後遺障害6級の認定方法は?後遺症状や賠償金の相場など5点解説

後遺障害6級の認定方法は?後遺症状や賠償金の相場など5点解説

後遺障害6級は、交通事故の後遺障害の中でも重い障害の分類になり、賠償金額も大きくなります。

後遺障害6級の賠償金を受け取るためには、まずは適切な等級認定を受けることが必要です。

しかし、「認定を受けるにあたってわからないことがある」「保険会社とやり取りするにあたってきちんと知識をつけておきたい」あなたは今そうお考えではないでしょうか?

ここでは、後遺障害6級の障害の状態や、6級の等級認定を受ける方法について、ベリーベスト法律事務所の交通事故専門チームの弁護士が説明します。交通事故の被害に遭われた方のご参考になれば幸いです。

交通事故の後遺障害については以下の関連記事もご覧ください。

1、後遺障害6級は後遺障害等級の一種―後遺障害が残るとはどのような状態か?

(1)後遺障害とは?

①後遺障害の要件

後遺障害とは、交通事故で傷害を負った後治療をしたものの、治ることなく身体に残ってしまった障害のことです。

一般に、治療後も症状が残った場合には後遺症と呼ばれますが、後遺障害は後遺症のうち、下記1.~5.の要件をすべてみたすものになります。

  1. 交通事故によって受傷した精神的・肉体的な傷害にもとづくものであること
  2. 将来においても回復が見込めない状態であること
  3. 交通事故と症状固定時に残っている症状との間に因果関係があること
  4. 症状が医学的に立証・説明できること
  5. 労働能力の喪失を伴う状態であること

②後遺障害には認定が必要

後遺症が後遺障害に該当するかどうかは、損害保険料率算出機構が認定を行っています。

後遺障害に認定されると、傷害についての賠償金とは別に、後遺障害についての賠償金を請求することができます。

交通事故の損害賠償金は加害者側の保険会社が支払いますが、後遺障害の認定を受けていなければ、保険会社は後遺障害についての賠償金を払ってくれません。

後遺障害の賠償金を受け取るためには、認定を受けることが必須となっています。

③症状固定とは

後遺障害の認定を受けるには、症状固定の状態になっている必要があります。

症状固定とは、症状が安定し、医学上一般に承認された方法を用いても治療効果が期待できなくなった状態をいいます。

症状固定までは保険会社にケガの治療費を支払ってもらえますが、症状固定すれば治療費の支払いが打ち切られます。

症状固定後に残った障害については、後遺障害の認定を受けたうえで、賠償金を請求する必要があります。

(2)後遺障害等級認定とは?

①後遺障害認定を申請すれば等級が決まる

後遺障害の認定は、1~14級の等級別に行われます。障害の程度に応じて等級が変わり、1級がいちばん重い障害になります。

保険会社から後遺障害について支払われる保険金額は、等級に応じて上限が決まっています。

もし本来受けられる等級よりも低い等級で認定されてしまうと、十分な賠償金を得られなくなってしまいます。

②等級認定の申請方法

後遺障害の等級認定申請は加害者が加入している自賠責に対して行いますが、申請方法としては、事前認定と被害者請求の2つの方法があります。

事前認定とは、加害者側の任意保険会社に申請してもらう方法です。

交通事故の被害者に対しては、自賠責が最低限度の補償を行い、足りない分の補償は任意保険会社が行います。

ただし、実際には任意保険会社が自賠責分の保険金も立て替えて示談成立後に一括払いするケースが多く、この場合には任意保険会社から事前認定という形で自賠責に等級認定申請を行います。

一方、被害者請求とは、被害者が直接自賠責に対して損害賠償金を請求することです。

被害者請求をすれば、被害者は自賠責分の保険金については、示談成立前に受け取ることができます。

2、後遺障害等級6級の認定を受けることができる後遺障害の症状とは?

(1)後遺障害別等級表・別表第2

後遺障害の等級別の基準は、自動車損害賠償保障法施行令の別表第1と別表第2に定められています。

このうち別表第1は要介護の後遺障害に関するもので、常に介護を要するもの(1級)と随時介護を要するもの(2級)の2つの等級があります。

別表第2は要介護でない後遺障害に関するもので、1級から14級までの等級があります。

後遺障害6級は、要介護でない障害で、14段階のうち6番目に重い障害ということになります。

(2)各号の症状の説明

後遺障害6級は、1号から8号までに分類されています。

各分類については、次のようになっています。

等級

内容

備考

6級1号

両眼の視力が0.1以下になったもの

矯正しても両眼の視力が0.1までにしかならない場合に該当します。

6級2号

咀嚼(そしやく)又は言語の機能に著しい障害を残すもの

食べ物を噛んで飲み込む咀嚼機能か、言葉を話す言語機能のどちらかに障害が残った場合に該当します。咀嚼機能の場合は、粥食又はこれに準ずる程度の飲食物以外摂取できない状態、言語機能の場合は、4種の語音のうち2種の発音不能等で言語のみを用いては意思を疎通することができないものが該当します。

なお、咀嚼機能や言語機能が完全に失われてしまった場合には、もっと高い等級になります。

6級3号

両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

両耳の聴力が完全に失われたわけではないけれど、ほとんど聞こえない状態になった場合に該当します。

具体的には、下記の基準になります。

・両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上(50dB以上80dB未満)

・言語を聞き分け意味を理解できる最高明瞭度が30%以下

6級4号

1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

片方の耳の聴力が完全に失われ、他方の耳の聴力も著しく低下した場合です。

聞こえる方の耳についての基準は、下記のとおりです。

・40cm以上離れると普通の話し声が理解できない

・平均純音聴力レベルが70dB以上のもの

6級5号

脊(せき)柱に著しい変形又は運動障害を残すもの

脊柱が圧迫骨折などにより著しく変形し、その機能に著しい障害が残った場合です。

脊柱の変形については、コブ法により角度を測定し、等級認定を行います。

健常者は50度までとなっており、50度以上であれば6級5号に認定されます。

運動機能の障害については、健常者と比べて0~10%程度まで可動域が制限されてしまった場合に、6級5号に認定されます。

6級6号

1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

片腕の3大関節のうち2つ以上が、全く動かなくなった場合や、自分の意思では動かせなくなった場合に該当します。

6級7号

1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

片脚の3大関節のうち2つ以上が、全く動かなくなった場合や、自分の意思では動かせなくなった場合に該当します。

6級8号

1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの

片手の指を全部なくした場合、もしくは親指を含んだ片手の指4本をなくした場合に該当します。

関連記事: