B型肝炎訴訟の期限は2022年1月12日まで!損をしないための知識

B型肝炎訴訟の期限は2022年1月12日まで!損をしないための知識

3、B型肝炎訴訟は期限にかかわらず早期に準備すべき理由

給付金の請求期限である2022年(令和4年)1月12日までは、本記事の執筆時点でまだ1年の時間があります。

しかし、B型肝炎訴訟の準備には平均して6ヶ月~1年ほどかかるのですから、もうそれほど時間に余裕はないということもできます。

そのため、準備は早めに進めるべきですが、請求期限の問題以外にも早期に準備を進めた方がよい理由があります。

(1)準備を効率よく進めるため

B型肝炎訴訟の準備には、ケースによっては非常に手間がかかる場合があります。

書類を取り寄せるだけで準備が整う人がいる一方で、新たに医療機関で検査を受けなければならない人もいます。

なかには、母親が亡くなっているために兄や姉など年長の兄弟姉妹に血液検査を依頼しなければならない人もいますが、そのことがわかった時点で兄や姉などの連絡先がわからないという場合もあるでしょう。

早期に準備を始めることで次にやるべきことが明らかになるので、効率よく準備を進めることができるようになります。

(2)発症してからの期間によって給付金が大幅に減額されるため

給付金の額は病態や症状に応じて定められていますが、発症してから20年が経過すると、受給できる金額が大幅に減額されてしまいます。

例えば、死亡・肝がん・肝硬変(重度)の給付金額は3,600万円ですが、発症後20年を過ぎると900万円に減額されてしまいます。

その理由は、民法で不法行為に基づく損害賠償請求権は、不法行為の時から20年経過した場合、消滅するとされているためです(改正前民法第724条後段)。

この20年という期間に関しては、改正前民法についての判例においては「除斥期間」とされていましたが、改正民法においては、「時効期間」であると明示されました。

時効期間と除斥期間の違いに関しては、専門的な法律上の話になるため詳細は割愛しますが、簡単に説明すると、原則として時間の経過により当然に権利が消滅する除斥期間から、「中断」や「停止」の手段がある時効期間に統一されたため、より被害者が救済されやすくなることが期待されています。

そして、B型肝炎の給付金も、国の不法行為に基づく感染者に対する損害賠償金の性質があります。そのため、発症から20年が経過すると、本来なら感染者はもう、一切の賠償金を受け取ることができないことになるはずです。

しかし、国はB型肝炎の感染者の救済のために、発症から20年を過ぎた人に対しても金額は下がりますが、給付金を支給することとしているのです。

つまり、B型肝炎給付金における20年の期間は、権利が消滅するわけではないため、民法でいう時効期間や改正前民法下での旧・除斥期間と全く一緒ではないものの、その考え方を基にした、期間設定であると考えられます。

発症してから年数が経っている方の場合、請求期限よりも先に20年の期間が経過して給付金が大幅に減額される可能性があるので、ご注意ください。

4、B型肝炎訴訟の期限は再度の延長もあり得る?

前記「1(1)」でご説明したように、給付金の請求期限は当初は2017年(平成29年)1月12日までだったのがその後に延長されて、2022年(令和4年)1月12日までということになりました。

では、この請求期限がさらに延長されることはあり得るのでしょうか?

結論から申しますと、延長される可能性はあると考えられます。しかし、延長されるという保証は全くないことに注意が必要です。

(1)特措法が制定された背景

特措法が制定される以前は、集団予防接種等が原因でB型肝炎ウイルスに感染した方は、国を相手に本格的な勝ち負けを争う訴訟をして勝訴しなければ、賠償金を獲得することはできませんでした。

現に、1989年(平成元年)、5人の感染被害者が国を相手どって訴訟を起こし、2006年(平成18年)に至ってようやく最高裁で勝訴判決を勝ち取りました。

しかし、国は5人以外の感染被害者に対する救済策の実施をしませんでした。そのため、感染被害者らにより、2008年(平成20年)からいっせいに全国各地で集団訴訟が起こされました。

この集団訴訟において、裁判所からの和解勧告を踏まえて原告団・弁護団と国とで協議を行い、B型肝炎ウイルスの感染被害者を救済する責務を盛り込んだ「基本合意」が2011年(平成23年)6月28日に結ばれました。

そして、その翌年の2012年(平成24年)1月、感染被害者に給付金を支給するための特措法が施行されたのです。

要するに、感染被害者の救済を目的として制定されたのが特措法ということになります。

(2)期限が延長された理由

当初の請求期限は2017年(平成29年)1月12日までとされていました。

しかし、全国に45万人いると推計される感染被害者のうち、平成28年3月の時点でB型肝炎訴訟を提起したのは約3万名に過ぎませんでした。

大半の方が感染に気付いていないか、感染に気付いてはいても救済制度を知らないというのが実情でした。これでは、B型肝炎ウイルスの感染被害者を救済するという特措法の目的が果たされたとは到底いえません。

そのため、より多くの感染被害者の救済を図るために、請求期限が5年間延長されたのです。

(3)再度延長される可能性も高い

とはいえ、現時点においてもB型肝炎訴訟を提起したのは感染被害者全体のうちのごく一部にとどまっています。

この現状が今後も続けば、請求期限が再度延長される可能性は十分にあるとも考えられます。

(4)ただし、早期に準備すべき

とはいっても、楽観視することは許されません。請求期限を延長すべきだとはいっても、その要望に国が何度も応じるとは限らないからです。

現在の法律では、請求期限は2022年(令和4年)1月22日までと定められているのです。したがって、これを前提にB型肝炎訴訟の準備を早期に進めていくべきです。

また、特に患者が亡くなっている場合や、母子感染の否定のために血液検査が必要な母親又は年長きょうだいが亡くなっている場合には、生前の資料を病院等から取得する必要があります。

しかし、医療記録はいつまでも保存されているわけでは無く、法律上保存の義務が定められているのは、5年間だけです(医師法第24条第2項)。5年を越えると、病院の判断で破棄することができるため、亡くなってから時間が経ち、5年をすぎると、時間が経つほど医療記録が破棄されてしまい、必要な資料がそろわなくなる恐れが高まってしまうのです。

そのため、すでに亡くなっている方の資料が必要となる場合には、請求期限が延長されるか否かにかかわらず、できるだけ早期に準備を始め、病院等から必要な資料を確保する必要があるのです。

もちろん、5年間の保存義務期間が過ぎれば即座に廃棄すると決まっているわけではなく、10年やそれ以上の長期にわたり保存している病院もあるため、5年以上経過しているからといって直ちにあきらめるのは誤りです。

ただ、どちらにしても、できるだけ早く病院に問い合わせをした方が良いのは、確実です。

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