「糖尿病で足を失う」、そんなことって本当にあり得るの?

「糖尿病で足を失う」、そんなことって本当にあり得るの?

糖尿病によって足の皮膚の感覚を失い、針などを刺しても痛みを感じなくなることがあるそうです。その状態で傷や感染症を患い、気付かずに悪化させると、「足が腐った状態となって、該当箇所を切断しなければいけなくなる」なんてことがあるのでしょうか。もし本当にそうだとしたら、どのようにそうした事態に陥ってしまうのか、どうやったら回避することができるのか。糖尿病に詳しい「大場内科クリニック」の大場先生に話を聞いてきました。

大場啓一郎

監修医師:
大場 啓一郎(大場内科クリニック 院長)

昭和大学医学部卒業。昭和大学医学部大学院薬理学講座医科薬理学部門卒業。2014年、神奈川県相模原市に「大場内科クリニック」開院。2016年、法人化に伴い「医療法人社団若葉堂」理事長就任。なんでも相談できる「かかりつけ医」として尽力している。医学博士。日本内科学会、日本プライマリ・ケア連合学会、日本ワクチン学会の各会員。

凍傷などにみられる足の腐った状態が、糖分過多によっても起こる

凍傷などにみられる足の腐った状態が、糖分過多によっても起こる

編集部

糖尿病は血中の糖分が増えすぎる病気だと思いますが、足にも悪影響があるのですか?

大場先生

たしかにその通りですが、糖尿病は「全身の血管がボロボロになる病気」と捉えていただきたいです。増えすぎた血液中のブドウ糖によって血管の老化、いわゆる動脈硬化が加速します。この血管の老化は、細い血管から始まります。

編集部

その結果、足にも影響が出てくると?

大場先生

そういうことです。糖尿病がきっかけで足に起きた病気のことを、まとめて「糖尿病足病変(とうにょうびょうそくびょうへん)」と呼んでいます。大きく分けると、「神経障害」、「血流障害」、「免疫力の低下による各種感染症」のことを指します。場合によっては、足を失う可能性すらあります。

編集部

血流だけでなく、神経もダメージを受けるのですね?

大場先生

はい。神経まわりの毛細血管が詰まった結果です。局所のピリピリした痛みのほか、足先をうまく動かせない不具合や、ケガをしていることに気付かない事態も生じえます。足にクギが刺さっているのに気付かないなど、笑い話では済まされないことが実際に起こるのです。

編集部

「足を失う」とは、具体的にどういうことでしょうか?

大場先生

医学的には「壊疽(えそ)」と言います。受傷や感染症などをきっかけとして、最終的に「足が腐った状態」まで進行することがあるのです。組織が死んでしまうことに加え、壊疽は広がっていき、そうなってしまうと「切断」という決断を下すほかないのです。

足の壊疽までのステップ

足の壊疽までのステップ

編集部

足の壊疽は、どのように始まるのでしょうか?

大場先生

きっかけは、靴擦れやタコ、些細な傷、感染症など多彩です。問題は、そのことに気付かず、自己修復が望めないほど重篤化させてしまう場合ですね。

編集部

些細なきっかけから、組織がじわじわと死んでいくと?

大場先生

糖尿病足病変で毛細血管に血流障害や神経障害が起こると、体は「治す」という方向へ動けなくなります。この前段階として、冷えやむくみが血流障害のサインとして起こることもあります。

編集部

その最終段階が、組織の腐る壊疽ということですか?

大場先生

そうなります。組織が壊疽すると、細菌などを跳ね返すバリア機能に加え、皮膚近くで食い止める免疫機能なども失われます。したがって、壊疽した部分は広がっていくのです。病変拡大を抑えるとしたら、「切断」という方法が第一に考えられるでしょう。

関連記事:

ピックアップ

初回から「オンライン服薬指導」恒久化へ
社会生活技能訓練(SST)ってなんですか? 具体的に何をするの?
「いま私、人生2回目の矯正中です」眞鍋かをりと考える、生活の質を上げる歯科矯正
厚生労働省がワクチン3回目摂取を容認、医療従事者は早ければ12月にも