新しいドライアイ治療「IPL」とは? 効果の理由や受けられる条件について

新しいドライアイ治療「IPL」とは? 効果の理由や受けられる条件について

新しいドライアイの治療法として注目されているIPL。未だにドライアイ治療の基本は点眼治療ですが、改善を感じられない人には選択肢となります。IPLがドライアイ治療に効果がある理由とは? IPLは、目の手術を受けた人でも受けられるのか? 日本眼科学会認定専門医でさくやま眼科院長の柞山健一先生に話を聞きました。

柞山健一

監修医師:
柞山 健一(さくやま眼科 院長/日本眼科学会認定眼科専門医)

国立琉球大学卒業、横浜市立大学大学院修了。横浜市立大学附属病院、横浜市立みなと赤十字病院勤務を経て、東戸塚記念病院医長、国際親善総合病院医長、岡田眼科副部長などを歴任。2020年5月にさくやま眼科を開院する。日本眼科学会認定眼科専門医に加え、医学博士号・麻酔科標榜医などの資格を多数保有。日本眼科学会・日本緑内障学会の学会員としても活動している。

ドライアイ治療の「IPL」とは

ドライアイ治療の「IPL」とは

編集部

まず「IPL」とは何でしょうか?

柞山先生

IPLとは「Intense Pulsed Light(インテンス・パルス・ライト)」の略で、簡潔に言うなら「医療用の特殊な光」です。美容医療の分野でシミなどの美肌治療や脱毛に使われる光もIPLですね。

編集部

ドライアイ治療では、どのように使うのですか?

柞山先生

まぶたの裏側にある「マイボーム腺」という部分に光を当てます。照射するのは下のまぶたあたりです。1回あたり10分程度の簡単な治療になります。

IPLの効果は「マイボーム腺」の機能改善にあり

効果の理由

編集部

マイボーム腺に当てると、なぜ効果があるのでしょう?

柞山先生

涙は水の層と油の層に分かれます。涙の表面に薄い油の層が乗っていて、これが涙の蒸発を防いでいます。効果の理由はこの「脂を分泌する」場所であるマイボーム腺の機能が正常化するためです。マイボーム腺が何らかの影響で詰まってしまい、油の分泌が減ってしまうと、涙の油の成分が足りなくなり、それによって涙が蒸発しやすくなることで、ドライアイの症状が引き起こされるのです。IPLではマイボーム腺の機能を改善することで、ドライアイ症状を治します。

編集部

なぜIPLでマイボーム腺が活性化するのですか?

柞山先生

IPLが身体を温めることでマイボーム腺の詰まりを解消し、油の分泌を促すとともに、炎症を抑える効果があります。これにより、ドライアイ症状の改善が期待できます。

編集部

ドライアイの原因はマイボーム腺機能不全ということでしょうか?

柞山先生

マイボーム腺機能不全がドライアイの主要な原因の1つであることは、間違いありません。しかし「すべてのドライアイの原因=マイボーム腺機能不全」と、単純に決めつけることはできません。ほかにもたくさんの原因があります。この点は、少し詳しい説明が必要です。ドライアイは大きくは2つに分類され、「涙液減少型」「蒸発亢進型」の2種類があります。

編集部

「涙液減少型」とはどのようなものですか?

柞山先生

涙腺の機能低下や破壊などが原因で、涙が作られる量が減ってしまうタイプのドライアイです。原因は加齢、一部の薬の副作用、糖尿病、自己免疫疾患、ストレス、涙液の産生に関連する神経の損傷などです。最後の「神経の損傷」は、たとえばレーシックなどの手術の影響で起きることもあります。

編集部

「蒸発亢進型」とはどのようなものですか?

柞山先生

「涙が作られてもすぐに乾いてしまう」というタイプのドライアイです。この型の原因は、マイボーム腺の機能低下、コンタクトレンズ装用、冬場や冷暖房などの乾燥を起こす環境、過度のVDT作業(PCなどディスプレイの注視をおこなう作業)による瞬きの減少などです。

編集部

IPLが有効な理由は「マイボーム腺に作用する」ことだけですか?

柞山先生

最終的にはマイボーム腺にも関連するのですが、まつ毛ダニ(デモデックス)を減少させる効果があるといわれています。増えすぎたまつ毛ダニは、マイボーム腺のあるまぶたの炎症を引き起こし、それによりマイボーム腺機能低下が引き起こされることで、ドライアイの原因になっていると考えられています。

関連記事:

ピックアップ

健康診断の「脂質異常」が示すリスクと、そのとき取るべき正しい行動
知っておきたい「腸閉塞」のリスクと対策、最悪の場合は命を落とすことも
「痛みに対する治療の目的によって受診先が変わる」、ペインクリニックと整形外科との違いについて
様々な症状が起こる更年期障害、どのように対策すればいいの?