自己破産の6つのデメリットとは?必要な知識・ポイントを弁護士が説明

自己破産の6つのデメリットとは?必要な知識・ポイントを弁護士が説明

3、実は間違い!自己破産のデメリットに関する誤解

自己破産のデメリットを詳しくみてみると、本当のデメリットはそれほど多くないと思われたのではないでしょうか。
人によっては、特段のデメリットはないと感じる人も少なくないと思います。

ここではさらに、自己破産のデメリットについて一般的に誤解されている点をご説明します。
以下の点はいずれも誤解に過ぎず、自己破産の本当のデメリットではありません。

(1)戸籍に記載される?

自己破産をすると戸籍に記載され、親族や結婚相手などにバレてしまうことを心配する人がいますが、そんなことはありません。
自己破産をしたことは戸籍事項ではないので、戸籍に記載されることはないのです。
もちろん、住民票に記載されることもありません。

(2)仕事がなくなる?

自己破産をすると今の仕事をクビになってしまうとお考えの方が少なくありませんが、前記「1(3)なれる職業が制限される」に記載されている職業以外ではそのようなことはありません。

万が一、自己破産したことを理由に解雇された場合は、不当解雇となります。
不当解雇は無効であり、法的に争うことができます。

(3)住んでいる賃貸物件を出て行かなければならない?

賃貸物件に住んでいる場合、自己破産しても住む権利を失うということはありません。
もっとも、家賃を滞納している場合は、滞納を理由に退去を求められることはあるでしょう。

また、残念ながらマイホームは処分する必要があります。
ただ、新たに賃貸物件に契約して居住することは問題ありません。

(4)携帯電話やスマホを持てなくなる?

携帯電話やスマホの所持・使用は自己破産によって制限されることはありません。
今まで使っていた携帯電話やスマホを没収されることもありませんし、新たに契約することもできます。

ただし、ブラックリストに掲載されることによって分割払いで端末を購入することは難しくなります。

機種変更などで新たに端末を購入する場合は、安価なものを一括払いで購入するか、家族名義で分割払いの契約をしてもらう必要があります。

(5)家族の財産も没収される?

自己破産は個人単位の手続きなので、家族名義の財産には関係がありません。
したがって、あなたが自己破産をしたとしても、家族名義の財産が没収されることはありません。

(6)離婚しなければならなくなる?

自己破産をすることは、法律上の離婚原因ではありません。
したがって、自己破産したことのみを理由として離婚しなければならない理由はありません。

ただし、もしあなたが家計をかえりみずに借金をして浪費をしていたような場合には、そのことを理由として配偶者から離婚を求められることはあるでしょう。
このような場合は、それまでのお金の使い方を反省して家族に謝罪した上で、自己破産をして経済的に立ち直ることで離婚を回避できる可能性があります。

(7)海外に行けなくなる?

自己破産をしても、自由に海外旅行に行くことができます。
ただし、自己破産手続き中には居住・移動について一定の制限があります。

自己破産手続き中は裁判所の許可を得なければ居住地を離れてはいけないこととされています。
そのため、旅行や出張で一定期間にわたって居住地を離れたり、引っ越しをする場合には裁判所の許可が必要です。なお、ここでいう「自己破産手続き中」とは、破産手続開始決定が出てから破産廃止決定が出るまでの間のことです。
分かりやすくいえば、破産管財人が業務を行っている間、ということになります。

破産管財人が業務を終えると破産廃止決定が出るので、その後は自由に海外旅行をしてかまいません。
処分すべき財産がない場合などでは、破産手続開始決定と同時に破産廃止決定(同時廃止決定)も出るため、居住・移動の制限はありません。

(8)年金をもらえなくなる?

自己破産をしても、年金の受給には全く影響がありません。
年金は、それまでに国民年金や厚生年金の保険料を納めたことに基づいて支給されるものなので、自己破産とは関係がないのです。

その反面、現在、国民年金や厚生年金の保険料を滞納している人は、自己破産をしても納付義務は免除されないのでご注意ください。

(9)選挙権がなくなる?

自己破産をしても選挙権はなくなりません。
選挙権は、18歳以上の日本国民であれば誰にでも認められている権利です。

選挙権がなくなるのは、「禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者」など公職選挙法第11条に定められた事由に該当する場合に限られています。

自己破産をしたことは選挙権の停止事由とはされていません。

(10)自己破産したことが家族や知人に知られてしまう?

前記「2(4)」でご説明したとおり、一般の人が官報を見ることはほとんどないため、自己破産したことが周囲の人に知られてしまうことはほとんどありません。
ちなみに、自己破産したことがバレる原因として最も多いのは、自分で話してしまうことです。
自分で話さない限り、自己破産が周囲の人にバレることはめったにありません。

なお、家族には自己破産することを伝える方が望ましいといえます。なぜなら、経済的に立ち直るためには家族の協力が重要だからです。
また、破産手続きに必要な資料の提出に協力してもらう必要もありますので、家族に内緒のままでは手続きを進めることが難しい場合はあります。ただ、家族に内緒で自己破産をできる可能性もあります。

4、自己破産は軽いデメリットだと思って安易に行う手続きではない

ここまでのご説明をお読みいただいて、自己破産のデメリットは世間一般でイメージされているよりもかなり軽いものだと思われたのではないでしょうか。

実際、自己破産のデメリットは過大に誤解されている点が多くあります。
とはいえ、自己破産は最後の手段であって、安易に行うべきものではありません。
いったん自己破産をして免責を得ると、その後の最低7年間は再度の免責を得ることはできません。

また、人によっては借金の返済をすべて免除してもらうのではなく、ある程度は返済の努力をしてこそ経済的な立ち直りにつながることもあるでしょう。

さらにいえば、そもそも「支払不能」でなければ自己破産をすることはできません。
支払不能とは、借金額と債務者の資産・収入・信用などあらゆる面を考慮して、その借金を一般的かつ継続的に返済していくことが不可能であると客観的に認められる状態のことをいいます。
支払不能に該当する目安には諸説ありますが、一例として、3年~5年で分割返済できない程度に借金が膨らんでいると支払不能と認められる可能性が高いでしょう。
その状態にまで至っていない場合は、自己破産以外の債務整理方法を選択すべきことになります。

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