性格の不一致が原因の離婚で慰謝料請求はできない?弁護士が解説

性格の不一致が原因の離婚で慰謝料請求はできない?弁護士が解説

日本の夫婦が離婚する原因として最も多いのが、「性格の不一致」です。

しかし、実は「性格の不一致」は法律上の離婚原因としては認められていません。

そのため、性格の不一致を理由として離婚する夫婦の多くは、裁判ではなく話し合いによる協議離婚をしています。

では、性格の不一致で離婚する場合に慰謝料請求はできないのでしょうか?

特に、相手の性格に嫌気が差して離婚する場合には気になるところでしょう。

そこで今回は、

  • 性格の不一致による離婚で慰謝料請求は可能か
  • 性格の不一致による離婚で慰謝料請求できるケース
  • 性格の不一致による離婚の慰謝料(解決金)の相場

などについて、離婚問題に精通したベリーベスト法律事務所の弁護士が解説していきます。

この記事が、パートナーとの性格の不一致に悩み、離婚慰謝料がもらえるどうかが気になる方の手助けとなれば幸いです。

なお、そもそも性格の不一致で離婚できるのかどうかの問題については、こちらの記事をご参照ください。

1、性格の不一致による離婚で慰謝料請求は可能か

結論から言いますと、性格の不一致による離婚では慰謝料請求するのは難しいのが実情です。

ただし、一切請求できないわけではなく、状況によっては請求できるケースもあります。

以下で、その理由を解説します。

(1)そもそも離婚慰謝料とは

まず、慰謝料というのは、他人の不法行為によって被害者が受けた精神的な苦痛に対して支払われる損害賠償金のことです。

したがって、慰謝料請求が認められるためには、相手が不法行為をしたことと、それによって自分が精神的苦痛という損害を受けたことが要件となります。

離婚慰謝料の場合でいえば、パートナーが離婚原因となる不法行為をして、それによって配偶者が損害を受けたと評価できる場合にのみ、慰謝料請求が可能となります。

離婚慰謝料の請求が認められる典型的なケースは、パートナーが浮気や不倫をした場合です。

この場合、パートナーは法律上の「貞操義務」(配偶者以外の異性と性的関係を結んではならないという義務)に違反して配偶者に精神的苦痛を負わせていることが明白です。

そのため、浮気や不倫で離婚する場合には、損害賠償請求として離婚慰謝料の請求が認められるのです。

(2)性格の不一致のみが離婚理由の場合は請求できない

この点、「性格の不一致」というのは、「価値観が合わない」「考え方が大きく違う」という問題であり、どちらが悪いともいえないものです。

そもそも不法行為が行われていないため、慰謝料は発生しません。

性格の不一致による離婚でも精神的な苦痛はあると思われるかもしれませんが、それは相手の不法行為に基づくものではありません。

パートナーの方も、同じような精神的苦痛を受けているはずです。

また、妻側はどのような離婚理由でも慰謝料をもらえると思い込んでいる人もいるかもしれませんが、この考え方は誤りです。

上でご説明したように、パートナーが不法行為によって離婚原因を作った場合でない限り、慰謝料請求は認められないのです。

結局、性格の不一致のみが離婚理由の場合は、慰謝料請求はできないということになります。

2、性格の不一致で離婚と慰謝料を請求することが難しい理由

実際に性格の不一致で協議離婚する夫婦は多いですが、法律上は慰謝料請求だけでなく、離婚すること自体が難しいのです。

そのため、性格の不一致で離婚を求める際に自分が被害者だと思っていても、要求が受け入れられずに困ってしまうことになるでしょう。

そこで、性格の不一致で離婚と慰謝料を請求することが難しい理由を知っておきましょう。

(1)一方的に性格の不一致を感じているケースがある

性格の不一致を感じているのは自分だけで、パートナーがそう感じていない場合には離婚と慰謝料を請求するのは難しくなります。

そもそも、本当に性格が不一致であれば、お互いに不一致による不便を感じるのが本来の姿です。

実際に性格の不一致で離婚している夫婦の多くは、双方が「性格が合わないので別れたい」と思うからこそ、協議離婚が成立するのです。

しかし、人間関係とはそんな理論だけで繋がっているものではありません。

一方が「不一致だ」と感じても、片方は「一致している」と感じていることも少なくないのです。

このようなケースでは、慰謝料どころか離婚にすら応じてもらえないでしょう。

(2)性格の不一致は証拠がなく曖昧

性格の不一致でも、夫婦関係が破たんしているような場合には、「その他婚姻を継続したがたい重大な事由」(民法第770条1項5号)という法律上の離婚原因に該当する可能性もあります。

しかし、浮気やDVと異なり、性格の不一致は「どう感じるか」の問題なので、証拠が残りづらいということがあります。

証拠がなければ第三者が事実関係を判断することはできませんので、調停や裁判をしても、慰謝料は当然ながら離婚すら認めてもらうことが難しいわけです

また、性格の全てが合わないわけではなく「こういうところはいいのだけれど」という部分があればなおさら、考え方を互いに変えることで夫婦関係を持続できる可能性があるのでは、と考えられてしまいがちです。

(3)性格を否定することはできない

どんなに変わった性格であっても、人が他人の人格(性格)を否定する権利はありません。

さらにいえば、人がどのような性格をしていても、本人にその責任を問うことはできません。
ましてや、悪い性格をしているからといって、それが不法行為に該当するわけでもありません。

そのため、損害賠償の性格をもつ慰謝料は、裁判では認められづらいということになります。

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