ギャンブルで自己破産する際に知っておきたい3つのこと

ギャンブルで自己破産する際に知っておきたい3つのこと

ギャンブルでの借金を理由に、自己破産することができるのでしょうか。

この点、自己破産における「免責不許可事由」に「浪費または賭博その他の射幸行為」があり、ギャンブルが原因の借金は、基本的に免責を得ることができません。

しかし、「裁量免責」を受けられば、自己破産できる場合があります。

もっとも、この「裁量免責」は、誰でも得られるというわけではないのです。

今回は、ギャンブルが原因の自己破産において重要なポイントとなる自己破産と免責との関係、裁量免責の仕組みなどについてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説いたします。

ギャンブルで多額の借金があり、自己破産を考えているという人は、是非参考にしてください。

1、ギャンブルの借金は自己破産できるのか

自力では返済するのが不可能と感じるほどの多額の借金を抱えてしまった場合でも自己破産することによって借金を解決することができます。

しかし、ギャンブルが原因で多額の借金を抱え自己破産をする場合には、これから解説する点に注意する必要があります。

(1)自己破産しただけでは借金は免除されない

自己破産について最初に注意すべきは「自己破産しただけでは借金を帳消しにすることはできない」ということです。
なぜなら、自己破産の手続それ自体は、借金を清算するため(債務者の財産を処分し、債権者に対して公平に配当するため)の手続であって、返済を免除するための手続ではないからです。

借金の返済を免除してもらうためには、自己破産の手続が終わった後に裁判所の手続を経て「免責」を認めてもらう必要があります。

しかし、借金の免責は、「無条件で認められる」というわけではありません。
借金の返済義務を免除することは、債権者の権利を大きく損なわせる行為なので、債務者(破産者)が「著しく不誠実な事情」を抱えている場合にまで免責を認めることは、債権者との関係で公平とはいえず、モラルハザードなどを引き起こす原因にもなりかねないからです。

そのため、ギャンブルが原因の借金で自己破産した場合には、「免責を得られない」可能性があるということになります。

(2)ギャンブルの借金と免責不許可事由の関係

「免責が認められない場合」は、破産法252条1項(の各号)が具体的に定めています。
これらの事情のことを「免責不許可事由」とよんでいます。 

(免責許可の決定の要件等)

第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。

-略―

四 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。

―略-

ギャンブルを原因とする借金との関係では、破産法252条1項4号が上のような規定を設けているので、ギャンブルによって「著しく財産を減少させた場合」や「ギャンブルのために過大な借金を抱えた」場合には免責不許可事由に該当するといえます。

「免責不許可」となった場合には、自己破産の手続で債権者に返済(配当)できなかった残りの借金は、今後も返済していかなければなりません。つまりは、「免責を得られる見込みがない」という場合には、自己破産は「財産を強制的に処分されるだけ」の手続ということになりますので、債務者にとっては自己破産をするメリットが全くありません。

しかし、「ギャンブルをしたことがある=免責不許可事由」というわけではないことにも注意しておく必要があります。破産法は、ギャンブルや浪費などによって「著しい財産の減少」や「過大な債務の負担(返済できる見込みのない借金の負担)」があった場合に免責不許可事由に該当すると定めているに過ぎないからです。

実際、現行法に改正される前の旧法時代ものではありますが、「ギャンブルは自己破産の『遠因』に過ぎない」という場合には、免責不許可事由には該当しないと判断された事案も存在します(東京高等裁判所昭和60年11月28日決定東京高等裁判所民事判決時報.36巻10~12号184頁)。

2、「裁量免責」を認めてもらえればギャンブルの借金でも自己破産・免責される

万が一、免責不許可事由に該当するほどの多額の借金をギャンブルで抱えてしまったという場合であっても、「自己破産できない」とあきらめる必要はありません。
破産法は、免責不許可事由に該当する場合でも「裁判所の裁量によって免責を与えること」を認めているからです(破産法252条2項)。

(1)裁量免責とは?

裁量免責とは、破産した人に免責不許可事由がある場合でも、裁判所が破産に至った一切の事情を考慮した結果、免責を与えることが相当であると判断した場合に認められる免責(破産後に残った借金の返済義務の免除)のことをいいます。

したがって、パチンコや競馬などに費やすために「年収を超えるような借金」を抱えてしまったという場合であっても、裁判所の判断次第では免責を認めてもらえる(=自己破産で借金を解決できる)余地が残されているというわけです。

実際にも、ギャンブルによって多額の借金を抱えてしまったという場合でも裁量免責が認められた事例は少なくありません。
むしろ、「悪質なケース」でない限りは、裁量免責が認められるといってもよいでしょう。

(2)裁量免責を受ける場合の注意点~破産管財人による調査

ギャンブルでつくってしまった多額の借金の返済を裁量免責によって免除してもらう場合には、通常の自己破産よりも費用が高くなってしまう可能性がある点に注意する必要があります。

一般的に、裁判所が裁量免責を与える場合には、破産者の財産の有無を問わず、破産管財人を選任した上で、裁量免責を与えるために必要な調査を行わせることが多いからです。

つまり、債権者の配当に充てる財産が全くなく、通常であれば「同時廃止」として処理できる(破産管財人を選任せずに財産の換価・配当を実施せずに手続の開始と同時に終了させる手続で進められる)ケースであっても、破産管財人を選任する必要があるということです。

破産管財人が選任される場合には、その報酬に相当する費用を破産者が負担しなければなりません(予納金)。
この予納金は、弁護士に依頼して自己破産した場合で20万円(以上)、弁護士を選任せずに自己破産した場合には50万円以上かかることが一般的です。

したがって、この予納金を工面できない場合には、「実質的に自己破産することができない」ということになります。

(3)破産管財人による調査~日記・家計簿などの提出

ギャンブルが原因で自己破産した場合に、破産管財人が選任された場合には、破産管財人によって、財産や負債の状況が調査されるだけでなく、破産した人の生活状況についても調査が行われるのが一般的です。

生活状況の調査は、破産管財人との面接などの方法で行われる場合が多いですが、面接が数回になる場合や、日記・家計簿・反省文などの提出を求められるケースも少なくありません。

破産管財人の調査への対応は、裁量免責の可否を決める上でとても重要な要素となります。
したがって、調査期日を無断ですっぽかしてしまったり、破産管財人の指示に従わないといった不誠実・非協力的な対応があるときには、そのことが原因で免責不許可となる可能性があります。

関連記事:

ピックアップ

明渡しはこれを押さえれば大丈夫!家賃支払の督促から強制執行まで解説
B型肝炎に効果的なバラクルード治療薬~抑制力や危険性の疑問を解決
肝硬変の末期症状に関する4つの知識~治療・診療・生活のまとめ~
テノゼット治療薬とは?安全に使用する為に知っておきたい10の知識