高齢者ドライバーの交通事故が、ニュース等で大きく報じられることが多くなっています。その原因として、集中力や視力の低下・判断や認知の遅れなどが挙げられています。
高齢者ドライバーへ運転免許証を自主返納するように勧める動きや、ある一定年齢に達した場合に運転免許を強制的に取消す措置の導入に関する議論などが活発になっているようにも思います。
みなさんの中には、こうしたニュースなどをみて、
- 加害者がうちの親だったら?
- 親に自主返納させたいけどどうしていいか分からない
などと思われた方もおられるのではないでしょうか?
そこで、この記事では、
- 高齢者ドライバーによる交通事故の実情
- 高齢者ドライバーが運転を継続する理由
について説明した上で、
- 家族としてできること
について説明していきたいと思います。
この記事が、身内高齢者による交通事故を懸念されている方のための一助となれば幸いです。
また、こちらの関連記事では交通事故での被害者が損をしないための知識について解説しています。突然の交通事故に遭遇されお困りの方は、こちらの記事もあわせてご参考いただければと思います。
1、高齢者ドライバーによる交通事故の実例
本項では、高齢者ドライバーによる交通事故の実例を取り上げます。
(1)さいたま市浦和区で女子高生が死亡
平成27年12月23日午後2時35分頃、さいたま市浦和区を走っていた高齢者ドライバー(当時80歳)の運転する乗用自動車が、信号待ちの車列の最後部に位置していた車の側面に接触し、これを避けようと急ハンドルを切ったことで路肩前方を歩いていた女子高生に衝突し、衝突した後もブレーキと間違えてアクセルを踏み続けたことで車体と鉄パイプに挟み込むなどして女子高生を死亡させた交通事故。
その後、平成28年12月16日、さいたま地方裁判所で、運転手に対し、禁錮1年6月の実刑判決が言い渡されています。
(2)31歳の母親と3歳の娘が死亡
平成31年4月19日午後0時25分頃、東京都豊島区東池袋内を走っていた高齢者ドライバー(当時87歳)が運転する乗用自動車が、横断歩道上の歩行者をはね、さらには、交差点に停まっていたゴミ収集車に衝突するなどして10名の死傷者を出しました。
涙ながらに会見に臨むご遺族の姿に胸を打たれます。
2、高齢者ドライバーが起こした交通事故での被害者家族の悲痛な声
上記でご紹介した交通事故のご遺族は次のように訴えておられます。
(1)さいたま市浦和区の事故の女子高生のご遺族
被害者である女子高生の母親は、事故後、「娘の悲劇を繰り返して欲しくない。」「誰もが加害者、被害者になる可能性がある事故。多くの皆さんに娘の状況を知って欲しい。」との思いからブログを立ち上げ、実際に起きた娘さんの交通事故の現状・悲惨さ、道路交通法改正の必要性などを訴えておられます。
(2)豊島区東池袋の事故で亡くなった親子のご遺族
ご遺族である夫は、事故後、会見を開かれています。
会見で夫は、「最愛の妻と娘を突然失い、ただただ涙することしかできず、絶望しています。(略)たった一瞬で私たちの未来は奪われてしまいました。(略)この悔しさはどれだけ時間が経っても消えないでしょう。」と語り、会見で奥様と娘さんの顔写真を公開された理由について「今後、私たちのような悲しむ遺族を出して欲しくないから。」などと語られています。
配信: LEGAL MALL