脳科学的に正しい「悪い子」のすすめ

脳科学的に正しい「悪い子」のすすめ

(photo by metamorworks/Adobe stock)

子どもの脳の成長は、学力向上のためだけではなく精神面の安定からも大切です。脳の成長段階にあった子育てを『小児科医が教える 子どもの脳の成長段階で「そのとき、いちばん大切なこと」』(奥山力著、以下本書)より見てみましょう。

※本記事は、本書の一部を編集のうえ抜粋したものです。

子どもの脳の成長にとっては、なぜ「悪い子」がいいのでしょうか?

「悪い子のすすめ」なんていうと、「どうして自分の大切な子どもを悪い子に育てなければいけないのか?」と疑問を持たれるかもしれません。「悪い子に育てることになんの意味があるのか?」と考えてしまうのも当然です。しかし「悪い子」というのは、子どもの脳の成長にとって非常に重要な視点なのです。

「未熟脳と成熟脳のちがい」として、脳のネットワークは1対1ではなく、多くのネットワークが同時に多角的につながるところからスタートします。それ以外にも脳のネットワークには、機能的な特徴があります。

基本的な脳のネットワークの構造は、そのネットワークを「促進するネットワーク」と「抑制するネットワーク」から成り立っており、お互いに制御するようにでき

ています(下図参照)。

本書P.31より

しかし「成熟脳」では本来抑制系に働くネットワークが、幼児期の「未熟脳」では促進系に働くのです(GABA回路)。そのため、専門的にいえば、現時点では制御できなくなっている脳のネットワークを残しておくことが、「成熟脳」に成長したときに抑制系がしっかりと機能するようになるということがわかっています。

つまり、幼時期の子どもが「ギャー!」となるのは、多角的なネットワークの広がりでできている成長の証でもあるのです。子どもが「ギャー!」となるのを認めてあげることで、より理性的な人間に成長するチャンスが与えられるということなのです。

厳しい対応は、脳のネットワークの成長を弱めてしまう

逆に、「未熟脳」の子どもに対して、虐待をふくむ厳しすぎる不適切な対応をしてしまうと、ネットワークのつながりが粗雑になってしまいます。結果的に、感情のコントロールなどの抑制系のネットワークが成長しにくくなってしまいます。つまり、感情を自分で抑えたりすることが難しくなるのです。

虐待をふくむ厳しすぎる不適切な対応をして、子どもを従わせるような関わりをつづけて、一時的に一見すると「よい子」をつくり上げてしまっても、脳の抑制系のネットワークの発達が弱くなっていきます。さらには、脳のネットワーク自体の広がりさえ粗雑になってしまう、という大きな問題を抱えてしまうことになるのです。

そうすると、前頭機能が発達して自我の芽生えが高まる思春期になると、感情や行動の制御が難しくなり、まだ身体の小さな幼児期とは比べものにならないほどの激しい混乱の時期を迎える可能性が高くなってしまうのです。

思春期は、本来は脳の成長の時期なので、私は「反抗期」ではなく脳の「第二成長期」だと考えています。これまで「自分の視点」を尊重されながらすごす体験を繰り返していた子どもは、それほど激しい反抗はなく、プチ反抗くらいですごせます。

けれども、幼児期から思春期まで「よい子」ですごしていた子どもの混乱は、並大抵のものではありません。養育者に向けての激しい言動や攻撃、そして自分に向けての自傷行為などと激しく表出されることもあります。

だからこそ、子どもの成長は、ある一時期の「点〈結果〉」でみるのではなく、「線〈過程〉」で、さらにいえば「立体的〈変化〉」にみてほしいのです。

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