復権で元の生活に?破産者の制限から解放されるための4つの知識を解説

復権で元の生活に?破産者の制限から解放されるための4つの知識を解説

復権とは自己破産の際に、破産者に課された権利の制限を消滅させ、破産者の本来の法的地位を回復させることを指します。

自己破産したとき、破産者として扱われ、一部の職業に就くことができなくなります。

そのような資格制限が解除され、再び一部の職業に従事することができる方法を御存知でしょうか。

破産の手続きが終わり、資格制限が解除されて元の一般人に戻ることを「復権」といいます。

元の一般人に戻れるのはよいのですが、いつ復権できるのか、復権するために何が必要なのか、こういった疑問が解消されないと、不安ですよね。

以下では、このような疑問を解消して、安心してスムーズに元の職業に就くための必要な4つの重要な知識について、多数の自己破産手続きを行ってきたベリーベスト法律事務所の弁護士が、分かりやすく説明します。

「破産者」の詳細はこちらをご確認ください。


1、復権とは?

(1)概要

「復権」とは、自己破産の際に、破産宣告を受けて破産者に課された権利の制限を消滅させ、破産者の本来の法的地位を回復させることをいいます。

自己破産の手続きが開始すると、自己破産をした人は、法律上「破産者」という扱いになり、一部の職業に就くことができなくなります。

例えば、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、警備員、宅地建物取引主任者などの職業に就くことはできなくなるのです。

しかし、復権すると、法律上の扱いが「破産者」ではなくなり、制限されていた仕事にまた元通り従事することができるのです(「破産者が受ける制限を理解し適切に対処するために重要な7つのこと」も併せてご参照ください)。

(2)自己破産による資格制限

①自己破産で当然に資格が失われるもの

自己破産をすれば、次の資格は当然に失われてしまい、その職業に従事することはできなくなります。

例えば、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、警備員、宅地建物取引主任者などです。

弁護士法や司法書士法などの資格に関する法律には、破産者で復権を得ない場合、その職業に従事することが制限されると規定されています。

なお、資格試験に合格したことまでは取り消されないので、ほとんどの場合、復権すれば、また登録して仕事を再開することができます。

②一定の手続きを経て資格が使えなくなるもの

生命保険の募集人や、会社の取締役などは、資格を喪失する手続きを経て、その資格が失われることになります。

生命保険の募集人は、その職務を行うためには、内閣総理大臣の登録を受けなければなりません。

そして、保険業法には、内閣総理大臣は、破産者で復権を得ない者の登録を拒否しなければならないと規定されているのです。

生命保険の募集人は、自己破産すれば、内閣総理大臣の登録を受けることができなくなり、それによって、生命保険の募集人としての資格を失うことになります。

また、会社の取締役が自己破産した場合、会社法が改正される2006年よりも前は、破産者は復権を得るまでの間、取締役に就任することができないという規定がありました。

ところが、会社法が改正され、現行法では、破産中に取締役になることができないわけではないのです。

しかし、現職の取締役が自己破産すれば、会社との委任契約が終了するので、一度退任しなければなりません。

その後、取締役に再任することは禁止されておらず、過去に自己破産した人が取締役に就任することも可能です。

2、復権するためには何が必要?いつ復権する?

上記の通り、復権には、①当然復権と②裁判による復権の2種類があります。

(1)当然復権

破産法に定められた事由が発生した場合、当然に認められる場合をいいます。

当然復権が認められるのは、以下の4つのどれかを当たるときです。

①免責許可の決定が確定したとき

②破産手続同意廃止の決定が確定したとき

③再生計画認可の決定が確定したとき

④破産者が、破産手続開始の決定後、詐欺破産罪(破産法265条)について有罪の確定判決を受けることなく10年を経過したとき

当然復権となる事由のうちで典型的なものは、①の免責許可決定が確定したときです。

破産手続きを一通り終えて、裁判所によって、免責の許可を受けると、当然に復権されることになります。

以下、①〜④のそれぞれについて、詳しく説明します。

①免責許可決定の確定

上記の通り、裁判所によって免責許可の決定を受ける必要があります。

裁判所によって免責許可の決定を受けることができれば、自動的に自己破産をした人は復権を得ることができます。

問題は、どのような場合に裁判所によって免責許可の決定を受けることができるかです。

自己破産の申立てをしても、免責不許可事由があれば、免責の許可が出されないことがあるのです。

免責が不許可をなってしまうと、借金の支払い義務がなくならないのと同時に、復権を得ることもできません。

免責不許可事由は、財産の隠匿等、換金行為等、偏波行為、ギャンブルや浪費による財産の減少、詐欺的な借り入れなどです。

破産手続きは、債権者に借金を返せるだけ返して、債権者の利益をできるだけ図ろうとすることを目的とします。

なので、持っている財産を隠し、又は、お金に変えて費消するなど、破産者がきちんと借金を返さないような行動に出ることは、借金の帳消しをするに値しないといえるのです。

これらの行為をせずに、無事に破産手続きを終えることができれば、通常は、裁判所によって免責許可決定が出されます。

そうすれば、破産者は、晴れて復権することができるのです。

②破産手続同意廃止決定の確定

破産者が破産手続きを廃止することについて、債権者全員の同意を得ているとき、破産手続きが終了するというパターンがあります。

破産手続きにおいて配当を受けることができる破産債権者の全員が、破産手続きを廃止させることに同意しているのであれば、破産手続きを廃止させたとしても、破産債権者の利益を害することにはなりません。

そこで、このような場合に、破産者が申立てをすることによって、裁判所が同意廃止の決定を出せば、破産手続きは終了します。

破産者が、債権者全員の同意を得て、破産手続廃止を申し立て、同意廃止の決定が裁判所によって出された場合にも、復権が認められることになるのです。

ただし、配当をしないことに同意する債権者は非常に稀ですので、実際には、同意廃止により破産手続きが終了することは滅多にないといえるでしょう。

③再生計画認可決定の確定

再生計画とは、債務者が、民事再生法の規定に従い、債務を減額して分割で支払うという内容の計画をいいます。

債務者は、この再生計画案を作成し、裁判所によって認めてもらう必要があるのです。

借金を返せなくなった債務者が、自己破産のように全ての借金を帳消しにするのではなく、借金を大幅に減らしてもらうことで、長期の分割払いにして解決する方法が、民事再生手続きです。

破産手続きで免責決定を受けられなかった場合でも、民事再生手続きにおいて、減らしてもらった借金をどのように返していくかについての計画を立て、それを裁判所に認めてもらうと、債務者は復権を得ることができます。

④破産手続開始決定後に詐欺破産罪の有罪判決を受けることなく10年を経過した場合

自己破産を申し立て、裁判所によって破産手続開始決定があれば、ようやく破産手続きが開始されることになります。

その破産手続開始決定後に、詐欺破産罪の有罪判決を受けることなく10年が経過すれば、復権が得られます

詐欺破産罪とは、債権者を害する目的で、債務者が自分の財産を隠し、又は壊す行為をした場合に処罰する犯罪です。

破産者は、破産手続きを開始するにあたり、自分が持っている財産を少しでも多く確保して、債権者が得られる利益を最大限にして、各債権者に公平に分配しなければなりません。

それを実現するため、債権者の財産的利益を害する行為を破産犯罪として規定し、そのような行為を破産者が行わないように規制しているのです。

破産者は、財産を隠す又は壊すことなく破産手続きを行えば、詐欺破産罪に問われることはありません。

(2)裁判による復権

当然復権が認められない場合であっても、破産者が弁済するなどして、債権者に対する債務の全部について責任を免れたときには、破産者が復権を申し立てることにより、裁判によって復権が認められる場合があります。

裁判による復権を得るためには、借金を自分で全部返さなければならないのです。

裁判による復権をするためには、以下の2つの両方を満たさなければなりません。

①破産者が弁済その他の方法により破産債権者に対する債務の全部についてその責任を免れること

裁判による復権の場合には、まず、破産者が、債権者に対して借金を全て返済することが必要です。

破産している者が借金を返せる状態になるのは例外的なことといえますが、借金を全て返済することができれば、裁判により復権を得ることができます。

②破産者の復権の申立て

破産者が復権したいという自分の意思を表明しなければならないので、復権の申立てを裁判所に対して行うことが必要です。

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