スピード違反の事故に巻き込まれたら必ず知っておきたい7つのこと

スピード違反の事故に巻き込まれたら必ず知っておきたい7つのこと

3、交通事故の相手方がスピード違反をしていたことを証明するには

(1)交通事故の裁判における立証責任

交通事故の過失割合について、事故の当事者双方の言い分が食い違う場合は、最終的には裁判で解決するしかありません。

そして、裁判において、最も大切なのは、相手方の過失は、それを主張する方が立証(証拠で証明すること)しなければならない、ということです。

つまり、「相手が、制限速度が時速60kmの道路を時速100km程度で走行していた」ということは、それを主張する側が証拠をもって証明しなければならず、証明できなかった場合は、相手方がスピード違反をしていなかったという前提で過失割合が判断されるということです。これを立証責任といいます。

(2)スピード違反の証明方法

①ドライブレコーダーの映像

近年、ドライブレコーダーの普及に伴い、その映像が、交通事故の裁判において大きな影響を与えるようになってきました。

以前は、交通事故が発生した状況を記録した証拠はなく、事故後の状況から推認するしかなかったのですが、ドライブレコーダーに保存されている、まさに事故の発生当時の映像を検証することができるようになりました。

そのため、相手方が制限速度を超過して走行していたことの証明は容易になりました。

ただ、ドライブレコーダーは、自身に不利な状況も記録されてしまっています。

自分に不利な状況が記録されているからといって、ドライブレコーダーを搭載していたのにそれを裁判に提出しないと、逆に提出しないことが何かを隠しているのではないかと推測されてしまったり、裁判所から提出するように求められる可能性があるという点には注意が必要です。

②近隣店舗等の防犯カメラ

交通事故現場付近の店舗等に防犯カメラが設置されている場合は、交通事故当時の状況やその直前の状況等が記録されている場合があります。

これも、ドライブレコーダーの映像と同様、裁判において重要な証拠となります。

ただ、一般的に、店舗等の防犯カメラの映像は、数日~数週間程度しか保存されていない場合が多いことや、直接防犯カメラの映像を見せて欲しいと告げても、難色を示される場合が多いという難点があり、裁判に提出するのが困難な場合も少なくありません。

③警察が作成した実況見分調書、供述調書

ドライブレコーダーや防犯カメラの映像等によって、交通事故当時の状況が残っていない場合は、交通事故の発生直後に警察が行った実況見分の結果を記載した実況見分調書が参考になります。

実況見分調書には、事故直後の車両の位置や、破損状況等が記載されています。

また、実況見分調書やそれとともに作成された供述調書には、事故直後の双方の供述(言い分)が記載されています。裁判になって事故当時と違う主張をし始める者もいますし、事故から時間が経つと記憶も曖昧になってくることから、事故直後の供述内容を確認することは大切です。

④車両の損傷状況

事故による車両の損傷状況は、双方の車両のスピードに最も影響を受けます。

高速度で走行していた車両による事故のほうが損傷の程度も大きいからです。

ですから、車両の損傷の程度は、相手方が制限速度を超過していたことの有力な証拠となります。

ただ、損傷の程度から事故当時の速度を推認するのは、専門的な知識が必要であり、鑑定人による鑑定が必要な場合もあります。

4、スピード違反による交通事故について相談するには

交通事故において相手方がスピード違反を犯していたことは、過失割合を認定する際に、自分に有利にはたらきます。

ただ、相手がそれを認めていない場合に、裁判等でこれを証明するのは、ドライブレコーダーの映像等があれば別ですが、そうでない場合は容易ではありません。

そして、証拠で証明できない場合、裁判では、相手方がスピード違反をしていたことが認められません。そのようなことのないよう、事故から時間が経過していないうちに、しっかりと証拠を収集する必要があります。

ただ、その証拠の収集は一般の方には困難な場合が多いことから、専門家である弁護士に相談をし、弁護士に証拠を収集してもらったり、捜査機関に働きかけてもらったりする等の対応が必要です。

なお、弁護士に依頼をした際の費用が心配な方もおられると思いますが、加入している任意保険に弁護士費用に関する特約があり、保険によって弁護士費用が賄われる場合もありますから、確認しておいた方がよいでしょう。

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