不妊治療、体外受精。いまでは当たり前のように聞かれる言葉になりました。それもそのはず、2015年には、約5万1000人の赤ちゃんが、体外受精により誕生しています。その年に生まれた子どもの20人に1人にあたり、小学校でいえば、クラス内に1~2人いるということになります。今後は、この割合がさらに増えると見られています。
晩産化が進み、不妊治療の需要は、これまでにないほど高まっています。現在は、20代の方にも「高齢出産は危険」というイメージが、きっとありますよね。しかし、それが具体的にどういうことか、理解できていない方も少なくなさそうです。そこで、高齢での妊娠や出産について正しく理解しておきましょう。
高齢出産における最大のリスクは、障害のある子どもが生まれること?
答えは「NO」です
高齢出産における最大のハードルは、「健康な赤ちゃんを産むこと」よりもっと手前にあります。それはすなわち「妊娠しにくいこと」です。私たちの卵子は、35歳を過ぎると徐々に老化していきます。染色体に異常が増えるため、精子と出会っても受精しにくく、結果、妊娠しにくくなるのです。
高齢でも不妊治療をすれば妊娠できるはず!
答えは「NO」です
不妊治療にもいくつか種類がありますが、まず「体外受精」を連想される方が多いですよね。排卵を誘発した上で採取し、卵子と精子を合わせます。採卵時に卵子がいくつもできる人もいれば、そうでない人もいるなど個人差があります。また採取した卵子に精子をふりかける体外受精よりも、培養士が顕微鏡で見ながら、1つ1つの卵子と精子を組み合わせる「顕微授精」という方法もあります。
ただ、これはあくまで“卵子と精子を出会わせるための手段”であり、卵子もしくは精子に問題があれば、受精卵を胎内に戻しても着床しにくいのです。いったん着床してもそこで踏ん張り切れずに流れてしまい、妊娠が継続されないケースも多く見られます。
ここで、体外受精をした人のうち、出産まで至る人の割合を、年齢別に見てみましょう。
年齢
体外受精で出産した人の割合
35歳
約18%
39歳
約11%
41歳
約6.5%
※日本産婦人科学会「ARTデータブック2015」
非常に厳しい数字に感じられると思います。不妊治療は“魔法の手段”ではありません。また不妊治療は時間的、経済的、そして女性の場合は、身体的に負担が少なくない事実があります。もし、なかなか結果が出なかった場合はどうするのかを、事前に話し合い、期間または回数をあらかじめ決めておくことをおすすめします。
配信: カラダのキモチ