養育費を裁判で請求・回収する手続き9つを弁護士が徹底解説

養育費を裁判で請求・回収する手続き9つを弁護士が徹底解説

離婚した元パートナーが子どもの養育費を支払ってくれない場合は、裁判手続きで請求・回収することができます

裁判というと大げさな感じを受けてしまう方が多いかもしれませんが、意外に和やかなムードで行われる裁判手続きもあります。

養育費は子どもを育てていくために重要なものなので、元パートナーに請求・回収するための裁判手続きが法律でしっかりと用意されています。

養育費を獲得したい方が利用できる裁判手続きは、状況に応じて以下の8種類のものがあります。

  1. 夫婦関係調整調停(離婚調停)
  2. 離婚訴訟
  3. 婚姻費用分担請求調停・審判
  4. 養育費請求調停・審判
  5. 養育費増額請求調停・審判
  6. 養育費減額請求調停・審判
  7. 履行勧告・履行命令
  8. 強制執行

あなたも、上記のうちどれかの裁判手続きを利用することで、養育費の獲得が可能になることでしょう。

今回は、元パートナーから養育費を獲得したいすべての方に向けて、

  • 養育費を裁判で請求・回収する手続き

を状況別に弁護士が徹底解説します。

あなたの状況に該当する部分をお読みいただければ、どのようにすれば養育費を獲得できるのかがお分かりいただけるはずです。

この記事が、養育費を払ってもらえずにお困りの方の手助けとなれば幸いです。

1、養育費を請求・回収する「裁判」とは?

養育費は、未成熟な子どもが自立できるようになるまで育てていくために必要なお金のことです。

子どもは両親が共同して育てるものなので、養育費もそれぞれの経済力に応じて分担すべきこととされています。

両親が離婚しても親子関係は続きますので、子どもを引き取って育てる側の親(親権者)は元パートナーに対して養育費を請求することが法律で定められています。

この法律上の権利を実現するために、さまざまな裁判手続きが用意されています。

最初に、どのような場合にどのような裁判手続きを利用できるのかをザッとみていきましょう。

(1)これから離婚する人が養育費を請求する手続き

離婚する夫婦の間に未成年の子どもがいる場合、どちらか一方を親権者に指定しなければなりません。
このとき、離婚協議によって今後の養育費の支払いについて取り決めておいた方がよいでしょう。

しかし、養育費に関する話し合いが当事者間でまとまらないときや、話し合いができないときには、夫婦関係調整調停(離婚調停)を申し立てることができます。
離婚調停でも意見がまとまらない場合は、離婚訴訟を起こすのが一般的です。

養育費を求める側の人は、離婚調停・離婚訴訟の中で請求していくことになります。

(2)すでに離婚した人が養育費を請求する手続き

離婚時に養育費について取り決めなかった場合や、取り決めていても離婚後に元パートナーが養育費を支払わない場合は、養育費請求調停を申し立てることができます。

調停で意見がまとまらない場合は、審判手続きによって裁判官が養育費の内容を決定することになります。

(3)離婚前の別居中に養育費を含む生活費を請求する手続き

離婚前の別居中にも、パートナーに対して子どもの養育費を含む夫婦の生活費の支払いを請求できます。

この場合には、婚姻費用分担請求調停を申し立てます。調停で意見がまとまらない場合は、やはり裁判官が審判手続きで決定します。

(4)離婚後に養育費を払われなくなったときに回収するための手続き

以上の調停や審判、訴訟によって決められた養育費が不払いとなった場合は、家庭裁判所に対して履行勧告・履行命令の発出を求めることができます。

また、強制執行を申し立てて元パートナーの給料や預金口座などの財産を差し押さえて、そこから養育費を回収することも可能です。

強制執行手続きは、裁判をした場合だけでなく、養育費について公正証書で取り決めた場合も利用できます。

(5)離婚後に養育費の増額・減額を請求するための手続き

養育費を一度取り決めても、その後の事情の変化によって養育費の金額が子育ての実態に見合わなくなった場合は、養育費の増額・減額を求めることができます。

増額を求める場合には「養育費増額請求調停」を、減額を求める場合には「養育費減額請求調停」を申し立てることになります。

2、裁判で高額の養育費を獲得するためのポイント

せっかく裁判をして養育費を請求するなら、できるかぎり高額の養育費を獲得したいところです。

ここでは、裁判で高額の養育費を獲得するためのポイントをご紹介します。

(1)適正な養育費の金額を知っておく

まずは、一般的にどれくらいの養育費がもらえるのかを知っておくことが大切です。

高額の請求をしても必ずしも認められるものではありませんが、相場より低い請求をするとその分しか獲得できなくなるからです。

養育費の金額は、裁判においては基本的に養育費算定表に従って決められます。
養育費算定表では、両親の収入と子どもの人数・年齢に応じて養育費の目安が示されています。

養育費の相場についてさらに詳しくはこちらの記事で解説していますので、併せてご参照ください。

(2)相手方の財産・収入を明確にする

養育費算定表が使われる場合は、ほぼ機械的に養育費の金額が割り出されるのが通常です。

子どもの人数・年齢を動かすことはできませんので、適正な金額を割り出すためには裁判所に対して両親の収入を正確に申告することが重要です。

もし、元パートナーが収入を過少申告すれば、養育費として低い金額しか獲得できなくなります。

また、収入の他に保有資産が考慮されることもあるので、元パートナーの資産が多い場合には財産状況も明らかにしたいところです。

相手の財産・収入が不明な場合、訴訟をすれば「調査嘱託」や「文書送付嘱託」の申し立てといった裁判上の手続きによって調査することもできますが、調停や審判ではなかなか難しいのが実情です。

したがって、離婚前に同居している段階から、元パートナーの給料明細などの資料を確認して財産・収入を調べておくのが望ましいといえます。

(3)生活費や学費など必要な金額を明確にする

裁判では養育費算定表が機械的に適用されることが多いのですが、それを超える金額の養育費を獲得することも一切できないわけではありません。

特に、調停では元パートナーを説得することができれば高額の養育費を獲得することも可能です。

審判や訴訟でも、状況によっては高額の養育費の支払いが命じられる可能性もあります。

そのためには、生活費や学費などにどれくらいの金額が必要になるのかを明確に割り出して、その根拠とともに裁判手続きの中でしっかりと説明することが重要となります。

(4)有力な証拠を提出する

高額な養育費を裁判で獲得するためには、必要な金額とその根拠を証明できる証拠を提出することも重要です。

有力な証拠としては、自分と元パートナーの給料明細など収入や財産に関する証拠の他、例えば子どもが医学部への進学を希望しているために高額の学費を必要としている場合には学校の通知表や模試の成績などを提出することが考えられます。

子どもの病気やケガのために高額の治療費を要する場合には、医師の診断書や病院の診療報酬明細書などが有効となるでしょう。

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