胸部、頭部のCT検査、保険適用はどこまで?

胸部、頭部のCT検査、保険適用はどこまで?

あらゆる病気の早期発見につながるCT検査。「受けたいけど費用が気になる」「自分の症状が保険適用なのかを知りたい」という方も多いでしょう。特に撮影機会の多い胸部・頭部のCT検査について、どんな症状が保険適用になるのか、日本医学放射線学会・診断専門医の伊藤省吾先生に話を聞きました。

伊藤省吾

監修医師:
伊藤 省吾(医療法人社団・伊藤医院 院長)

順天堂大学医学部卒業。1968年から50年以上の歴史をもつ、医療法人社団・伊藤医院の3代目院長を務める。専門分野は内科・放射線科。公益社団法人・日本医学放射線学会診断専門医などの資格をもち、マルチスライスCT検査や認知症スクリーニング検査などの各種検査、筋肉注射による花粉症治療などに通じている。大森医師会所属。

CT検査の保険適用

CT検査の保険適用

編集部

CT検査は保険も適用できるのでしょうか?

伊藤先生

はい、かなり広範囲まで保険の適用ができます。最終的にその患者さんの症状やお悩みによりますが、たとえば、「何らかの症状がある」「定期検診でCTを受けるように言われた」「家族が『がん家系』なので、気になる要素がある」といったケースでも保険適用が可能です。

編集部

「気になる」ぐらいの状態でも保険適用になるんですか?

伊藤先生

そうなんです。たとえば予防のための脳ドックが希望の場合でも、話をよく聞くと保険を適用できるというケースがあります。患者さんの費用面の負担を減らすことも重要なことですから、保険のルールに則った形で正しく保険適用にできるか、丁寧に話を聞いています。

編集部

胸部の検査で保険を適用できるのは、どんな症状でしょうか?

伊藤先生

胸部は、ほとんどの検査が保険適用になります。最近増えているのは、健康診断で胸のレントゲン検査を受け、その診断で「CTを受けるように言われた」というものです。この場合、病気が見つかっても、見つからなくても保険適用になります。

編集部

胸部のCT検査では、どんな病気を見つけられますか?

伊藤先生

病名でいうと「肺がん・肺炎・肺結核」などの肺の病気が主です。しかし、ほかにもさまざまな病気の発見にもつながります。肺だけではなく胸部全体を見ているため、たとえば骨の病気が見つかることなどもあります。

編集部

頭部のCT検査では、どんな症状が見つかるのでしょうか?

伊藤先生

高齢者だと、脳梗塞や脳腫瘍など「脳の病気」がしばしば見つかります。若い人だと、こうした病気がなくても、たとえば慢性的な頭痛で困っている方の「頭痛の原因」を知るきっかけになる場合があります。「頭痛がひどくても、頭部に異常が何も見つからない」という場合、首や肩が原因になっていることがあります。この場合、首や肩を調べることで、首の病気やヘルニアなどが見つかることもあります。また、仮に画像で異常がなくても、原因について相談するきっかけとしていただきたいです。

編集部

CTで「何も写らなかった」場合も、逆にそれがヒントになるわけですね。

伊藤先生

はい、症状の原因を探る「手がかりの1つ」になります。頭部に限らず、全身のさまざまな病気の発見につながります。

CT検査の費用

CT検査の費用

編集部

保険適用の場合、CT検査の費用はいくらくらいでしょう。

伊藤先生

3割負担の場合、造影剤なしで5000円、造影剤ありで10000円が目安です。造影剤とは血管の中に入り、病気を浮かび上がらせて見つけやすくする薬剤です。

編集部

造影剤はどんなときに必要になるのですか?

伊藤先生

一度造影剤なしで撮影し「病気があるか・ないかの判断が難しかったとき」が主になります。検査の画像はリアルタイムで確認していますので、CTを撮影している最中に「造影剤が必要」とわかることがあります。その場合は、患者さんに説明して、了承を得た上で造影剤を用いて再度検査します。

編集部

必要かどうかは、毎回撮影中にわかるのですか?

伊藤先生

いいえ。検査終了後の解析中や、説明の最中に気づくこともあります。その場合も患者さんに丁寧に説明し、その場で再度造影剤を使った撮影をさせていただきます。造影剤がないとわからないような病変は、1回見ただけでは気づかないこともあります。こうした場合、ほとんどの医師は正直に患者さんに伝え、妥協のない検査をさせてもらいます。これは患者さんのために必要なことだと、理解してもらえると嬉しいです。

編集部

造影剤が必要かどうかの判断は医師によって分かれるのでしょうか?

伊藤先生

「最初からすべて造影剤を使う」と基本方針の先生もいますし、決めていない先生の中でも「どのレベルから造影剤を使うか」の基準は千差万別です。

編集部

造影剤の使用にデメリットはないのでしょうか?

伊藤先生

造影剤には副作用があります。副作用は大体1~2分で起きます。軽い吐き気や、発疹が出て全身が痒くなる、ごく稀にアナフィラキシーショックなどもあります。また、費用面でも2倍の金額になります。こうしたことを考えると「造影剤は必要とする範囲で使う方がいい」と考えています。

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