当て逃げしたら弁護士に依頼すべき?早期解決のための6つのポイント

当て逃げしたら弁護士に依頼すべき?早期解決のための6つのポイント

当て逃げをしてしまった……警察に見つかる前に弁護士に依頼すべきだろうか?

このように悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

うっかり他人の車にぶつけてしまった場合に、誰も見ていないのをいいことに、その場から逃げてしまいたくなるのが人間の心理です。

特に、駐車場などで他人の車にぶつけてしまった時に、心ならずもその場から離れてしまい、良心の呵責に悩んでいる人も少なくないと思います。

しかしながら、このような「当て逃げ」は、立派な犯罪です。

起訴されて前科がついてしまう可能性があるため、早期に適切な対処をしなければいけません。

そこで今回は、

  • 当て逃げによる法的責任
  • 当て逃げしてしまった場合の対処法
  • 当て逃げ事件で弁護士を選ぶポイント

などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説していきます。

この記事が、少しでも、当て逃げをしてしまってどうすればよいのかと悩んでいる方の手助けとなれれば幸いです。

なお、本記事における「当て逃げ」とは、負傷者が発生していない、単なる物損事故の場合を前提に解説しています。

負傷者が発生している場合は「ひき逃げ」といえるため、詳しくは「ひき逃げ」についての解説をご覧いただければ幸いです。

1、当て逃げによる法的責任

まずは、当て逃げをするとどのような法律上の責任を負うのかを確認しておきましょう。

(1)刑事責任

当て逃げによって成立する犯罪名と刑罰は、以下のとおりです。

①危険防止措置義務違反

車両の運転手には、交通事故を起こしたとき、ただちに運転を停止して、道路における危険を防止する措置を講じる義務があります(道路交通法第72条1項前段)。

当て逃げをした場合は、この義務に違反したことになります。

危険防止措置義務違反の刑罰は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金です(同法第117条の5第1項)。

②報告義務違反

また、車両の運転手には、交通事故を起こしたときは、警察に事故の日時や場所などを報告しなければならない義務もあります(道路交通法第72条1項後段)。

当て逃げをした場合は、この義務にも違反したことになります。

報告義務違反の刑罰は、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金です(同法第119条1項10号)。

当て逃げの場合、当て逃げという一つの行為で①と②の犯罪が成立することになるので、観念的競合(1つの行為によって2つ以上の罪に該当する場合)として、重い方の危険防止措置義務違反の刑罰が科されることになります(刑法54条1項)。

よって、当て逃げで適用される刑罰は「1年以下の懲役または10万円以下の罰金」ということになります。

なお、刑法上の「器物損壊罪」(刑法261条)は過失では成立しませんので、故意に他人の車両等にぶつけた場合でない限り、この罪に問われることはありません。

当て逃げは、数多くある犯罪の中では比較的軽微な犯罪とされており、起訴された場合でも、多くの場合は罰金刑となるのですが、前科がある場合や行為態様が悪質な場合等は、実刑となる可能性もあります。

(2)行政責任

当て逃げが発覚すると、刑事処分とは別に、行政処分も受けなければなりません。

危険防止措置義務違反が認められる場合にはその違反点数5点と、安全運転義務違反の点数2点を加えた7点が加算されることになります。

したがって、前歴がなくとも、一発で30日間の免許停止処分となります。

また、これまでの累積点数や免許停止・免許取消の前歴によっては、免許取消となる可能性もあります。

(3)民事責任

当て逃げによって他人の車両やその他の物を損壊した場合は、民事責任として、修理代などの損害賠償義務を負うことになります。

2、当て逃げしてしまった場合の対処法

当て逃げしてしまった人が気になるのは、当て逃げはバレてしまうのか?これからどうしていけばいいのか?ということでしょう。

そこで、この点について詳しくご説明します。

(1)当て逃げは高確率でバレる

この問題をネットで調べると、「バレる可能性は低い」といった解説を目にされることがあるかもしれません。

以前は当て逃げをしてもバレないケースがあったかもしれません。

しかし、近年ではドライブレコーダーや防犯カメラが急速に普及しており、科学捜査の精度も向上していますので、バレる可能性は年々上昇しています。

特に、ドライブレコーダーや防犯カメラに顔や自車のナンバーが映った場合には、高確率で特定されてしまいます。

このため、当て逃げは高確率でバレるものだと思っていた方がよいでしょう。

そもそも、自分の行った過ちを隠して、弁償も謝罪もせずに逃げ続げることは、非難されるべきことですから、いざバレた時には、処分が重くなってしまう可能性が高いです。

そのようなリスクを背負いながら、いつバレるのかとドキドキしながら精神的に不安定な状態で過ごすことはおすすめできません。

(2)当て逃げしてしまった場合の対処法とは?

このため、当て逃げをしてしまった場合には、「自首」(刑法42条1項)をすることをおすすめします。

「自首」とは、犯罪が起こったことや犯人が誰かということを捜査機関(警察や検察官のこと)に知られる前に、捜査機関に対して、自分の犯罪事実を申告して、処分を求めることをいいます。

この自首が成立すれば、仮に公判請求(検察官が裁判を開くよう裁判所に対して求めること)されてしまった場合でも、裁判所の裁量で刑が減軽(刑が軽くなること)されます。

さらに、自首をすることで警察や検察官に反省態度が伝わるため、事実上、不起訴の可能性も高まります。

(3)当て逃げで逮捕される?

そもそも、当て逃げは、前科が多数あったり、行為態様が悪質だったり、結果が重大でもない限り、逮捕される可能性は低い犯罪です。

さらに自首をすると、より逮捕される可能性が低くなります。

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