煎餅×唐揚げは旨いのか? 浅草『ケンティーズキッチン』で手焼き煎餅を衣に使ったからあげを食べてきた


『ケンティーズキッチン』の「せんから」 | 食楽web

 東京・浅草といえば、外国人観光客が必ず訪れる、都内有数の観光スポット。美味しいものもたくさんあり、とくに浅草寺周辺には、ここでしか食べることができないのではないかと思える名物がたくさんあります。今回ご紹介するものもそのひとつ。浅草の新名物になる予感もする逸品です。


『ケンティーズキッチン』は浅草寺の仲見世通りから1本脇に入ったところ。ちなみに同店の本店は沖縄・座間味島にあります

 訪れたのは『ケンティーズキッチン 浅草店』。ここでは、からあげグランプリ・素材バラエティ部門で最高金賞を1回、金賞を2回受賞している「せんから」を食べることができます。


「せんから」は4個で500円。1個だけ購入する場合はソフトクリームのコーンのようなケースで販売しています

「せんから」とはあまり聞き慣れない言葉ですが、勘のいい人はお気づきでしょう。そう、せんべい×からあげのコラボメニューなんです。浅草寺の仲見世にある、明治17年創業の老舗せんべい店『壱番屋』の手焼きせんべいを衣に使った、珍しいからあげです。

衣はせんべいのみ。醤油味からは米の風味も


クリスピー感満点のルックスです

 まずは「せんから」をいただきます。1個が40~50gほどもあるでしょうか。衣は砕いたせんべいと、砕くときにできた米粉のみ。“衣=100%せんべい”ということですね。ビジュアルは一般的なからあげとは異なり、かなりクリスピー感があります。細かく砕いたせんべいの破片がランダムな大きさで肉を覆っています。

 さっそくひと噛み。当然、せんべいのガリッとした食感があります。その中からは、香ばしい風味も。歯ざわりは“ソフトな歌舞伎揚げ”といった印象です。ガリザク食感の衣の下には、醤油味のやわらかい鶏肉。この外と中のギャップが最高。食べていくうちに固かった衣が徐々に溶けるようにやわらかくなっていきます。


炭火で手焼きされたせんべいが鶏肉の旨さを引き出す

 衣に使用しているせんべいは醤油を塗って炭火で手焼きしています。そのせいか、からあげの味は、米の風味を感じる醤油味×肉のうま味を感じる醤油味が入り混じっているよう。味に奥行きがありますね。まさに味のハイブリッド。

 肉の旨さは言うに及ばず、衣のガリザク食感もいい。せんべいをランダムに砕いているからでしょう。発売当初はもっと粗めに砕いていたそうで、大きめの破片が肉を覆っていたようですが「お客様の中には、口の中が痛くなるとおっしゃる方もいたんです」とオーナーの橋口賢人さん。そこから試行錯誤を重ねて、今の状態になったのだといいます。

1枚のせんべいと一緒に揚げた「超せんから」もオススメ


1枚のせんべいと一緒に揚げた「超せんから」(1枚・200円)

 またこちらでは、1枚のせんべいと「せんから」を一緒に揚げた「超せんから」もオススメ。せんべいのように手に持ってかぶりつくことができ、より“せんべい感”があります。食べ歩きにもいいかもしれません。

 さて、持ち帰り用に「せんから」を少し購入したのですが、「冷めてから食べてみると、衣が“ぬれせん”のようになって美味しいですよ」と橋口さん。その言葉通りに、冷めてから食べてみました。確かに衣がしっとりとして、店頭で揚げたてをいただいたときとは異なる食感に変化しています。気のせいでしょうか、肉のうま味が強くなっているようにも感じます。たしかに美味しい!

 お店の周辺には、この「せんから」を買ってその場で食べるお客さんもけっこういましたが、持ち帰って食べるのもアリ! ご飯に合わせてもいいかも…と思いましたが、よくよく考えてみればせんべいは米で作ったもの。ごはんと一緒に食べているようなものなのかもしれませんね。

●SHOP INFO

店名:ケンティーズキッチン 浅草店

住:東京都台東区浅草1-31-1(壱番屋)
営:9:00~17:00
休:無休

●著者プロフィール

松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。

関連記事: