会社社長の自己破産~自己破産後の社長復帰・再チャレンジについて

会社社長の自己破産~自己破産後の社長復帰・再チャレンジについて

3、社長は自己破産せずに会社の負債を解決することは可能か?

自己破産は、借金が返せなくなったときの最終的な解決方法です。

社長が自己破産する一番の理由は、会社負債を個人保証していることが原因です。

会社の経営が行き詰まり、倒産してしまえば、会社が返済出来なかった残債務について社長個人が返済する義務を負うからです。

また、社長さんの場合には、会社負債の連帯保証だけでなく、会社とは無関係な個人としての借金であっても、ベースの収入が大きいことで多額の借金を抱えやすいので、「経営する会社の破綻=自己破産」となりやすいことは事実です。

しかし、多額の借金が返済できないという場合でも、絶対に自己破産しか選択肢がないというわけではありません。

(1)会社の破産は「できるだけ早い」方がよい

会社を自己破産させる場合には、会社が抱える負債の大部分が未払いのまま手続きが終わってしまうことが多く、社長が個人保証している負債もほとんど残ってしまうという場合が多いかもしれません。

しかし、会社を「早期に」また「上手に」自己破産させることで会社の負債を小さくすることができれば、「社長個人の自己破産は回避できる」ということもあるかもしれません。

たとえば、負債額が1円でも少ないうちに早期の自己破産に踏み切ることで、配当率を高くできれば、社長の個人資産で何とか個人保証分の返済に目処が付けられる(債権者と分割払いで和解できる)ということもあるかもしれません。

また、会社の資産を適正かつ高額に売却することも配当率を高めるためにはとても大切です。

法人破産に精通した弁護士に破産を依頼すれば、自己破産前に適正な事業譲渡や資産処分を行い、何の手立てもせずに自己破産した場合よりも高い配当率が期待できることもあるでしょう。

事業譲渡・財産処分を適正かつ好条件で行うためにも、「早期着手」はとても大事な要素となります。

(2)早期に債務整理すれば、破産以外の方法が選択できる可能性も高くなる

経営が完全に行き詰まりきる前の段階で、会社の債務整理を始めることができれば、会社の負債を自己破産以外の方法で処理できる可能性も高くなります。

たとえば、中小企業の場合であれば、民事再生手続きや私的整理を利用して有利子負債を圧縮した上で、スポンサー企業をみつけて運転資金を確保できれば、会社の事業をそのまま継続できることもあるでしょう。

また、会社を畳まなければならないという場合でも、「自己破産よりも多い配当金」を債権者に配当できるケースであれば、「経営者保証ガイドライン」を適用し、個人保証を免除してもらえる可能性があります。

4、社長の個人保証を免除してもらえるかもしれない経営者保証ガイドラインとは?

経営者保証ガイドラインは、平成26年から運用が開始された比較的新しい試みです。

中小企業にとって経営者の個人負担は、事業拡大や会社の早期適正処理の妨げとなっていることが多いことから、官民が一体となって策定した基準です。

経営者保証ガイドラインを適用できれば、中小企業の経営者が個人保証している多額の負債についても、自己破産した場合よりも有利な取扱いを受けて処理することが可能となります。

(1)経営者保証ガイドラインを適用して負債処理するための要件

経営者保証ガイドラインを利用ための条件は、次の3つです。

  • 主債務者である会社が、裁判所における倒産手続き、もしくは、中立かつ公正な第三者の関与している私的整理手続(私的整理ガイドラインに基づく私的整理)を申し立てていること(適正な倒産手続き)
  • 実際に行われる会社の倒産手続きにおける配当額が、通常の破産手続きを行った場合よりも大きくなることが見込めること(債権者にとっての経済的合理性)
  • 保証人である経営者に破産法が定めているような免責不許可事由がなく、またそれが発生するおそれがないこと(保証人が誠実であること)

簡単にいえば、

  • きちんとした手続きに則って会社の整理をしている
  • 個人保証を免除することが債権者にとって一方的に不利益とならない事情がある
  • 保証人が不誠実ではない

という要件を満たしていなければなりません。

このうち実務的に最も重要なのが「債権者にとっての経済的合理性」です。

自己破産した場合よりも配当額が高くなるように倒産を進めるには、やはり「早期対応」が必須の条件といえます。

経営状況が悪化するにしたがい、会社の資産状態も悪化していけば、有利な条件で会社の資産・事業を処分することが難しくなるからです。

(2)経営者保証ガイドラインが適用された場合の社長のメリット

経営者保証ガイドラインの適用が認められれば、社長の個人保証は、自己破産した場合よりもかなり有利に処理することができます。

具体的なメリットは、次の4点です。

  • 個人保証分の減額・免除・返済猶予を受けられる
  • 自己破産の自由財産(99万円)よりも多くの財産を手元に残せる
  • 住居用の不動産を処分せずに済む(生活に必要な程度を超える豪華な不動産の場合は処分されます)
  • 信用情報への登録がない(ブラックリストに載らない)

つまり、経営者保証ガイドラインを適用できれば、個人保証の返済が減免される可能性があるだけでなく、自宅等も手放さずに済む可能性があるのです。

また、「個人保証分を債務整理したことによるブラックリストへの登録がない」ということも再チャレンジを考えている人にとっては大きなメリットといえるでしょう。

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