反社チェックはなぜ必要か、どうするのか?実務のポイント5項目

反社チェックはなぜ必要か、どうするのか?実務のポイント5項目

あなたは総務部の中間管理職。

経営者が突然「我社の反社チェックは大丈夫なのか。」と言い出しました。

反社会的勢力」のことを略して「反社」と呼ぶようです。

反社チェック」とは一体何なのでしょうか。当社は、ごく普通の企業であり、別に怪しげな取引先がいるなど考えたこともありませんでした。

そんなあなたのために、反社チェックとは一体何か、なぜ必要なのか、どのようにすればよいのか、ポイントをわかりやすく説明します。

反社チェックは他人事ではありません。問題の種はあちこちに転がっています。

この記事でポイントを理解していただければ、別に怖い事ではありません。

健全な企業活動を進めるために、この記事がお役に立つことを願っています。

 1、反社チェックとは?

はじめに、反社チェックとはどのようなことか簡単に確認しておきましょう。

(1)反社チェックとは?

暴力団をはじめとする反社会的勢力は、実態を隠し企業に接近し、資金獲得活動を巧妙に行っています。

反社チェックは、このような反社会的勢力との関係遮断のための取組みです。

「取引開始前にチェックして、反社会的勢力との取引を行わない」というだけにとどまりません。

取引開始後でも、反社会的勢力と判明すれば、速やかに取引解消に向けて活動することが必要です。

(2)反社チェックが欠かせない業界・企業

反社会的勢力との関係遮断は、どのような業界でも必要なことです。

特に、反社チェックが重要な業界として、次のものが挙げられます。

①金融機関

資金取引が反社会的勢力の不正な資金獲得活動に用いられることを防ぐため、厳しい反社チェックが義務付けられています。

②上場企業や上場準備中の企業

反社会的勢力による証券市場の濫用を防止し、証券市場の秩序の維持及び信頼の向上を図る観点から、証券取引所等から、厳しいチェック指針が示されています。

③不動産業界

反社会的勢力による不動産の取得・借入や暴力団事務所の設置を阻止し、仮に事務所が設置された場合の速やかな排除が必要です。

2、なぜ反社チェックをするの?〜反社等との関係遮断の必要性

なぜ反社チェックをするのか。

それは、反社会的勢力との関係遮断を徹底し、反社会的勢力を社会から排除することが必要だからです。

(1)反社会的勢力の定義を確認しよう

はじめに「反社」の定義を確認しておきましょう。反社会的勢力は、企業活動を装ったり、政治活動や社会運動を標ぼうしたりなど、不透明化を進展させています。姿を変え、形を変えて、企業に接近する反社会的勢力をとらえるため、公的機関が詳細な定義を定めています。

①政府指針による定義 

平成19年(2007年)6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せにより企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(以下「反社指針」)が定められました。

反社会的勢力を「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」と定義しています。

②警察庁が暴力団排除条項として示したモデル 

排除すべき対象の範囲について、反社会的勢力のみならず、これに関係した者も含んでいます。さらに、暴力的な行為を行うものも含まれるとしています。

警察庁の暴力団排除条項モデルの概要は次の通りです。1と2が「属性要件」、3が「行為要件」と言われるものです。

1.反社会的勢力

暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から○年(※5年の範囲で適宜定める)を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団、その他これらに準ずる者

(注)暴力団員でなくなった時から○年を経過しない者というのは、形ばかり暴力団から脱退したように見せかけて、実質的な活動を続ける者がいるためです。

2.反社会的勢力と以下の一にでも該当する関係を有する者

①反社会的勢力が経営を支配、又は経営に実質的に関与していると認められるとき

②自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に反社会的勢力を利用したと認められるとき

③反社会的勢力に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められるとき

④その他役員等又は経営に実質的に関与している者が、反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有しているとき 

3.自ら又は第三者を利用して以下の一にでも該当する行為をなす者(いわゆる「行為要件」)

①暴力的な要求行為

②法的な責任を超えた不当な要求行為

③取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為

④風説を流布し、偽計又は威力を用いて相手方の信用を棄損し、又は業務を妨害する行為

⑤その他前各号に準ずる行為

(参考)警察庁が示した暴力団、排除条項モデル

東京都暴追センターの「暴力団対応ガイド総合版」にも「表明・確約書」、「暴力団排除条項」の文例が掲載されていますので、ぜひご一読ください。

(2)反社会的勢力との関係遮断の実質的な意味

反社会的勢力との関係遮断が必要な理由について、「反社指針」では次のように説明しています。

①暴力団の資金源への打撃の必要性

暴力団の資金源に打撃を与えることは、治安対策上、極めて重要な課題であり、企業の社会的責任の観点から必要かつ重要である。

②コンプライアンス の観点

反社会的勢力に対して屈することなく法律に則して対応することや、反社会的勢力に対して資金提供を行わないことは、コンプライアンスそのものである。

③企業防衛の観点 

反社会的勢力は、従業員を標的として不当要求を行ったり、企業そのものを乗っ取ろうとしたりするなど、最終的には、従業員や株主を含めた企業自身に多大な被害を生じさせる。反社会的勢力との関係遮断は、企業防衛の観点からも必要不可欠な要請である

(参考)反社会的勢力が企業に深刻な打撃を与えた事件は、次の記事を参照。銀行や一流企業が反社会的勢力に食い物にされ、関与した役職員が民事・刑事上厳しい責任を追及されています。

(3)公的な規制内容を確認しておこう

①政府の「反社指針」

基本的な事項が明記されています。主なものは次の通りです。

  • 経営トップ以下組織的に対応。警察暴追センターほか外部専門機関との連携。
  • 反社会的勢力との一切の関係遮断。不当要求の拒絶。
  • 契約書等への暴力団排除条項導入。
  • 反社会的勢力の情報を集約したデータベースの構築と逐次更新。

②各都道府県の暴力団排除条例 

全都道府県で暴力団排除条例が定められています。ポイントは次の通りです。

  • 基本理念:3ない+1

「暴力団を恐れない。」「暴力団に金を出さない。」「暴力団を利用しない。」

+「暴力団と交際しない。」

  • 契約時の暴力団排除条項導入
  • 暴力団関係者への利益供与の禁止
  • 暴力団関係者への名義貸し等の禁止

 ③証券取引所等の基準

スタートアップやベンチャーだからといって、反社チェックをおろそかにしていると、上場審査で問題になりかねません。

例えば、東京証券取引所の「上場審査等に関するガイドライン」には以下の定めがあります。

「6.(公益又は投資者保護の観点)

(3) 新規上場申請者の企業グループが反社会的勢力による経営活動への関与を防止するための社内体制を整備し、当該関与の防止に努めていること及びその実態が公益又は投資者保護の観点から適当と認められること。」

(4)企業は自らを守らなければならない 

企業として大切なことは、このような公的な規制を順守する、ということにとどまりません。

企業防衛の観点から、自らの取引先が信頼に足る企業なのかどうかチェックすることは、企業としての必須の要件です。

反社会的勢力と取引を行っているということがわかったら、「顧客離れ」を招くでしょう。大事な取引先からも見放されるでしょう。その上、監督官庁からの厳しい処分や、民事・刑事上の責任追及が待ち受けています。

関連記事:

ピックアップ

DVで離婚|慰謝料請求方法と相場より多くもらうためのポイント8つ
性格の不一致が理由で離婚する5つの方法と慰謝料請求の手順を解説
旦那と別れたい!結婚相手と離婚するために知っておくべきこと5つ
自己破産のご相談・ご依頼は弁護士へ!ベリーベスト法律事務所