3、性格の不一致による離婚で慰謝料を請求できるケース
性格の不一致で離婚と慰謝料の請求が難しいとはいえ、実際には性格の不一致で離婚し、慰謝料も支払われているケースは数多くあります。
そこで次に、性格の不一致による離婚で慰謝料を請求できるのはどのようなケースなのかをみていきましょう。
(1)合意できた場合
まず、夫婦間の話し合いで合意できた場合は、慰謝料を支払ってもらうことが可能です。
合意さえできれば、慰謝料の有無や金額を自由に決めることができます。
ただ、夫婦で話し合ったとしても、スムーズに合意できるケースばかりではありません。
パートナーとの合意を得るコツは、自分が相手の性格に我慢をしてきた証拠を残すことです。
性格の不一致で慰謝料を請求したい場合、相手の性格に我慢ができなくなったことを意味すると思います。
つまり、我慢してきたという精神的苦痛に対して、慰謝料で償ってほしいということになるでしょう。
例えば、「子供は1人でいい」と一方的に言われたので2人欲しかったのに我慢した、土日は家にいたいというので本当は出かけたかったが我慢した、などのケースが考えられます。
対等な夫婦の間において、この「我慢」は、強制的に強いられているものでない限り勝手に我慢をしてきたものとみなされるのが原則です。
そのため、通常のケースでは単なる「性格の不一致」となり、法的に慰謝料を認めるまでの苦痛ではない、と判断されてしまいます。
しかし、通常の結婚生活に必要な我慢の度合いを超えて、「よく我慢してきたね」と言えるような場合には、やはり慰謝料が認められるのが相当というべきでしょう。
このような場合、第三者が見ても「よく我慢した」と認められるような証拠があれば、弁護士が間に入って交渉することで、慰謝料についてパートナーとの合意が得られる可能性があります。
パートナーが「自分は何も悪いことはしていない」と主張して譲らない場合には、円満に離婚するための「解決金」の支払について弁護士が交渉し、合意できることもよくあります。
以上のように、合意で慰謝料(解決金)を獲得するためにはパートナーとの交渉が必要ですが、証拠と弁護士の交渉力によって交渉を有利に進めることが可能になります。
(2)他に法定離婚事由がある場合
離婚の理由として、性格の不一致だけでなく法定離婚事由もある場合には、それに基づく慰謝料請求が可能となります。
法定離婚事由とは、パートナーとの合意がなくても離婚が認められる事情として法律に定められた事由のことであり、民法第770条1項で以下の5つが定められています。
1. 不貞行為
2. 悪意の遺棄
3. 配偶者の生死が3年以上明らかでない
4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
5. その他婚姻を継続し難い重大な事由
性格の不一致で離婚を求める場合でも、よく見ると法定離婚事由があるケースは少なくありません。
例えば、性格の不一致が発端となって、パートナーが浮気やDV、モラハラなどをしているケースが典型的です。
そこまでいかなくても、金銭感覚の違いで性格の不一致を感じているケースで、パートナーの浪費によって家計が成り立たず、夫婦関係が破たんしているような場合も「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
4、性格の不一致による離婚の慰謝料(解決金)の相場
パートナーとの合意による慰謝料(解決金)を求める場合は、交渉次第という面が大きくなります。
そのため、金額はケースバイケースとなるので、一概にいうことはできません。
前記「3」(1)でご説明したように、証拠と弁護士の交渉力を活用すれば、さらに高額の慰謝料(解決金)を獲得することも不可能ではありません。とはいえ、あくまでも交渉次第という点にはご注意ください。
他に法定離婚事由がある場合は、法定離婚事由の種類によって慰謝料の相場が異なってきます。
おおよそですが、以下の相場を参考になさってください。
- 不倫・浮気の場合:数十万円~300万円程度
- DV、モラハラの場合:数十万円~300万円程度
- 悪意の遺棄の場合:数十万円~200万円程度
- セックスレスの場合:数十万円~100万円程度
配信: LEGAL MALL