子どもの包丁デビューはいつ?

包丁は使い方を誤ると大変危険で、小さな子どもに使わせるのはためらわれます。子どもに料理を教えるママたちは、何歳ごろから子どもに包丁を与えたのでしょうか。子どもの包丁デビューについて見てみましょう。
3歳ごろを目安に考える
子どもの包丁デビューは3歳ごろを目安にする家庭が多いようです。この年齢ならきちんとコミュニケーションが取れる子どもが多く、手の機能もしっかりしてきます。子どもが包丁に興味を示しているのであれば、初心者用の包丁を持たせても大丈夫でしょう。
基本的に、包丁を与えるかどうかのタイミングは、子どもが「包丁に興味があるか」「包丁を安全に使えるか」によります。
子どもが包丁に興味があって使うときのルールを守れるのであれば、2歳や1歳でも持たせてあげて構いません。
一方、3・4歳でも約束を守れなかったりすぐにかんしゃくを起こしたりする子どもなら、包丁を安全に使うのは困難です。包丁デビューはまだ早いと考えられます。
子ども用包丁の種類

子どもに包丁を与えるときは、簡易なものから徐々に本格的な包丁へとステップアップしていくのがおすすめです。子ども用の包丁にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
初めは刃がない包丁
子どもに最初に与える包丁は、刃がないタイプがおすすめです。刃の危険性を理解できていない子どもは、うっかり刃に触れてしまうかもしれません。刃をつぶしてあれば、子どもがケガをする危険性は低くなります。
包丁デビューしたばかりの子どもが学ぶべきなのは「正しい包丁の持ち方」「ものを切るときの動作」などです。この場合、刃は必ずしも必要ではありません。
子どもの最初の包丁は、安全第一です。切れ味などを重視するのは、もっと包丁に慣れてからとなります。
慣れたらギザギザ刃の包丁
子どもが正しく包丁を持てるようになったと感じたら、ギザ刃の付いた包丁に替えるタイミングです。
このタイプは刃に触れるだけでは切れませんが、力を加えるとものを切れます。刃のない包丁よりもより本物に近く、子どもに包丁の危険性を教えてあげられます。まずは茹で野菜やかまぼこくらいの固さのものから練習しましょう。
いきなりギザ刃に替えるのが不安なママは、刃に厚みがある包丁を選ぶのがおすすめです。同じギザ刃でも、切れ味は少し控えめになります。
小学生になったら切れる包丁
小学生になれば、包丁の持ち方や切り方も板に付いてくるのではないでしょうか。ママから見て包丁の基本ができてきたと思えば、そろそろ刃の付いた包丁に替えてあげます。
切れ味は大人の包丁に劣りますが、野菜・肉・魚などの食材を切れるようになります。これを使いこなせるようになれば、子どもの料理のバリエーションはかなり広がってくるでしょう。
ただし、いきなり切れ味の鋭い包丁に替えるのは危険です。子どもに与える包丁は刃先や刃元部分が丸くなっている子ども用から選びます。取手側に刃がないタイプや指ガードが付いている包丁ならよりケガをしにくく、ママも安心して見ていられます。
子ども用包丁の選び方

子ども用包丁とひと括りにしても、種類は様々です。子どもの包丁を選ぶときは、切れ味や安全性、使いやすさなどを考慮しなければなりません。
子ども用包丁を選ぶときに、気を付けておきたいポイントを紹介します。
刃の材質で選ぶ
子ども用包丁の素材としては、以下のようなものがあります。
・プラスチック
・セラミック
・ステンレス
プラスチック製の包丁は安全性が高いのが特徴で、まずは包丁の持ち方を覚えさせたいというときにおすすめです。軽量で持ちやすいのがメリットですが、切れ味は期待できません。豆腐などのやわらかいものを切るのがせいぜいです。
一方セラミック製・ステンレス製の包丁は、大人用包丁に引けを取らない切れ味です。軽量さ・扱いやすさを重視するならセラミック、本格派をめざすならステンレスがよいでしょう。
どのタイミングでどの包丁を与えるかは、ママの裁量に掛かっています。子どものスキルや習熟度を見極め、刃の素材を替えていきましょう。
安全性を確認する
子どもに持たせるのですから、包丁の安全性の確認は必須です。包丁を選ぶときは、以下のポイントをチェックします。
・グリップの素材
・グリップのデザイン
・収納ケースの有無
子どもは握力が弱いため、包丁をうまく握れなかったり手が滑ったりしがちです。グリップの素材は、やわらかくフィット感の高い樹脂製などがよいでしょう。手が前に滑りにくく、刃に触れる心配が少なくなります。
グリップのデザインは安全性に直結します。握りやすい形状であることはもちろん、刃の根元に指が引っ掛かるようなデザインだと安心です。
このほか収納ケースがあると、収納時に重宝します。子ども用包丁は毎日使うものではありません。不要なときは適切に保管できるよう、専用ケースやカバーがあるものがおすすめです。
利き手に合わせて選ぶ
子どもが左利きの場合は、左利き専用の包丁を選びましょう。特に利き手が明記されていない包丁は、基本的に右利き用です。左利きの子どもはうまく力を入れにくく、切りにくさを感じてしまいます。
ただし、刃のない包丁やギザ刃の包丁は左右兼用がほとんどです。これらを選ぶ場合は、利き手を心配する必要はありません。
一般に、利き手が確定するのは4歳以降といわれます。我が子の利き手が分からない場合は、刃の付いた包丁はしばらくおあずけにしてみてはいかがでしょうか。
包丁を使わせるときに親が注意すること

まだ小さな子どもは、目先のことにばかりに注意が向きやすくなります。ちょっとした油断が大ケガにつながらないよう、親が子どもに配慮することが必要です。
子どもに包丁を使わせるとき、親はどのようなことに注意すればよいのでしょうか。
作業しやすい環境を作る
子どもが包丁を使うときは、ダイニングやリビングテーブルの上などにまな板を置いてもよいでしょう。まな板の下にマットやタオルを敷くと、ズレる心配もありません。
まな板を置く場所が高すぎたり狭すぎたりすると、切るときの姿勢が不自然になりがちです。包丁の正しい切り方・姿勢を覚えるなら、広くて適切な高さの場所に移動するのがベターでしょう。
また、子どもが包丁を使うときは「まな板周辺にものを置かないこと」「十分なスペースを確保すること」も必要です。
まな板回りが散らかっていたり狭かったりすると、子どもの気が散りやすくなります。すっきりしたテーブルの上で包丁を構えた方が、子どもも集中力をキープしやすくなるでしょう。
使用中は目を離さない
口でいくら教えても、子どもが包丁の危険性を完全に理解するのは難しいものです。子どもが調理以外の用途で包丁を使わないよう、親が見張っている必要があります。
また、子どもはひとつのことに集中すると、それしか見えなくなりがちです。子どもが無意識に危険な動作をしていたら、親がまず止めてあげなければなりません。
大人が「まさか」と思うようなことでも、子どもはケガをします。「まだ刃のない包丁を使っているから大丈夫」などと安易に考えず、子どもが包丁を持っているときは油断しないようにしましょう。
子どもに安心して使わせるポイント

包丁は使い方を誤ると大ケガにつながる道具です。包丁デビューしたばかりの子どもに対しては、大人が包丁の正しい知識を教えてあげましょう。
子どもが包丁を安全に使っていけるよう、大人が教えたいポイントを紹介します。
基本的なルールを説明する
実際に包丁を持たせるときは、基本的なルールを決めて約束させます。例えば、「包丁の刃に触れない」「1人のときは触らない」「包丁を持ってふざけない」などです。子どもがこうした約束を守れるのであれば、包丁の練習を始めてよいでしょう。
包丁の危険性を子どもに理解させるなら、実演してみせるのがおすすめです。子どもの目の前で、固い食材などをスパッと切って見せましょう。
小さい子どもは口で言っても理解できないことが多々あります。包丁を握らせる前に、「包丁は危ない」ということをしっかり理解してもらわなければなりません。
正しい切り方を教える
子どもが包丁を持つときは、正しい包丁の持ち方や手の添え方をきちんと教えてあげましょう。子どもに教えたいポイントは次の通りです。
・手の甲が上にくるように包丁を握る
・食材に手を添えるときは「ネコの手」で
包丁の柄は、手の甲が上にくるようにグーのかたちで握らせます。このとき親指が包丁の峰にかかったり握る位置が後ろ過ぎたりしないように気を付けましょう。
食材を押さえるときは腕を食材と並行にし、卵を握るときのように手を丸めます。人さし指・中指の関節を包丁の側面に当て、「ネコの手」にするのが基本です。
最初から基本の持ち方ができるのが理想ですが、3歳くらいだと難しいかもしれません。多少の自己流は大目に見て、4歳ごろから大人の握り方・切り方をマスターできるようにするとよいでしょう。
初心者におすすめの子ども用包丁

包丁デビューしたばかりの子どもには、安全面に配慮した包丁がおすすめです。子どもがうっかり刃に触れても安心な、初心者用の子ども包丁を紹介します。
スケーター「プラスチック製 子供包丁 サンリオ ハローキティ」
プラスチック製で軽量な包丁です。子どもが刃の部分に触れてもケガをしにくく、包丁デビューにおすすめできます。
グリップ部分は握りやすさに配慮した形状で、力の弱い子どもでもしっかりと握れます。切るときに力を入れやすく、切る楽しさを実感できそうです。
本体サイズは、全長約23.5cm、刃渡り約12.8cmとミニサイズです。特に女の子からの人気が高いハローキティの絵柄がワンポイントとして入っています。
小久保「deLijoy 手が切れないツリーナイフ」
クリスマスツリーのもみの木のような形状の包丁です。柄の部分は自立ハンドルのため、使わないときは立てて置けます。軽量かつ触れても安心なプラスチック製で、指をケガする心配もありません。
一見するとおもちゃのようにも見えますが、やわらかい食材ならカットできます。子どもにはレタス・豆腐・バナナなどを渡してお手伝いしてもらいましょう。
本体サイズは、全長約20cm、刃渡り約13.5cmです。
・商品名:小久保「deLijoy 手が切れないツリーナイフ」
貝印「リトル・シェフクラブ 包丁コアラ 刃なし」
「リトル・シェフクラブ」は、貝印がラインアップする子ども用包丁のシリーズです。コアラマークの入った包丁はそのなかでも初級者向けで、刃が付いていません。刃先と刃元は丸く仕上げられており、子どもがケガをしにくい仕様です。
また、本体ハンドル部分は短めに作られています。小さい子どもでも握りやすく、やわらかい食材ならきちんとカットできるでしょう。
本体サイズは約21.9cm、刃渡りは約12.5cmです。
ハットトリック「ナイフ&カッティングボードセット」
プラスチック製で、ギザ刃の付いた包丁です。少し触れたくらいなら指を切る心配がなく、安心して子どもに持たせられます。
包丁には、サイズの違うりんご型のカッティングボードが2枚付いています。これを使えば、ママの横に並んでお手伝いできそうです。
包丁のサイズは、全長約28cmです。
中級者におすすめの子ども用包丁

包丁の持ち方や力の入れ方が分かってきたら、包丁をステップアップするタイミングです。少し切れ味のよい包丁にスイッチして、調理の幅を広げていきましょう。
中級レベルの子どもにおすすめの包丁を紹介します。
ヤクセル「はらぺこあおむし 安全包丁 エリックカール」
刃がステンレス製なので、プラスチック製の包丁よりはよく切れます。とはいえ、「ギザギザ加工」「丸い刃先と刃元」「両端から約1cmには刃がない」など、安全面にきちんと配慮した仕様です。
子どもが正しい使い方・握り方を実践できていれば、親はハラハラせずに済むでしょう。
持ち手は子どもが握りやすい丸さの上、つばも付いています。包丁を握る手が滑りにくく、手が刃に触れにくいのもうれしいポイントです。「はらぺこあおむし」のイラスト入りのかわいい包丁を見れば、子どものテンションも上がるかもしれません。
本体サイズは約22cmです。
スケーター「安全子供包丁(サヤツキ)SNOOPY」
スヌーピーの絵柄が入ったグリップ部分は、くびれのある滑りにくい形状です。親指の滑り止めも付いており、切るときにしっかりと力を入れられます。
刃部分はギザギザ加工が施され、刃先と刃元部分にもカドがありません。手が当たっても切れにくく、子どものケガを心配せずに持たせられます。
なお、包丁にはサヤが付いており、収納にも困りません。携行しやすく、アウトレジャーに持参するのもおすすめです。
本体サイズは約20.5cm、刃渡りは約9cmです。
MAC「キッズキッチンナイフ」
子どもの安全を考慮して、刃先と刃元の部分を丸く仕上げています。刃は錆びにくいステンレス製を採用し、お手入れの手間を軽減しました。
本体に入っている白いラインは「刃が入っている」という目印です。ラインを目視することで、子ども自身が「気を付けよう」と思えます。
加えて刃元にはくぼみがあり、人差し指が入りやすい形状です。包丁を持つ手が後ろに下がりすぎず、操作がスムーズになります。
また、楕円形状のハンドルは、握りやすさを重視してエラストマー樹脂を採用しました。小さな子どもでも力を入れやすい上、滑りにくいのが特徴です。
本体サイズは約22.5cm、刃渡りは約12.5cmです。
富士カトラリー「子供向け包丁 グーテ」
ステンレス製の刃部分には、「グー」の手をした動物のイラストが描かれています。これをまねして手をグーにすると、食材に正しく手を添えられる仕様です。
ママがいちいち「食材を押さえるときは指を中に入れて」などと言わなくても、イラストが教えてくれるでしょう。イラストのバリエーションはネコ・シロクマ・ウサギの3種類があり、子どもの好みに合わせて選べます。
ステンレス製の刃は、刃先と刃元を丸めてあるのが特徴です。ハンドルは滑りにくいラバーグリップが採用されており、食材をカットするときに力を入れやすく作られています。
本体サイズは約23.5cmです。
上級者におすすめの子ども用包丁

小学生以上になれば、手指の機能も発達して力の加減も上手になります。食材の切り方が安定してくれば、切れ味のよい包丁が欲しくなるころかもしれません。
包丁スキルが上がってきた子どもにおすすめの、子ども用包丁を紹介します。
貝印「ちゅーぼーず とんとん包丁」
小さくてもよく切れる、本格的な刃付き包丁です。刃先と刃元部分は丸く仕上げ、安全性にも配慮しました。ステンレス製なので軽量で、子どもでも取り回しやすく作られています。
また、ハンドル部分は握りやすい形状の上、滑り止めも付いています。一見すると大人用の包丁と変わらないように見えますが、サイズは全長約23cmとコンパクトです。
下村工業「ヴェルダン 子供 包丁」
「金物の町」として有名な、「燕三条」の職人が研いだ本刃を使用しています。刃には切れ味の高いステンレスが採用されており、大人用顔負けのシャープな切れ味を持ちます。とはいえ、刃先と刃元は丸く仕上げられているため、子どもが使いやすい仕様です。
本体は、柄までステンレスで作られた一体型です。ハンドル部分は丸い形状で、小さな手にもしっかりとなじみます。中空構造で重さもないので、子どもでも不自由なく扱えるでしょう。
食洗機対応で、そのまま食洗機に入れられます。本体サイズは24.5cmです。
ツヴィリング J.A. ヘンケルス ジャパン「ミニ 先丸包丁 三徳包丁」
ドイツ生まれの刃物メーカー「ヘンケルス」のミニ包丁です。鋭い切れ味と高い耐久性を持ち、肉・魚、野菜といったあらゆる食材に対応します。
ハンドルは人間工学に基づいたエルゴノミックデザインが採用されており、子どもにも握りやすい仕様です。軽量のため長時間の使用も苦になりにくく、子どもの調理をサポートしてくれます。
食洗機対応で、刃渡りは約13cmです。
正広「MSC MS-400 子供包丁」
包丁製造のトップメーカー「正広」からは、刃先と刃元を丸くした安心設計の子ども用包丁がラインアップされています。こちらは、発売以来約50年の超ロングセラーを誇る「MSCシリーズ」の最新版として発売されました。
包丁の全長は約25cmあり、一般的な子ども用包丁と比較するとやや大きめです。手にしたときの重みもそれなりにあるため、手が小さかったり力が弱かったりする子どもは扱いにくいかもしれません。
料理に慣れた、小学校中学年から高学年の子どもにおすすめです。
左利き用の子ども用包丁

子どもの包丁スキルを上げるには、やはり利き手に合う包丁を選ぶのがベターです。
左利き用の子ども用包丁からおすすめを紹介します。
サンクラフト「台所育児 包丁 大 左きき用」
白と赤の清潔感のあるデザインが魅力です。ネコのイラスト付きで子どもらしさを感じさせますが、先端に丸みはありません。大人用の包丁に近い仕様で、切れ味も抜群です。
刃の部分が平らに作られているため設置面積が大きく、食材の切り残しが少ないのもポイントです。収納用のクリアケースが付いているため、収納時に重宝します。
正広「こども包丁 りす 左」
包丁デビューしたばかりの子どもにおすすめの左利き用包丁です。刃先と刃元が丸く作られている上、どちらも1cmずつ刃が付いていません。手が滑っても切れにくい仕様ですが、ステンレス刃部分の切れ味は鋭いのが特徴です。扱いには十分に注意しましょう。
ハンドルは抗菌剤入りのエラストマー樹脂製です。滑りにくく頑丈で、抗菌性にも優れています。
・商品名:正広「こども包丁 りす 左」
まとめ
子どもに包丁を持たせるのは、子どもが包丁に興味を持ち、ルールを守れるようになってからがおすすめです。3歳ごろが目安とされていますが、親の目でタイミングを計ってあげましょう。
また、子ども用包丁といっても様々な種類があります。小さい子どもにはいきなり刃の付いた包丁を与えるのではなく、刃のないものからギザ刃、刃付きへとステップアップしていくと、正しい持ち方や姿勢を身に付けやすくなるでしょう。
料理は子どもの五感を育むといわれます。食育の一環として、楽しく親子調理に取り組んでみてはいかがでしょうか。