文章がうまい人ほど「言い換え能力」が高い!

文章がうまい人ほど「言い換え能力」が高い!

(photo by acworks/photoAC)

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第22回>伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は、表現の幅が広がる「言い換え能力」について。

「頭がいい人」の言い換え表現とは?

言葉にはいろいろな表現方法があります。たとえば「頭がいい人」というニュアンスを伝えたいとき、あなたなら、ほかにどのような表現で言い換えますか?以下は「頭がいい人」の言い換え例です。

賢い人/知的な人/利口な人/利発な人/クレバーな人/頭の回転が速い人/頭が切れる人/知性が高い人/シャープな頭脳の持ち主/頭が冴えている人/インテリジェンスの高い人

少し広めに解釈すれば、ほかにもまだまだ考えられそうです。砕けた文章が許されるシチュエーションなら「ヤバイ頭脳の持ち主」も候補に挙げることができます。

文章で何かを伝えるとき、その表現アプローチはひとつではありません。無数にある表現の中から、TPOに応じた最適な表現を選び取ることができる人は、文章を書くセンスのある人です。

雑誌、書籍、サイト、ブログから表現フレーズを仕入れる

表現アプローチの引き出しを増やす、つまり、言い換えのセンスを磨くことはできるのでしょうか? 答えはイエスです。最もいい方法は自分がよく書いているテーマに関連する専門誌を読み込むことです。

美術についての文章をよく書く人であれば、美術の専門雑誌や書籍、あるいは美術の専門サイトやブログをチェックしながら表現フレーズをインプットしていきます。感動したというニュアンスであれば、「しびれる」「琴線に触れる」「胸を打つ」「ジーンとくる」「うならされる」「魂が揺さぶられる」「その場から動けなくなる」「ハンマーで頭を殴られたような衝撃を受ける」などが言い換え候補として有効かもしれません。大事なのは、メディアからインプットしたフレーズを積極的に使うことです。

あるいは、せっかく美術について書くわけですから、その表現にも美的センスあふれる比喩を用いてもいいでしょう。「その瞬間、体中の細胞が一斉にダンスを始めたかのようだった」「その瞬間、自分の心にこびりついていた“思い込み”が粉砕される音が聞こえた」「その瞬間、これまで何万回と考え続けてきた人生の謎が解けたような気がした」という具合です。

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