音楽を使った作業療法ってどんな治療なのでしょうか? 効果について教えて!

音楽を使った作業療法ってどんな治療なのでしょうか? 効果について教えて!

音楽を使った作業療法とはどんな治療で、どのような効果があるのでしょうか? 作業療法において音楽は身体疾患や精神疾患を持つ患者に対し、効果的なアプローチ方法として様々な場面で用いられています。今回は、「作業療法士」の金城さんに音楽を使った作業療法の治療内容とその効果について詳しく解説していただきました。

金城 亜矢

監修:
金城 亜矢(作業療法士)

岡山県立大学大学院修士課程卒業。倉敷市の一般病院で15年間、作業療法士として勤務。うち5年間はリハビリテーション部の課長を務める。精神医学の非常勤講師として、未来のセラピスト教育に携わっている。沖縄へ移住後、作業療法士の経験を生かし、正確な情報をわかりやすく伝えるため、医療系Webライターとして活動中。

音楽を使った作業療法とは医療であり、治療法の一つ

音楽を使った作業療法とは

編集部

音楽を使った作業療法とはどんなものなのでしょうか?

金城さん

リハビリの現場では生活環境の改善、感覚運動機能の改善、精神認知機能の改善、コミュニケーションや対人機能の改善、課題遂行機能の改善などを目的に音楽が用いられています。音楽を作業の一つとして捉え、その特性を活かすことで病める心を癒やし、身体や精神機能の維持と回復、QOL(生活の質)の向上を目的としています。音楽を聴き、歌い、奏で、作り、楽しむことを中心に、音やリズムに関連する様々な活動を行います。

編集部

音楽を使った作業療法は、どんな人が対象となるのでしょうか?

金城さん

作業療法は医療であり、医療機関で行われる治療法になります。医師の判断で、治療的介入が必要であると診断された場合が対象となります。作業療法士が音楽を用いて治療的介入を行う疾患や症状には、「疼痛の軽減」「悩み、不安の軽減」「うつ病」「統合失調症」「認知症」「パーキンソン病」「自閉症スペクトラム障害」「失語症」などがあげられます。

編集部

聴覚障害がある場合は、対象にならないのでしょうか?

金城さん

聴覚に障害がある場合、音楽を用いた作業療法は難しいのではないかと思う方も多いでしょう。しかし、音楽は、「耳から聞こえてくる音」だけではありません。聴覚に障害があっても、リズムをとって振動を体感し、音楽を奏でることは可能です。音楽の形や要素は様々なので、患者の症状に合わせながら工夫を凝らし治療的介入を行います。例えば、難聴のある高齢者の場合、高音が聞こえにくいという症状が多くみられますが、音の高さに注意しながらアプローチを行うことで対応は可能です。

作業療法における音楽の役割

作業療法における音楽の役割

編集部

作業療法において音楽にはどのような役割があるのでしょうか?

金城さん

音楽が用いられる作業療法の一つに、認知症の患者が対象のレクリエーションがあります。そこでの音楽の役割は、歌うことによる心肺機能向上効果、楽器を叩くことによるストレス発散効果、ゆったりとした音楽を聴くことによる癒し効果、リズムに合わせたダンスや体操による二重課題訓練としての認知機能改善効果などがあります。また、音楽と記憶には密接なつながりがあるため、「この曲を聴くとあの頃を思い出す」といったように、昔の音楽に触れることで、若い頃の記憶がよみがえり、会話が弾むなどの精神賦活(せいしんふかつ)や精神的な安定効果の役割もあります。

編集部

音楽療法士が行う音楽療法と違う点はありますか?

金城さん

「音楽を使った療法」という概念では同じですが、音楽療法士と作業療法士の違いは医療職であるかどうかであり、音楽療法士は国家資格の医療職ではありません。

編集部

音楽を使った作業療法はどうしたら受けられるのでしょうか?

金城さん

作業療法は医療機関におけるリハビリなので、まずは医師による診断が必要です。医療機関を受診してリハビリが必要であると医師が判断した場合、治療対象となります。また、その中で患者の症状に応じ、音楽が有用だと判断された場合、音楽を使った様々な作業療法が行われます。

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