交通事故の慰謝料の自賠責基準に関する7つのポイント

交通事故の慰謝料の自賠責基準に関する7つのポイント

7、弁護士に依頼するメリットとデメリット

先ほどの例を裁判所基準で計算してみましょう。家事従事者の休業損害は、症状の程度などによってまちまちですが、半年間の通院であれば60万円~80万円が認められているケースが多いため、今回は70万円とします。

【裁判所基準による損害計算】

①治療費 70万円

②通院交通費 5万円

③後遺障害診断書作成料 1万800円

④休業損害 70万0000円

⑤傷害慰謝料 89万円

⑥後遺障害慰謝料 110万円

⑦後遺障害逸失利益 78万8229円→364万1200円(平成26年女性全年齢学歴計賃金センサス)×5%(労働能力喪失率)×4.3295(労働能力喪失期間、5年間のライプニッツ係数)

以上を合計すると、総損害額は423万9029円となります。過失割合は3:7ですから、加害者の負担部分は296万7320円です。ここから既に医療機関支払済みの70万円を引きます。そうすると、今回の被害者が受け取る金額は226万7320円ということになります。

このように、裁判所基準により損害額を計算すれば、被害者が受け取れる金額は大幅にアップします。

被害者本人が、相手方の任意保険会社に対して、裁判所基準による計算をして欲しいと求めることはできますが、これに簡単に応じる保険会社はほとんどないでしょう。しかし、交渉の窓口を弁護士にすると、保険会社も裁判所基準をベースにした交渉をせざるを得なくなるのが通常です。

そこで、被害者としては、弁護士に依頼することで、裁判所基準による金額で交渉をしてもらうか、裁判をするなどして、より高額な賠償額を受け取ることができるようになるのです。

このように、弁護士を入れることで支払われる賠償額をアップさせることができるというのが、弁護士に依頼する大きなメリットと言えます。

もっとも、弁護士に依頼するには弁護士費用がかかってしまいます。これが弁護士に依頼するデメリットです。

賠償額をアップさせるメリットと弁護士費用のデメリットを比較して、弁護士に依頼するかどうかを決めることが重要です。

まとめ

今回は、慰謝料に関する自賠責基準を中心に説明しました。自賠責保険から払われる慰謝料は4200円×通院日数×2という単純な計算で支払われるとは限らないということが分かっていただけたと思います。

事故の被害に遭って、いくらくらいの慰謝料をもらえるのだろうと心配な方は、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

監修者:外口孝久弁護士

  1. 1.経歴
    2011年 03月 明治大学法科大学院修了
    2012年 09月 新司法試験合格
    2014年 01月 ベリーベスト法律事務所入所
  2. 2.取り扱い分野
    交通事故(被害者側)
    労働災害(被災労働者側)
  3. 3.業務実績
    • ・交通事故代理人(被害者側)としての取扱件数延べ350件以上
    • ・死亡事故をはじめとする重傷案件多数(遷延性意識障害、高次脳機能障害、四肢麻痺、四肢欠損、胸腹部臓器の損傷、歯牙欠損、目・耳・鼻の障害、醜状障害、PTSD、上司下肢の機能障害等)
    • ・自研センター研修(弁護士コース)修了
    • ・労働災害における被災者側代理人多数(製造業、造船業、病院、建設業、食品工場、運輸業、海上輸送業等)
    • ・日本交通法学会所属
  4. 4.メッセージ
    私の専門とする交通事故・労働災害分野のご相談者様に、自ら望んで弁護士に相談される方はいません。
    一生に一度あるかないかの未経験のトラブルに巻き込まれ、ケガの痛みもある中で、相手方保険会社から心ないことを言われたり、自賠責・労災保険・自身の加入する保険など、複数登場する保険会社へ対応したりしなければならないストレスには、想像を絶するものがあると思います。
    私は、そのようなお困りの方々に寄り添い、力になれる存在でありたいと思っております。
    ご不安なお気持ちを少しでも和らげることができるよう、できる限り丁寧にお話しを伺うことを心がけ、また、お客様の利益を最大化するための研鑽に努めて参ります。

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