養育保証サービスとは?利用前に知っておきたい注意点

養育保証サービスとは?利用前に知っておきたい注意点

5、養育費保証サービスは本当に合法?

養育費保証サービスは民間の新しいサービスですので、現在の法律では十分に対応しきれない部分もあるのが実情で、今後新しい法的な問題が発生する可能性もあります。

日本弁護士連合会でも令和2年7月17日に「養育費保証サービスに関する注意喚起について」という文書を発表し、養育費保証サービスの法的な問題点等について指摘しています。

養育費保証サービスの内容が違法であると判断されても、利用者が罪に問われるようなことはありませんが、保証会社は事業から撤退する可能性があります。

せっかく契約しても、その保証会社が途中で事業を取りやめるおそれもないとはいえませんので、利用する際には注意が必要です。

少し難しい問題ですが、次の2点の問題は利用前に知っておいていただきたいと思います。

(1)保証会社の元夫(元妻)に対する取り立てが違法となるケース

業務(営業行為)として、他人の権利を譲り受けて回収する行為は、法令によって特別に認められた場合(サービサーの場合)を除いては、弁護士(および認定司法書士)以外の者が行うことはできません(弁護士法第73条)。

養育費保証サービスは、保証契約(に基づく求償権の行使)の形式を取っていますが、ケースによっては、上記のルールに抵触する可能性がないとはいえません。

たとえば、すでに未払いとなっている養育費までも保証の対象にするようなケースや、養育費の受取人と保証会社のみで契約が交わされているようなケースは、弁護士法第73条に違反すると判断される可能性があります。

(2)保証会社が交渉・文書作成を代行することが違法となるケース

現存する養育費保証サービスのほとんどは、保証契約に先立って養育費について支払人・受取人間の合意があることを前提としています。

しかし、今後は、養育費に関する相手方との交渉や、書面の作成などを請け負う業者が現れる可能性があります。

離婚協議の最中にある利用者にとってはこのようなサービスとワンセットになっている方が利便性も高いともいえるからです。

しかし、離婚に関する協議を業として行うことが認められるのは弁護士のみです。

したがって、このようなサービスは、いわゆる非弁行為として弁護士法第72条に違反する可能性がかなり高いといえます。

保証会社としては、顧問弁護士や提携弁護士を介してこのようなサービスを提供することが考えられますが、その場合には保証料がさらに高額化すると考えられます。

(3)利用するなら定評のある大手の保証会社を選ぼう

以上でご説明したように、現状において養育費保証サービスには違法のリスクがつきまとうといわざるを得ません。

保証会社も合法性には十分に配慮して事業を行っていますが、なかには零細な企業だと法的検討が十分でないところもあるかもしれません。

弁護士法等に抵触する業者と契約すると、途中で業者が違法性を指摘されて事業を取りやめて、それまでに支払った保証料が無駄になってしまうおそれがあります。

そのため、現時点で養育費保証サービスを利用するなら、定評のある大手の保証会社を選ぶのが無難でしょう。

具体的には、「養育費保証サービス」というワードでネット検索をして、上位にヒットするような業者は比較的安全と考えられます。

6、養育費保証サービスの利用をお考えなら弁護士に相談を

現時点では養育費保証サービスには問題点も潜んでいますので、養育費の支払いについて不安がある場合は、まずは弁護士に相談してみるのがおすすめです。

弁護士に依頼すれば、養育費保証サービス以外の方法で養育費を確保することも期待できます。

実際に不払いが発生した場合には、弁護士が「強制執行」を申し立てて支払人の給料や預金口座を差し押さえて、養育費を回収してくれます。

ただし、強制執行を申し立てるためには「債務名義」という、強制力のある書面を取得している必要があります。

債務名義に該当する書面には、家庭裁判所の調停調書・審判書・判決書・和解調書の他、公正証書もあります。

公正証書は調停や裁判をしなくても作成できますが、少し複雑な作成ルールがあります。

調停や裁判を行うにも、裁判所で複雑な手続きを行わなければなりません。

弁護士が付いていれば、これらの複雑な手続きを全面的にサポートしてくれます。

また、養育費の不払いは、支払人と受取人との間で離婚条項が適切に定められていなかったことが原因となっている場合も少なくありません。

離婚当事者同士のみの話し合いは感情的になってしまい、養育費の額を適切に決めることができていないことも珍しくないからです。

養育費についての交渉を弁護士に依頼すれば、それぞれのケースであらゆる状況を検討した上で、支払人と受取人の双方が納得できる公平な金額を提案することも可能です。

交渉は弁護士が依頼人に代わって行いますので、依頼人は相手方と顔を泡焦る必要もありません。

養育費について不安なことや、わからないことがある場合には、1人で悩みを抱えずに弁護士事務所の無料相談を利用してみましょう。