当て逃げ事故で被害者が損しないために知っておきたい6つのこと

当て逃げ事故で被害者が損しないために知っておきたい6つのこと

3.当て逃げの被害に遭った場合に自動車保険は使える?

交通事故 保険会社 対応

⑴自動車保険は使えます!

交通事故により車が損傷した場合,相手方の「対物賠償保険」又は自分の「車両保険」を使用して車を修理することになります。もっとも,当て逃げの場合,相手方の「対物賠償保険」を使用することができないので,自分が加入している「車両保険」を使用せざるを得ません。車両保険は任意保険になりますので,まずはあなたが加入しているのか,免責金額を設定していないか,もし設定している場合はいくらに設定しているのかを調べ,「車両保険」を使用できるのか確認しましょう。

なお,車両保険には,「車対車限定(エコノミー+A)特約」という特約が付帯できます。この特約を付帯していると,保険料をぐっと抑えることができるのです。しかし,この特約が付帯されていると,当て逃げの場合には車両保険を使うことができません。「車対車限定」といっても,車対車であれば必ず保険が適用されるわけではなく,相手方が誰かが特定されている必要がありますので,相手方が特定できない当て逃げの場合には,保険の対象外となってしまうのです。

⑵自動車保険を使うと翌年以降の保険料が値上がりします!

当て逃げで「車両保険」を使用すると翌年度の等級が3つランクダウンし,保険料が上がってしまいます。また,事故有係数が適用になり,無事故の同じ等級の契約より保険料が高くなってしまいます。保険会社に確認すれば,保険の使用の有無による保険料の差額を教えてくれるかと思います。保険料の差額及び修理費用がいくらかかるのかで「車両保険」を使用するかどうかを決めるべきです。

⑶あなたに過失がない場合には保険会社は示談代行できません!

当て逃げの被害に遭った場合,あなたに過失がないことが多いでしょう。あなたに過失がなければ,仮に加害者が見つかった場合でも,あなたの加入する保険会社は示談交渉を行うことができません。なぜなら,保険会社は取り立て屋ではなく,保険金を支払う場合に附随して示談交渉を行っているにすぎないので,保険金を支払う義務がない当て逃げの事案では示談交渉を行う法的権限がないからです。そうすると,ご自身で示談交渉を行うか弁護士に依頼することになります。ご自身で示談交渉を行うことは煩雑ですし,かなりの労力を使ってしまいます。弁護士に依頼するとなると費用の面が心配という方もいらっしゃるとは思いますが,弁護士特約がついていれば費用面を気にせずに弁護士に依頼することが可能です。

4、当て逃げの場合の補償の範囲

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⑴財産的損害

当て逃げされたとき,自身の加入する保険でどのような補償がされるのでしょうか。

上述のとおり,自身の加入する任意保険に,車両保険が付帯されていれば,車両保険での補償を受けることができます。では,車両保険は,どの範囲まで補償してくれるのでしょうか。

車両保険は,契約時に車種・年式などによって,支払いの上限となる保険価額を決めて加入します。この保険価額の範囲内で,修理費が出ることになるのです。ただし,自動車は,月日が経過すると価値も下がります。車両保険の支払いは,時価額が保険価額を下回れば,時価額を限度にしか支払いを受けることができません。例えば,保険加入時に220万円の価値のある車に,保険価額200万円で車両保険を付けたとしましょう。半年後,この車両の時価額が180万円に下落していた場合には,たとえ200万円の保険価額を設定していても,180万円までしか補償されないことになってしまうのです。

このような事態を避けることができるのが,「車両価額協定保険特約」です。この特約を付帯しておけば,車両の時価額が下がっても,当初設定していた保険価額までは補償を受けることができます。

⑵精神的損害(慰謝料)

物損事故とはいえ,自身の車に思い入れもあるでしょうし,修理などの手続には多大な労力と時間がかかりますので,その精神的苦痛に対して慰謝料を請求したくなるものです。しかし,車両保険では,精神的苦痛に対する慰謝料は補償されません。また,仮に加害者が見つかっても,車両の損害については,慰謝料が認められることはありません。

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