会社で働いていると、残業代が支払われないとか、不当解雇をされたなど、労働に関するさまざまな法律問題で悩んでしまい、専門的な機関に相談したいと思うこともあるでしょう。
- 会社がブラック!
- 給料がきちんと支払われない・・・
- 突然解雇された
- 退職を迫られている
- パワハラ、セクハラがひどくて辛い
このようなときはひとりで悩まず、しかるべきところに相談するのがおすすめです。
労働に関する法律問題を無料で相談できる窓口にとしては、主に以下のようなところがあります。
- 総合労働相談コーナー(厚生労働省)
- 労働基準監督署
- 労働相談ホットライン(全労連)
- 各自治体の相談窓口
- こころの耳(厚生労働省)
- 法テラス
- 法律事務所
それぞれに特徴が異なりますが、どんなケースでもおすすめできるのは、法律事務所で弁護士に相談することです。
今回は、
- 労働問題の相談先は弁護士がベストである理由
- 弁護士に相談できる労働問題の種類
- 労働問題の法律相談を有効に活かすコツ
などについて解説していきます。
この記事が、労働に関する法律問題に悩み、相談先をお探しの方の手助けとなれば幸いです。
1、労働問題の相談先は弁護士がベスト!その理由とは?
労働問題について相談するなら、どんなケースでも弁護士に相談するのがベストといえます。
なぜなら、弁護士に依頼をすれば、労働に関するトラブルを最も早く解決することが期待できるからです。
弁護士への相談というと、さまざまな公的機関に相談しても解決できなかった場合の最終手段とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、弁護士は労働者の権利を守る最後の砦として活躍するケースも数多くあります。
しかし、最初から弁護士に相談する方が、より早く、適切な解決を図ることが可能になります。
以下、具体的にご説明していきます。
(1)あらゆる労働問題について正確なアドバイスが得られる
弁護士は法律のプロです。したがって、あらゆる労働問題について、法律が絡む問題である限り、正確なアドバイスを求めることができます。
残業代請求や不当解雇など、労働問題においては、労働審判や訴訟といった法的手続に移行する可能性も見据えて対応していく必要がありますが、弁護士は、法的手続についても熟知しておりますので、法的手続への移行も見据えたアドバイスをすることが可能です。
(2)味方としてアドバイスしてもらえる
弁護士は、相談者の疑問に対して客観的に回答するだけではなく、あなたの味方としての立場からアドバイスをしてくれます。
お悩みの労働問題に対し、法律上はどうなるかということだけを形式的に教えられたところで悩みが解決するわけではないということも少なくありません。
弁護士は、あなたのご希望を踏まえつつ、あなたの味方として、どのように対処すればよりよい解決を得られるのかについて具体的な対処法をアドバイスできますし、代理人として活動をしていくこともできます。
なお、労働基準監督署などに相談をしても、代理人がつくわけではありませんし、中立的な立場からのアドバイスにとどまることもあります。
そのような場合、あくまでもあなたは労働問題を解決するために1人で戦わなければなりません。
あなたの味方(代理人)となって一緒に戦ってくれるのは、弁護士だけです。
(3)依頼すればすべてを任せることができる
先ほども述べたとおり、労働基準監督署などに相談をしても、お悩みの労働問題に対し代理人としての活動を求めることはできず、お悩みの労働問題を解決するためには自分で活動をしなければなりません。
しかし、弁護士に依頼をした場合には、あなたの代理人として、トラブル解決のための手続きのすべてを弁護士が行ってくれます。
したがって、あなた自身は勤務先と直接やりとりする必要もなければ、裁判などの複雑な手続きに手を煩わせる必要もありませんので、精神的な負担も大幅に軽くなることでしょう。
(4)その結果、二度手間を回避できる
労働基準監督署などに相談しても、最終的に「弁護士に相談した方がよいでしょう」と言われてしまうことも少なくありません。
そうなってしまうと、せっかく公的な機関に相談したのに、結局は弁護士に相談・依頼しなければならなかったということになり、二度手間ですよね。
最初から労働問題に詳しい弁護士に直接相談すれば、このような事態を避けることができます。
つまり、最も早く、かつ適切な解決を図ることが可能となります。
2、こんなときは弁護士へ!労働問題の法律相談で得られること
労働問題と一言で言っても、その種類はさまざまです。弁護士にはあらゆる労働問題を相談できますが、ここでは法律相談で多く寄せられる悩みのうち、代表的なものをまとめておきます。
弁護士に相談・依頼することで以下のような解決を図ることが可能です。
(1)残業が多い、有休が取りづらいなど
日常的に長時間残業をしいられて心身の疲労が極限に達している、有休の取得を申請しても会社に拒否されるといったご相談は、数多く寄せられています。
会社による残業の強制や有休申請の拒否については、実は違法なケースも少なくありません。
弁護士にご相談いただければ、会社の行為の適法性を的確に判断した上で、残業の拒否や有休取得のための正しい方法をアドバイスします。
ご依頼いただければ、弁護士があなたの代理人として会社と話し合うこともできますし、未払い残業代や有給休暇の買い取りなどの請求を代行することも可能です。
(2)いじめ・嫌がらせ・ハラスメント
厚労省労働局等の総合労働相談コーナーの相談件数では、いじめ・嫌がらせ・ハラスメントの相談が長年トップを占めています。
法令の改正等によって対応が進んではいるものの、ハラスメントは人間社会では必ず起こりうる問題であり、その根絶には相当な工夫が求められるでしょう。
そのため、窓口での相談やあっせん手続きのみでは、根本的な解決が難しい問題でもあります。
いじめ・嫌がらせ・ハラスメントの被害に遭ったときは、やはり弁護士があなたの味方となって会社と話し合ったり、場合によっては損害賠償請求の訴訟を起こす必要があるケースも多くなっています。
(3)解雇・退職関係(不当解雇、退職勧奨)
不当解雇についての相談も多いです。
また、解雇とはしないまでも、執拗に退職を迫り、労働者を退職させるというケースも少なくありません。
弁護士にご相談・ご依頼いただければ、あなたが会社に残りたいのか、そのまま退職したいのかといったご希望に応じて、適切な手段で解決を図ります。
(4)雇止め
有期労働契約 (期間を定めて締結された労働契約)を締結している場合にも、突然、期間満了を理由として契約の更新をしないという対応をされることもあります。
このような行為を「雇い止め」といいます。
期間が満了したとはいえ、契約更新の繰返しにより一定期間雇用を継続していれば、実質的に無期労働契約と同視し得る状態となっていたり、このまま契約が更新されていくとの期待するのが通常ですから、「雇い止め」の場合にも、解雇と同様の問題が生じる可能性があります。
したがって、やはり、こうした「雇い止め」の問題についても弁護士にご相談・ご依頼すべきです。
(5)在職強要
人手不足を背景に、退職を申し出た社員に退職を認めず在職を強要するケースも最近大きな問題になっています。
「辞めたいなら代わりの人間を連れて来い」といった理不尽な要求も見られるようです。
このような問題を背景として近年注目を集めているサービスが「退職代行」です。民間の退職代行業者も数多くありますが、弁護士以外が行ってはならない行為として違法ともなり得るので注意が必要です。
在職を強要された場合は、法律のプロである弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
(6)労働条件引下げ
会社から突然、賃金を引き下げるなどと言われるケースもあります。
会社が労働者の同意なく労働条件を一方的に引き下げることは違法であり、無効です。
この場合も、弁護士にご相談・ご依頼いただければ、労働条件変更の無効を主張した上で、未払い賃金や慰謝料の支払いなどを求めて会社との話し合いや訴訟などを行います。
(7)人事権濫用(転勤・出向)
転勤や出向も、労働者の側の事情を考慮せずに行われてトラブルになる事例があります。
育児・介護など様々な事情を抱える労働者が多くなっていることもあり、法律相談として寄せられる件数も増えつつあります。
人事異動は会社側の裁量によるところが大きいですが、人事異動に業務上の必要性がなく、不当な動機・目的によるものであったり、労働者にあまりにも大きな不利益が及ぶ場合のように、その人事異動が権利濫用に当たる場合には、人事異動の無効を主張した上で、話し合いや裁判によって慰謝料の支払いなどを求めていくことが考えられます。
(8)賃金未払い(残業代、退職金未払い等)
サービス残業などによる賃金未払いの問題も非常に多いです。
また、退職時のトラブルなどから退職金の未払いに至るトラブルも見受けられます。
未払い残業代を請求するに当たっては、証拠の確保が重要です。就業規則、雇用契約書、タイムカード、業務日報など、会社との間の雇用契約の内容や、残業をした事実に関する証拠をできる限り集めておくことが望ましいです。
加えて、残業代の請求権の時効期間は、3年(2020年3月31日までに発生していた残業代については2年)ですので、早期に対処することが必要です。
とくに、すでに退職をしている方は、請求できる残業代が刻一刻と消滅していっていると考えてください。
弁護士にご相談・ご依頼いただければ、証拠集めから実際の請求の手続きまでトータルで、迅速にサポートします。
(9)内部通報・内部告発
内部通報・内部告発は、会社の違法・不正行為に関する問題を労働者が訴える有力な手段であり、会社の違法・不正行為防止に大きな効果を発揮します。
このような内部通報・内部告発は正当な行為であるにもかかわらず、これを理由に、社員に嫌がらせをしたり不適切な配転をする、といったケースが見受けられます。
しかし、内部通報・内部告発をしたことを理由に労働者に対し不利益な取扱いをすることは禁止されていますので、このような場合にも、弁護士に相談・依頼して法的に対処するべきです。
(10)労働災害
業務災害や通勤災害については、労災保険法による補償が受けられます。
しかし中には、会社が労災の発生を隠そうとしたり、労災保険手続きについて会社が協力せずに紛争になるケースも見受けられます。
また労災保険でまかないきれない損害については、会社に対して直接損害賠償請求をしなければなりません。
これらの場合についても、専門的な手続きが必要となりますので、弁護士の力を借りた方がよいでしょう。
配信: LEGAL MALL