森林の課題解決と災害時の助けとなる薪の備え「備蓄木プロジェクト」<後編>

森林の課題解決と災害時の助けとなる薪の備え「備蓄木プロジェクト」<後編>

垂直避難に備える「ペール缶タイプの備蓄木セット(BICHIKU-BOKU S-Kit)」

—ペール缶タイプの備蓄木セットについても教えてください

(河村さん)
ペール缶の備蓄木セット(BICHIKU-BOKU S-Kit)の方は、垂直避難に役立ててもらえたらと考えています。
最近、屋上活用も広がってきていますよね。屋上にキャンプ場を設けるマンションも出てきています。そういうところでは、屋上に普段から椅子としておいて置いていただいてもいいですし、普段は室内で管理しておいていざという時に屋上に持って行って頂いてもいいと思います。

津波が発生するような地震が発生した場合、「津波避難場所や津波タワーまでは遠くて間に合わない。逃げるには周りに高い建物がここのマンションしかない」という地域も結構あると思うんです。そういった地域など、垂直避難の方が向いているって地域が絶対にあるので、そういう場所は垂直避難を前提に、置いておいて頂きたいですね。

—ペール缶タイプの備蓄木セットはどのようなセット内容になっていますか

(河村さん)
ペール缶の備蓄木セットを備えたいという方は、すぐに始められるようにペール缶ひと缶で、備蓄木スタートキット(S-Kit)というのを作っています。これには、かんな屑と木の皮と、焚き付け用の割木が入っていて、初心者の方でも、誰でもそのセットがあれば小さな火種から火をつけていける。火をつけたら、あとは薪を入れていけば大丈夫です。
薪での焚き火は、最初の火を起こすというのが、結構大変なんです。その火を付けるためのスタートキットをまずはひと缶用意して頂いて、あとはもう、一缶ずつ薪が入っているので、それをいくつ用意していただくのかという感じです。だいたい、暖を取ろうと思うと季節によって変わりますが、冬の中でもそこまで寒くない時期でほどほどに炊くのであれば、だいたいひと缶で一晩くらいは大丈夫です。

ですから、最低3缶くらいでしょうか。スタートセットと、薪を3缶くらい備えておければ、3〜4人ほどであれば、三晩弱くらいはいけると思います。値段は、備蓄木焚き火スタートキットで1セット3万円から。ストック用の薪で1セット2万円からです。ペール缶でストックしておくのか、段ボール箱でストックしておくのかによっても、金額が変わってきます。

備蓄木ステーションとペール缶タイプ、それぞれ単体というだけでなく、災害時にどんな行動が生まれるのかというのをイメージして、セットで考えていただくというのも良いのではと思います。

在宅避難でライフラインがストップするのに備えるというのであれば、例えば薪棚だけを準備しておくとか、ダンボールに入れてあるタイプの備蓄木も日本森の十字社でご用意するので、そういった薪を外の倉庫などに積んでいれておいて頂いたりして、在宅避難に備えると言うこともできると思うので、ペール缶だけですべてを完結させようというのではなく、備蓄木ステーションと併用したり、ダンボールで詰めるものを併用したりできると良いのではと思います。
ご家庭などでは、ペール缶タイプのものをいくつも備えておくというのも、大変になってきますしね。

もちろん、災害時の避難として車中泊やテント泊などを考えていらっしゃる方は、個人でペール缶タイプを備えていただくと良いと思います。
避難場所などでも、備蓄木ステーションと合わせてペール缶タイプを備えておいて頂くと、避難してきた方たちへの配布がしやすいかも知れませんね。

—備蓄木を購入したいという方は、どのような方法がありますか?

(河村さん)
一般社団法人日本森の十字社のホームページ( https://bichiku-boku.jp/#allinone-set )からお申し込みいただけます。クレジット決済にも対応しています。
ホームページからお問い合わせいただければ、ご請求書をお出ししたり、銀行やゆうちょでのお振込にも対応しています。
備蓄木ステーションにご興味を持って頂けた法人などの方も、ホームページからお問い合わせ頂いたり、お電話をいただければご相談させて頂きます。
まずは、日本森の十字社のホームページをご確認いただければ幸いです。

焚き火の持つ5つの効果

—ここまでお話を伺ってきて、災害時の備蓄木は暖をとることが大きな効果だと感じましたが、夏場はいかがでしょうか

(河村さん)
備蓄木による焚き火は、冬の寒い時期に暖をとるということはもちろんですが、夏の暑い時期にも役立ちます。
寒い冬には、焚き火をして暖をとり、低体温症を防ぐという効果がありますし、火を起こして温かい食べ物を取るというのは、どの季節でも必要なことです。
暑い夏には、汗をかきますが、災害時にライフラインが止まった時にはお風呂に入ることが難しくなります。
そんな時に、温かいお湯でタオルを絞って体を拭くことは、気持ちよさと衛生面を確保することができます。熱中症対策にも役立ちますね。

暖をとる(低体温症を防ぐ)こと、温かいものを食べることに加えて、お風呂がわりにお湯を沸かして温かいタオルで体を拭くことで熱中症を防ぐなど衛生面を確保する。
この3つが備蓄木を使って頂くことで得られるということですね。

さらに、防災関連の方たちの間でよく言われることが、精神的な安らぎを得るために焚き火が役立つということです。
焚き火の炎の揺れには、1/f揺らぎという、人間が心地よく感じるリズムパターンがあって、炎を眺めることで本能的に落ち着いて、脳波にはリラックス状態を占めるアルファ波が増えるという効果があるということも科学的に確認されています。
焚き火の炎を眺めることで、災害時の緊張やストレスを和らげ、心理的な安らぎを得られるということですね。

また、東日本大震災の時には暖をとるために焚き火をした避難所もあり、避難している人たちが集まって焚き火の炎を囲むことで、コミュニティができてきたんだそうです。焚き火の炎を囲むことで安心もするし、それだけじゃなく、人と人との繋がりも生まれる。さらに新しいコミュニティが生まれる場所になっていくということもあるということを、被災された方から伺いました。
これは、焚き火の大きな効果で、備蓄木の持つ可能性なのではないかとも思います。
1)低体温症の防止
2)温かい食事
3)熱中症対策
4)精神的な安定
5)新しいコミュニティを形成することができる

この5つの利点が、備蓄木ステーションにもペール缶タイプの備蓄木キットにもあるということですね。

また、この備蓄木ステーションなどを使用してもらう場面しては、首都直下型地震や南海トラフ地震などの巨大地震、大きな災害を想定していて、そうした災害時には長期間のインフラ停止が起こった場合に対して、備えていくということを想定しています。

——森林の課題から繋がる里や都市部のリスクの軽減にもつながる、間伐。その間伐材を薪にして災害時に備えておくことで、大きな効果が期待できます。災害時にも焚き火をすることで火災を招かないような配慮をすることはもちろん必要ですが、家庭などでも常備しておくことで大きな安心につながるかも知れません。

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私たち moshimo ストックは「もしも」のための防災情報メディア。 最近、地震や台風がよく起きるようになって心配。 防災をしようと調べてみたものの、何から始めればいいの…? 私たちも始めは知ることがたくさんあって、防災ってちょっと難しいな…と思いました。 でも、ちょっと待って下さい! もし何の準備もなく災害にあってしまったら大変です。 防災は少しずつでも大丈夫、「もしも」のための準備を始めませんか?
私たち moshimo ストックは「もしも」のための防災情報メディア。 最近、地震や台風がよく起きるようになって心配。 防災をしようと調べてみたものの、何から始めればいいの…? 私たちも始めは知ることがたくさんあって、防災ってちょっと難しいな…と思いました。 でも、ちょっと待って下さい! もし何の準備もなく災害にあってしまったら大変です。 防災は少しずつでも大丈夫、「もしも」のための準備を始めませんか?

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