後遺障害11級の認定方法は?後遺症状や賠償金の相場など5点解説

後遺障害11級の認定方法は?後遺症状や賠償金の相場など5点解説

後遺障害11級は、主に、目や耳に障害が残った場合に認定される等級です。

交通事故で目や耳に障害が残った場合、外見上は目立たなくても、非常に辛い思いや不便な思いをすることがありますから、被害者の方は可能な限り有利な等級認定を受けたいことと思います。

ここでは、これから後遺障害等級11級の認定を受けようとしている方に、適正な等級認定を受けるポイントをお伝えします。

ベリーベスト法律事務所の交通事故専門チーム所属の弁護士がまとめた内容ですのできっとご参考頂けると考えています。この内容が交通事故被害に遭われた方のご参考になれば幸いです。

交通事故の後遺障害については以下の関連記事もご覧ください。

1、後遺障害11級を含めて「後遺障害が残る」とはどのような状態か?

(1)後遺障害とは?

交通事故でケガをした後、治療を続けてもある時点から良くならないことがあります。

症状がもうこれ以上良くならないという状態を「症状固定」といいます。

そして、症状固定後も残っている機能障害、神経障害、運動障害などは「後遺障害」となります。

(2)後遺障害等級認定とは?

交通事故の被害者は、加害者側に損害賠償請求できます。

症状固定まではケガの治療費を請求できますが、症状固定後は治療費を払ってもらうことができません。

けれど、症状固定後に後遺障害が残っている場合には、後遺障害についての損害賠償を請求できます。

後遺障害について損害賠償請求するには、後遺障害の認定を受ける必要があります。

後遺障害の認定は損害保険料率算出機構が行っており、自賠責を窓口として認定の申請をします。

後遺障害に認定される場合には、1~14級のいずれかの等級がつけられます。

2、後遺障害等級11級の認定を受けることができる後遺障害の症状とは?

(1)後遺障害別等級表・別表第2

後遺障害の等級については、自動車損害賠償保障法施行令の別表で基準が定められています。

別表には、要介護の後遺障害に関する別表第1と、要介護でない後遺障害に関する別表第2があり、後遺障害11級は要介護でないものとして別表第2に規定されています。

等級

内容

備考

11級1号

両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

眼球の調節機能とは、遠くの物や近くの物を見る際にピントを合わせる機能のことです。

眼球の調節機能に障害が残り、通常の2分の1以下の調節機能となってしまった場合には、11級1号に該当します。

運動障害とは眼球の注視野(眼だけで物を負うことができる範囲)が狭くなる障害のことで、注視野が2分の1以下になった場合には11級1号に該当します。

11級2号

両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

まぶたの著しい運動障害とは、まぶたを開けているつもりでも瞳孔が隠れたままであったり、逆にまぶたを閉じているつもりでも瞳孔や角膜が露出してしまったりする状態です。

11級3号

一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

まぶたに著しい欠損が残った状態とは、まぶたを閉じたときに角膜を完全には覆いきれなくなってしまった状態です。

片方のまぶただけに著しい欠損が残った場合には11級3号になりますが、両方のまぶたに著しい欠損が残った場合にはより重い9級4号に該当します。

11級4号

十歯以上に対し歯科補綴(てつ)を加えたもの

歯科補綴とは、歯の欠けたりなくなったりしたところにクラウン、ブリッジ、差し歯、入れ歯などの人工物を補う歯科治療のことです。

交通事故が原因で10本以上の歯に補綴を加えることになった場合には11級4号に該当します。

11級5号

両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

1メートル以上の距離では小声を解することができない程度とは、具体的には両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上とされています。

11級6号

一耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

片方の耳の平均純音聴力レベルが70db以上80dB未満の場合、または片方の耳の平均純音聴力レベルが50db以上かつ最高明瞭度50%以下の場合には、11級6号に該当します。

11級7号

脊(せき)柱に変形を残すもの

レントゲン写真等で脊柱の変形が明らかに確認できる場合、脊柱固定手術で人工関節が埋め込まれた場合、3個以上の脊椎に椎弓切除術等の形成術を受けた場合などが該当します。

ただし、脊柱の変形により運動障害が起こっている場合には、より重い8級や6級に該当することになります。

11級9号

一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの

片方の手の人差し指、中指、薬指のどれか1本について、第2関節より先を切断してしまった場合が該当します。

11級9号

一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの

片方の足の親指を含む2本以上の指について、指の長さが半分以下になってしまった場合、また、親指は第1関節、その他の指は第2関節より先の可動域が2分の1以下になってしまった場合には、11級9号に該当します。

11級10号

胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

交通事故により胸腹部臓器に損傷を受けた場合で、労務の遂行に与える支障の程度が比較的軽い場合には、11級10号に該当します。

(2)各号の症状の説明

後遺障害11級に該当する後遺障害には、次のとおり、1号から10号までの10種類があります。

1号 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

眼球の調節機能とは、遠くの物や近くの物を見る際にピントを合わせる機能のことです。

眼球の調節機能に障害が残り、通常の2分の1以下の調節機能となってしまった場合には、11級1号に該当します。

運動障害とは眼球の注視野(眼だけで物を負うことができる範囲)が狭くなる障害のことで、注視野が2分の1以下になった場合には11級1号に該当します。

2号 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

まぶたの著しい運動障害とは、まぶたを開けているつもりでも瞳孔が隠れたままであったり、逆にまぶたを閉じているつもりでも瞳孔や角膜が露出してしまったりする状態です。

3号 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

まぶたに著しい欠損が残った状態とは、まぶたを閉じたときに角膜を完全には覆いきれなくなってしまった状態です。

片方のまぶただけに著しい欠損が残った場合には11級3号になりますが、両方のまぶたに著しい欠損が残った場合にはより重い9級4号に該当します。

4号 十歯以上に対し歯科補綴(てつ)を加えたもの

歯科補綴とは、歯の欠けたりなくなったりしたところにクラウン、ブリッジ、差し歯、入れ歯などの人工物を補う歯科治療のことです。

交通事故が原因で10本以上の歯に補綴を加えることになった場合には11級4号に該当します。

5号 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

1メートル以上の距離では小声を解することができない程度とは、具体的には両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上とされています。

6号 一耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

片方の耳の平均純音聴力レベルが70db以上80dB未満の場合、または片方の耳の平均純音聴力レベルが50db以上かつ最高明瞭度50%以下の場合には、11級6号に該当します。

7号 脊(せき)柱に変形を残すもの

レントゲン写真等で脊柱の変形が明らかに確認できる場合、脊柱固定手術で人工関節が埋め込まれた場合、3個以上の脊椎に椎弓切除術等の形成術を受けた場合などが該当します。

ただし、脊柱の変形により運動障害が起こっている場合には、より重い8級や6級に該当することになります。

8号 一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの

片方の手の人差し指、中指、薬指のどれか1本について、第2関節より先を切断してしまった場合が該当します。

9号 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの

片方の足の親指を含む2本以上の指について、指の長さが半分以下になってしまった場合、また、親指は第1関節、その他の指は第2関節より先の可動域が2分の1以下になってしまった場合には、11級9号に該当します。

10号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

交通事故により胸腹部臓器に損傷を受けた場合で、労務の遂行に与える支障の程度が比較的軽い場合には、11級10号に該当します。

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