痩せている若年女性は、普通体型よりも糖尿病のリスクが高いって本当?

痩せている若年女性は、普通体型よりも糖尿病のリスクが高いって本当?

一般に糖尿病と聞くと、メタボ体型の人が陥りやすいというイメージがありますが、「痩せ型の女性」にも、そのリスクは潜んでいるようです。こうした情報から昨今、炭水化物のカットや低糖質ダイエットなどが注目されています。しかし、こうした工夫がむしろ逆効果を招くとしたら。素人考えの危険性について、「大場内科クリニック」の大場先生が解説します。

大場啓一郎

監修医師:
大場 啓一郎(大場内科クリニック 院長)

昭和大学医学部卒業。昭和大学医学部大学院薬理学講座医科薬理学部門卒業。2014年、神奈川県相模原市に「大場内科クリニック」開院。2016年、法人化に伴い「医療法人社団若葉堂」理事長就任。なんでも相談できる「かかりつけ医」として尽力している。医学博士。日本内科学会、日本プライマリ・ケア連合学会、日本ワクチン学会の各会員。

お腹まわりではなく、血中にメタボが現れる

お腹まわりではなく、血中にメタボが現れる

編集部

糖尿病というと、メタボ体質の人がかかるイメージです。

大場先生

ところが、18~29歳の女性に対しておこなった順天堂大学の研究によると、「痩せ型の女性は標準体重の女性に比べて、耐糖能異常の割合が約7倍高かった」との報告がありました。耐糖能異常とは、糖尿病と同様に、血中の糖のコントロールが難しくなった状態のことを指します。

編集部

どうして、そのようになるのでしょうか?

大場先生

血糖値を下げるインスリンが適切に放出されていないことに加えて、インスリンそのものが十分に働いていないからと思われます。つまり、痩せている女性にも、メタボな中年男性と同じことが血中で起こっているということです。

編集部

そもそも、耐糖能異常はどうして起こるのですか?

大場先生

あくまでメタボ体型の人の場合ですが、まず余分な糖を蓄えようとして肝臓や内臓などに脂肪がつきます。そして、糖の貯蔵スペースがなくなってしまったことに加え、体の脂肪が増えたことによりインスリンの分泌が減り働きも弱まります。その結果、行き場を失った糖が血中にあふれてきます。ですが、この機序が痩せている女性にも当てはまるのかというと、そこまでは不明です。

編集部

痩せ型女性の症例については、まだ明らかになっていないことも多いのですか?

大場先生

そうですね。痩せているにも関わらず、メタボ体型の人と同じようなことが起こっていることがわかっています。痩せていてメタボ体型の人に比べて脂肪がないのに、なぜ同じようなことが起きているのかは、まだ十分に解明されていないようです。

痩せすぎでエネルギー不足になると、身体機能が低下する

痩せすぎでエネルギー不足になると、身体機能が低下する

編集部

順天堂大学の報告で「痩せ型」の目安となったのは?

大場先生

BMIが「16.0~18.49」の女性を対象としたそうです。BMIは、「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で求められます。例えば、身長155cmで体重43kgの人なら、BMIは17.9ということですね。日本人女性の20%くらいは、同報告でいうところの痩せ型に属していると言われています。

編集部

なぜ、痩せ型なのに異常がみられたとお考えですか?

大場先生

これから研究が進むと思いますが、「運動量」、「食事量」、「筋力」のそれぞれが少ない「エネルギーの低回転状態」であることと関係しているのではないかと考えられます。つまり、代謝が低下している状態なのだと思います。

編集部

糖質を摂り過ぎているためではなく、代謝が低下しているからだと?

大場先生

はい。瘦せ型で糖尿病を発症する女性は、糖質の摂取量がむしろ少ないようです。筋肉量が少ないと、エネルギー消費が落ちてしまいます。血液中の糖が使われることもなく、蓄えられることもなく、残ってしまっている状態であると私は考えています。

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