おいしいシードル造りで
“捨てる”を“生み出す”に変換
りんご栽培の作業量のうち、摘果が占めるのは30%ほど。シードル醸造により「未熟果を摘んで捨てる作業」が「加工用りんごの収穫作業」に変わった
「捨てるもので加工品を作れば、生産性がぐんと上がるはず」。転機は、視察で訪れたフランス。シードル加工用のりんご品種をかじってみたら、驚くほど酸っぱくて渋くて……
あれ? 何かに似ている。そう、青くて未熟な摘果りんごの味わいです。当時日本で手に入るシードルの多くは甘口。
「造るなら、ビールのように食事と楽しめる、ドライで飲み飽きないシードルにしたかった。結果、タンニンが豊富な摘果りんごは目指す味にも最適だったんです」
年間約30t収穫する未熟りんご。ポリフェノール含有量は成熟果の何十倍にも
2017年、世界初の試みとして発売された「テキカカシードル」は、かわいいラベルと印象的な名前、そして何より独特の複雑味で話題に。年々生産量も増加中です。
「今後は共感してくれる農家から摘果りんごを買い取る計画も。ともにその可能性を広め、市場を開拓していきたい」。
自社の代名詞だった「テキカカ」が、シードルの新ジャンルとしてりんご産地を支える。森山さんの目に映るのは、そんな青森の将来です。
夏に飲みたい1本 「テキカカシードル」
配信: OZmall