そもそも電源タップの正しい使い方は?どう使うのが適切?
最後に、電源タップの正しい使い方についても紹介します。
特段意識しないまま使っていることと思いますが、トラッキング火災だけでなくその他の事故を防ぐためにも、いま一度正しい使い方を確認しておきましょう。
1.ホコリが付いた状態で使用しない
トラッキング火災を防ぐため、ホコリがたまらないように掃除を心がけましょう。掃除方法は、電源プラグを抜いて乾いた布でホコリを取り除きます。
2.消費電力は定格の範囲内で使用する
コンセントの定格は一般的に15Aです。A(アンペア)は電流のことです。
使用する機器の電流の合計値が、15Aを超えないように使用しましょう。
ちなみに機器の消費電力は、W(ワット)で記載するのが一般的です。電力とは、電流と電圧を掛け算した値です(電力(W)=電流(A)×電圧(V))。
日本の電圧は100Vなので、つまり消費電力を100で割った値が電流となります。例えば500Wの機器であれば5Aになります。
3.コードを束ねて使用しない
コードを束ねて使用すると、放熱されずにコードが高温になり、コードの周りの保護材が溶けて火事の原因となります。コードは束ねずに真っすぐ伸ばして使用することをお勧めします。
4.傷ついたコードは使用しない
傷ついたコードは内部の電線が断線している可能性があります。電線が断線しているとコードが高温になる可能性があり危険です。
なお、電源タップの交換目安は3~5年と言われています。古いものは劣化している可能性があります。
5.コードの上に物を乗せない
電源コードの上に重い物を乗せると、中の電線が押しつぶされて電流がたくさん流れるようになり、コードが高温になります。そうなると、放熱もされなくなって火災の原因となります。コードの上には物を置かないようにしましょう。
まとめ
繰り返しになりますが、ホコリが湿気を帯びることで電流が流れて火事となるのが、トラッキング火災です。電源プラグの周辺をこまめに掃除してホコリを取り除けば、防げます。トラッキング火災が多くなる梅雨の時期には、電源プラグの周辺を掃除し、電源プラグを正しく使って火事を防ぎましょう。
〈執筆者プロフィル〉
芦ヶ谷宏樹
電気設計エンジニア/電気ライター
電気設計エンジニアとして従事しながら、電気や製造業に関する記事を執筆。
身近な存在でありながら実はよく知らない電気について、誰にでも分かりやすい記事を書くよう心がけています。
配信: 防災ニッポン