専業主婦が離婚する際に知っておくべき7つのお金の話

専業主婦が離婚する際に知っておくべき7つのお金の話

3、子どもがいても大丈夫?専業主婦が離婚をした場合の生活費シミュレーション

では、前項でご紹介した方法を活用するとして、専業主婦が離婚した場合の生活費が具体的にどのようになるのかをシミュレーションしてみましょう。

(1)事例

例として、以下のケースを想定します。

  • 年齢:夫婦とも40代前半
  • 婚姻歴:12年
  • 離婚原因:夫の浮気
  • 子ども:10歳と7歳の2人
  • 夫婦の主な財産:貯金500万円、自家用車(残ローンなし)、自宅(残ローンあり)
  • 夫の年収:600万円(会社員)
  • 居住地:東京都内
  • 現在の状況:妻が10歳と7歳の子供連れで別居

(2)もらえる金額のシミュレーション

上の例で、専業主婦である妻がいくらもらえるのかを試算してみましょう。

ここでは、離婚後の妻の生活費に充てるために、財産分与や慰謝料についても月額でもらう方法で合意することとし、毎月いくらもらえるのかをシミュレーションしてみます。

①婚姻費用:15万円

裁判所の婚姻費用算定表によれば、このケースで夫からもらえる婚姻費用は14万円~16万円です。

ここでは、間をとって15万円で合意したとします。

②財産分与:225万円

財産分与では、専業主婦でも基本的に夫婦共有財産の2分の1を請求できます。

このケースでは、自家用車の評価額を150万円(残ローンなし)、自宅の評価額を2,000万円と仮定し、住宅ローンが2,200万円残っているとします。

自宅については200万円のマイナス評価となるため、この分は夫婦共有財産から差し引くことになります。

そうすると、貯金500万円を含めた夫婦共有財産は450万円となり、妻はその2分の1にあたる225万円を財産分与として取得できます。

③養育費:11万円

裁判所の養育費算定表によれば、このケースで離婚後に元夫からもらえる養育費は10万円~12万円です。

ここでは、間をとって11万円で合意したとしましょう。

④慰謝料:200万円(モラハラ、不倫など)

夫の浮気やモラハラで離婚する場合に妻がもらえる慰謝料の相場は100万円~300万円程度が相場です。

ここでは、間をとって200万円で合意したとしましょう。

⑤シングル助成金:月額10万円程度

このケースで妻が離婚した後に受給できるシングル助成金の額は、以下のとおりです。

  • 児童手当:2万円
  • 児童扶養手当:5万3,350円(全部支給の場合。2020年度の金額)
  • 児童育成手当:1万3,000円
  • 母子家庭等の住宅手当:1万円

東京都内でも市区町村によって住宅手当の金額は異なりますし、住区手当の支給がない市区町村もあるかもしれません。

相場としては、23区では2万円~3万円、23区外では5,000円~1万円程度のようです。

ここでは1万円として見積もっておきます。

⑥合計

以上を合計して、1ヶ月あたりにもらえる金額を考えてみましょう。

まず、離婚が成立するまでは月額15万円の婚姻費用で生活をやりくりする必要があります。

離婚後は、財産分与225万円と慰謝料200万円の合計425万円を分割して、10年間で支払ってもらうとすれば、毎月3万5,000円強となります。

これに養育費11万円とシングル助成金約10万円を加えれば、もらえる月額は24万5,000円です。

(3)生活費のシミュレーション

月額24万5,000円というと意外にたくさんもらえると感じる方が多いと思います。

では、これだけのお金をもらうことができれば、離婚後も働かずに生活していくことができるのでしょうか。

生活費についてもシミュレーションしてみましょう。

都内在住で、公立の小学校に通う子ども2人との3人暮らしなら、1ヶ月あたりの平均的な生活費は以下のようになると考えられます。

①家賃 10万円

都内でも地域によって異なりますが、おおむねこの程度を見積もっておきます。

②食費 3万円

1日1,000円に抑えたとしても月に3万円はかかります。

子どもが成長期になると、もっとかかるでしょう。

③水道光熱費 1万5,000円

上下水道代や電気代、ガス代は節約してもこの程度はかかるでしょう。

夏・冬はもう少しかかるかもしれません。

④通信費 1万5,000円

携帯電話・スマホ料金やインターネットのプロバイダ料金などです。

キッズ携帯も含めればこの程度が平均的です。

格安スマホを利用すれば、もう少し抑えられるかもしれません。

⑤日用品費 3,000円

洗剤やトイレットペーパー、その他の日用品を購入する費用も月に数千円は必要でしょう。

⑥子どもの小遣い 5,000円

小学生の子ども2人なら、この程度が平均的と考えられます。

⑦学校の給食費 8,000円

公立の小学校でも、給食費は必要です。

1人あたり4,000円として、8,000円を見積もっておきます。

⑧被服費 5,000円

被服費もこの程度は必要でしょう。

フリーマーケットやオークションサイトなどで古着を購入すれば、もう少し抑えられるかもしれません。

⑨美容院代や化粧品代など 5,000円

人にもよると思いますが、平均してこの程度は必要と考えられます。

⑩娯楽費 1万円

ときどきは子どもをレジャーに連れて行く必要もあるでしょうから、月に1万円くらいはみておきましょう。

⑪生命保険料 3,000円

自分にもしものことがあった場合のために生命保険に加入するとすれば、掛け捨ての保険でもこの程度はかかります。

⑫教育費 1万円

子どもを塾や習い事に通わせたり、参考書を購入したりするための費用です。

⑬交通費 5,000円

交通費は生活スタイルによってまちまちだと思いますが、一応、この程度を見積もっておきます。

自動車を保有している場合は、ガソリン代や駐車場代、その他の維持費で1ヶ月あたり数万円が必要になることもあるでしょう。

⑭交際費 5,000円

交際費は控えても、多少はかかるものです。

PTA会費や子ども会の費用も交際費に含めれば、この程度はかかるでしょう。

⑮合計 21万9,000円

以上の費目を合計すれば、毎月21万9,000円の生活費がかかります。

贅沢をしなければ月に2~3万円を貯蓄に回せる計算ですが、突発的な出費も考慮しておく必要があります。

ときどきは子どもやあなたが病気や怪我をして医療費がかかることもあるでしょうし、家電品の購入や冠婚葬祭などで出費することもあるでしょう。

子どもの将来の学費も貯めていく必要があると思います。

そう考えると、やはりパートをするなどして月に5~6万円は収入を得ていく方が安心できるでしょう。

元夫が途中で養育費を支払わなくなるケースも多いので、自力での収入を少しでも得ておくに越したことはないようです。

4、専業主婦の離婚で夫に支払いを承諾させるただ1つの効果的な方法

離婚後に確保すべき生活費としては、シングル助成金の占めるウェイトも大きいですが、やはり重要なのは夫から支払ってもらう養育費などです。これがなければ、生活に困ってしまう方が多いことでしょう。

夫から養育費などを十分に支払ってもらうためには、しっかりと話し合うことが必要であり、ときには説得しなければならないこともあります。

しかし、一般の方の中には、夫を説得できる交渉術を持たない方もいらっしゃるでしょう。

夫に支払いを承諾させる最も効果的な方法は、弁護士に依頼することです。

弁護士に依頼すれば、あなたの代理人として弁護士が夫と話し合って交渉し、説得します。

直接話したくない、話しが通じない夫へも、弁護士が全て話しをつけますので安心です。

プロの交渉力で対応しますので、迅速な解決が可能となります。

相手方がどうしても支払いを拒む場合には調停や裁判が必要になることもありますが、複雑な手続きは弁護士が代行しますし、心配はいりません。

また、弁護士に依頼すれば、支払う承諾を得るだけでなく、支払いを「続けさせる」ことも可能となります。

相手方が自覚を持って支払いを継続しやすいように離婚協議書の内容を工夫しますし、公正証書にしておけば、万が一、支払いが途切れた場合にはすぐに相手方の財産を差し押さえることが可能になります。

ただ、弁護士に依頼するための費用が気になる方は多いと思います。

しかし、離婚の事情や交渉次第で弁護士費用も夫負担とすることも可能です。

裁判で慰謝料を獲得した場合は弁護士費用の一部は夫負担となりますし、そうでなくても、離婚条件として弁護士費用を夫負担として交渉することで合意できる場合もあります。

離婚事案の経験方な弁護士であれば、そういった交渉にも慣れています。

離婚後のお金の問題について夫との交渉に不安がある方は、一度、弁護士に相談してみると良いでしょう。

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