけるようにして固定するため、「いつでも手を伸ばせる」安心感があります。首がすわる「生後3~4カ月ごろ」から使用可能です。
両手が空くため、買い物の際などにも不便には感じません。多くの家庭で利用されるスタンダードな抱っこの仕方で、常時支える必要がない分「長時間使える」点もポイントです。
ただし、自分の足元が見えづらくなるため、転倒しないよう注意しましょう。赤ちゃんのふくらみで家事がしづらいという点もデメリットです。
前向き抱っこ
前向き抱っこは「赤ちゃんがママと同じ景色を楽しめる」のが特徴です。自分の胸と赤ちゃんの背中がくっつくようにして抱っこします。
お散歩中に何かを見つけたときも、対象に近づくだけで簡単に赤ちゃんに見せてあげられるのが便利です。腰回りがしっかりして、お座りができるようになる「生後6カ月を過ぎごろ」から使い始めましょう。
なお、抱っこ紐によっては、赤ちゃんの股関節に負担がかかりやすくなります。赤ちゃんの両足は「M」を描くように開いているのが自然な形です。
「布地が赤ちゃんの太ももを腰の高さと同じくらいに支えられない」ようであれば、姿勢がくずれてしまうため長時間の抱っこは避けた方がよいでしょう。
おんぶ
おんぶは「赤ちゃんを背負ったまま買い物や家事がしやすい」のが特徴です。重めのリュックを背負っている感覚で、おんぶしていても自由自在に体が動かせます。
赤ちゃんの寝かしつけと家事を同時進行できるため、使用頻度は高いといえるでしょう。ただし、赤ちゃんの顔が見えないため、ときどき鏡などで確認する必要があります。
赤ちゃんを常時確認できないことからも、「首が完全にすわってから」使うようにしましょう。背負い方にもコツがあり、慣れないうちは外でおんぶするのが難しいかもしれません。
しゃがんだ際や前かがみになったときに落ちそうになることもあるため、十分に気をつけたいところです。
選び方のポイント

使いたい抱っこ紐のタイプが決まったら、次は同じタイプのなかから絞り込みをしていきます。そのときにチェックしたいのが「対象月齢」「素材」「機能性」の3点です。なぜその3点がポイントとなるのか、重視すべき理由について確認しましょう。
対象月齢を確認する
第一に、「いつ必要か」「何歳ころまで使用したいか」を考えて選びましょう。抱っこ紐の対象月齢の目安は、商品によって異なります。表示された月齢以外の赤ちゃんに使用すれば、思わぬ事故やけがにつながってしまう可能性もゼロではありません。
月齢だけではなく、体重の制限もあります。成長スピードには個人差がありますが、「何kgの赤ちゃんまで対応しているのか」も把握しておくことをおすすめします。
なるべく長く使いたい場合は、「ストラップの長さが調節できるもの」や「新生児から使うためのオプションアイテムのあるもの」などを選ぶとよいでしょう。赤ちゃんの成長に合わせて、抱っこ紐の仕様を変えられます。
通気性のよい素材を選ぶ
赤ちゃんは基本的に暑がりです。抱っこ紐は、メッシュ素材など「通気性のよいもの」を選びましょう。生まれて間もないときは「大人より1枚多く」といわれますが、それは新生児がまだ体温調節がうまくできないためです。
外出が増え始める3~4カ月ころには動きも活発になり、「大人より1枚少なく」が基本となります。大人と密着していれば、冬場でも赤ちゃんは汗をかくものです。特に、泣いたときや眠りに落ちるときは大量の汗をかくでしょう。
オーガニックコットンなどの「肌当たりがやわらかい素材」や、「洗濯機で洗える抱っこ紐」も、肌トラブル防止に役立ちます。
機能性にも注目する
一見同じような抱っこ紐であっても、その機能性は様々です。「何よりも安全面を重視したい」というのであれば、赤ちゃんの腰に直接巻きつける「安全ベルトが付属しているもの」をチェックしておきましょう。
また、肌の敏感な赤ちゃんに、紫外線の浴びすぎはよくありません。夏場でも気軽に出かけたい場合は、「紫外線カット機能のあるケープ付きのもの」も候補に入れておきます。
背もたれ付きのインナークッションである「新生児用のパッド」も便利です。首がすわってからの使用を推奨されている対面・前向き抱っこ用に取り付けることで、首がすわる前の新生児からでも使えます。
製品ごとにオプションとして追加できるグッズが異なるため、気になる抱っこ紐を見つけたら必要な機能を備えているかどうかをしっかり確認しておきましょう。
キャリータイプのおすすめ抱っこ紐

4タイプのなかでも一般的に使用されることが多いのが、キャリータイプの抱っこ紐です。その分選択肢も多く、何を購入してよいか迷う人も少なくありません。
機能性と人気を兼ね備えたキャリータイプの抱っこ紐について紹介します。いずれも対面抱っこ・前向き抱っこ・おんぶなど、様々な抱き方が可能です。
アップリカ「コアラ ウルトラメッシュ」
「アップリカ」といえば、1947年創業の実績あるベビー用品メーカーです。取り扱っている店も多いため、ベビー用品を探しているときに1度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
通気性抜群の抱っこ紐「コアラ ウルトラメッシュ」は、人間の自然な動きにフィットするよう設計されています。腰のサポートパッド「腰らくサポートパッド」が反り背や猫背を防ぎ、抱っこしていても姿勢が崩れません。
赤ちゃんの頭を支える「ホールディングパッド」を装着すれば、首がすわる前の横抱っこスタイルも可能です。対面・前向き・おんぶにも対応しており、「新生児期から最大36カ月・体重15kgまで」長く使用できます。
エルゴベビー「OMNI 360 クールエア ブラックスター」
ハワイ生まれのブランド「エルゴベビー」のベビーキャリアは、赤ちゃんの快適性を第一に作られています。子育て世代の注目を集め、パパママグッズに関わる数々の賞を獲得してきました。
「OMNI 360 クールエア」は対象月齢が広く、「新生児期から最大48カ月・体重20kg」になるまで使用できます。ポリエステル100%のメッシュ素材で、洗濯機を使用した丸洗いも可能です。
ヘッドサポート機能があり、新生児期の使用でも別売りのインサートを購入する必要はありません。万が一の落下事故を防ぐため、抱っこ紐の内部に装着するベビーウエストベルトも付属しています。
日本エイテックス「サンクマニエル プレール」
「お手ごろな価格帯で機能性の高い抱っこ紐がほしい」という人には、「サンクマニエル プレール」がおすすめです。吸水性・速乾性に優れた「アクアドライ」素材を使用しており、抱っこ紐の中に湿気がたまるのを防ぎます。
大人の腰部分のサポートパッドがない分、380gと軽量でコンパクトにたためるのが特徴です。簡単に装着できるため、車での買い物や、赤ちゃんがぐずってサっと使用したいときに便利でしょう。
対象月齢は「新生児から36カ月・体重15kgまで」です。赤ちゃんの頭にあたる部分に専用ピローを入れておけば、首すわり前の赤ちゃんの頭と首をしっかり支えてくれます。
ベビービョルン「ベビーキャリア ONE KAI Air」
「ベビービョルン」は、スウェーデン発祥のブランドです。抱っこ紐のほかにも独特なフォルムのバウンサーが人気で、育児系の雑誌にたびたび登場しています。
通常タイプの「ベビーキャリア ONE KAI」は、赤ちゃんが触れる内側はコットン100%、外側はコットン60%+ポリエステル40%です。メッシュ素材がよい場合は、ポリエステル100%の「ONE KAI Air」を選びましょう。
装着方法がとてもシンプルなため、1人でもおんぶが簡単にできます。ぐいっと引っ張るだけでストラップの長さを調節でき、パパとママとで抱っこを交代するときの手間も少ないでしょう。
スリングタイプのおすすめ抱っこ紐

続いて、スリングならではの個性やおしゃれ感のある抱っこ紐を紹介します。同じスリングでもまったくタイプが異なるため、抱っこ紐の新しい魅力が発見できるかもしれません。
ベッタ「キャリーミー デニム」
「抱っこして!」とかわいらしいネーミングの「キャリーミー!デニム」は、赤ちゃんの体のラインにフィットするように立体裁断されたスリングです。
デニム地のため丈夫で扱いやすく、ファッション性が高いのがポイントでしょう。対象月齢の目安は「新生児から生後約24カ月まで」です。
スリングの長さは、背面にくる部分のファスナーの組み合わせで調整します。ファスナーにはロック機能がついているため、使用中に外れることはありません。
Cuby「ベビースリング」
Cubyの「ベビースリング」は、幅のたっぷりした大きめのスリングです。大人の肩や赤ちゃんの足にあたる部分などの要所にクッション性を持たせ、抱っこしているときの負担を減らします。
体の小さなうちは全身がすっぽり包まれるため、赤ちゃんはママのおなかの中にいたときのようにリラックスできるでしょう。
素材はオーガニックコットン100%で、通気性抜群です。スリングはバックルで着脱しますが、内部にさらにセーフティーストラップをつけて安全性を高めています。「新生児から24カ月ごろ」まで使用可能です。
FILT「トンガフィット」
FILTは、ネット製品の専門メーカーです。もちろん「トンガフィット」も全体がネット状に編み上げられているため、これ以上ない通気性を確保できます。
特に30度を超えるような真夏日には、赤ちゃんだけではなくママにとっても通気性は重要です。日本ではあまり見られないデザインで、個性的なファッションを好む人にもぴったりでしょう。
また、抱っこ紐を持っていくかどうか迷う場面というのは、意外に多いものです。約120gのトンガフィットなら荷物にもならず、いざというときの腕のサポート役として重宝します。対象月齢は、お座りができるようになる「生後7カ月以降」です。
ラップタイプのおすすめ抱っこ紐

ラップタイプは密着度が高いだけに、肌触りや丈夫さなど生地の質に注目して選ぶことをおすすめします。ここでは、ふたつの抱っこ紐について、素材の特徴や使い心地に焦点を当てて見ていきましょう。
Konny「抱っこ紐」
Konnyの「抱っこ紐」はシンプルかつ上質な印象で、カジュアルにもフォーマルにも合わせやすいのが特徴です。紫外線カット率は98.5%と高く、抗菌・抗ウイルス加工も施されているため安心感もあるでしょう。
権威のある国際機関「IHDI(国際股関節異形協会)」による認証を受けており、抱っこ紐の使用による赤ちゃんの股関節への負担がごく少ないことがわかります。
使用される「コアヤーン糸」は、芯にポリエステル、内部に丈夫なスパン糸、外側はコットンという、まさに繊維のいいとこ取りをした糸です。
赤ちゃんの成長に合わせて自然に糸が伸びるため、新生児のうちからずっとジャストサイズで使用できます。商品は「オリジナル」とメッシュタイプの「サマー」の2タイプで、「新生児から体重20kgまで」対応です。
BABY K'TAN「アクティブキャリア」
「アクティブキャリア」はその名の通り、様々な抱き方で赤ちゃんとのアクティブな生活をサポートしてくれます。
新生児のときにはスリングのようにすっぽり包み込み、首がすわったら対面抱っこや前向き抱っこも可能です。スリングタイプとラップタイプのメリットを兼ね備えた抱っこ紐といえるでしょう。
ポリエステル100%でできた素材はスポーツシャツに似た手触りで、通気性と速乾性に優れています。洗濯機で水洗いでき、いつも清潔に使用できるのもうれしいポイントです。
・商品名:BABY K'TAN アクティブキャリア
ヒップシートタイプのおすすめ抱っこ紐

ヒップシートタイプは作りがシンプルなものが多く、サイズの調整も手早くできます。違いが出るとすれば、抱っこサポートの機能ではなく、付属品や収納力といったサブの機能になるでしょう。ここでは、特徴の異なるふたつのヒップシートを紹介します。
kerätä「ヒップシート」
ケラッタ(kerätä)の「ヒップシート」は、赤ちゃんの背中を支えるキャリアパーツを装着することで、キャリータイプとしても使えます。
「生後3~36カ月ごろまで」が対象月齢です。ぴったりと赤ちゃんと密着するわけではないため、首がしっかりすわったころからだと使いやすいでしょう。
座面は大人のおなか側へ向かって30度の傾斜がついており、赤ちゃんを乗せると自然に胸がくっつくような形で姿勢が安定します。
bebear「ベビーアムール ウエストキャリー」
ごくシンプルなヒップシートを探しているならば、bebearの「ベビーアムール ウエストキャリー」がぴったりでしょう。肩ベルトをつけたり外したりするのは、意外と面倒です。
自分で歩くのと抱っこを繰り返すような「赤ちゃんに体力がつくまでの時期」には、特に重宝するのではないでしょうか?対象月齢は「3~36カ月」です。
ポケット部分はおしりふきやおむつ、スマホなどが入れられます。家の鍵などの小物を入れられるようなサイドポケットもあり、収納力は十分です。
まとめ
抱っこをサポートしてくれる抱っこ紐は、外出するときだけではなく寝かしつけや家事など様々な場面で活躍します。
とはいえ、どんなに人気のある抱っこ紐も、目的にフィットしていないとあまり使用しなくなってしまうかもしれません。けして安い買い物ではないため、特徴や機能性について購入前にじっくり吟味しておきましょう。