高校生に増えている?性感染症・侵入経路は意外な場所だった!

第2回 家庭でできる性教育
中学生では数少ないものの、高校生になり、性交渉経験が増えるにつれ、その心配も多くなる性感染症。クラミジアや淋病、最近では、米国同様、梅毒の被害も広がっているという。「性教育とともに、性感染症についても、家庭でしっかりと伝えていくべき」と語るのは、長年性教育の現場に従事し、「ぷれいす東京」理事を務める池上千寿子氏だ。

●オーラルSEXで、咽頭から性感染症になる被害も

「生きている以上、病気やけがはつきもの。呼吸をすれば呼吸器感染になることもあります。呼吸を止めれば呼吸器感染は起きませんが、それでは死んでしまう。性器についても同じことで、性的付き合いが始まれば感染も起こりえます。だから死ぬまで性行為しない! というのはひとつの選択ですが、共に生きる人を見つけたい、寄り添いたいという欲求を大事にしたければ、性の健康管理(感染予防、避妊)も大切です。でも、この情報はなぜか入手しにくい。これは子どもたちにとって、大いに迷惑なのではないでしょうか」(池上氏 以下同)

最近では、オーラルSEXで咽頭から性感染症になる被害も多く報告されているという。

「中高生ではあまり見られませんが、風俗関係者のみならず、最近では一般の方も、咽頭を通じて性感染症になるケースが増えているようです。中高生の性感染症の実態は、減りもせず上昇もしない、ここ数年は横ばいですが、まさかのときのために、なかなか他人には聞きづらい問題であるからこそ、家庭でのフォローが大切だと思います。なぜならこれは、“健康管理”のお話だから。性行為には相手がいるので、時にはこういう“望ましくない”トラブルに発展することもあるでしょう。だからこそ、誰もが偏見や誤解なく、互いの性を大切に生きてほしいと願います」

性感染症は意外なところから?

「“性感染症=不特定多数とのSEX”という偏見も捨ててほしい」と池上氏は続ける。

「この誤解や偏見は、なかなか消えません。そしてこの偏見のために、感染した人が非難されかねません。性感染は性道徳とは無関係であり、浮気などしなくても、ウイルスは予防しなければ誰にでもやって来る可能性があるということを知って頂きたいです」

性感染症の社会的なイメージにとらわれず、親が真摯に向き合って、繰り返し繰り返し、「誰にでも起こりうる話」であることを子にしっかりと伝えていく。インフルエンザと同様に、これは性ではなく、健康管理の話であるということを念頭に置けば、恥ずかしいという垣根も乗り越えられるはずだ。
(取材・文/蓮池由美子)

お話をうかがった人

池上千寿子
池上千寿子
NPO法人「ぷれいす東京」理事
1946年生まれ。東京大学を卒業後、出版社勤務を経て執筆活動を始める。94年に、「ぷれいす東京」を設立し、エイズ予防とケアの活動に従事する。’11年WAS金賞を受賞。子どもや大人が知っておくべき“性の健康”についてわかりやすく書かれた小冊子「SEXUAL HEALTH BOOK」も「ぷれいす東京」で販売している。
1946年生まれ。東京大学を卒業後、出版社勤務を経て執筆活動を始める。94年に、「ぷれいす東京」を設立し、エイズ予防とケアの活動に従事する。’11年WAS金賞を受賞。子どもや大人が知っておくべき“性の健康”についてわかりやすく書かれた小冊子「SEXUAL HEALTH BOOK」も「ぷれいす東京」で販売している。