職務質問は拒否できる?弁護士が伝授する警察官への対処法

職務質問は拒否できる?弁護士が伝授する警察官への対処法

3、職務質問にあった場合の賢い対処法

以上ご説明したとおり、職務質問を拒否しても警察官は簡単に引き下がってはくれませんし、警察官には一定程度の有形力の行使が認められているため、警察官の職務質問を拒否することは容易ではありません。

そこで、この項では、職務質問にあった場合の賢い対処法についてご紹介いたします。

(1)職務質問には応じる

まずは、特段問題となることがなければ、職務質問に素直に応じることも検討すべきです。

必要以上に拒否すればするほど、警察官に「何かやましい点があるのではないか」という思いを抱かせ、かえって時間と労力を要してしまうだけです。

また、その場から逃げようとしても、警察官が数人がかりで追跡し職務質問に応じるよう求めることもあるでしょう。

ただし、答えたくない質問には無理に答える必要はありません。

(2)所持品検査について

職務質問の際には、所持品検査がされることもあります。

こちらもあくまで任意で行われるものですから「所持品検査には応じない」ときっぱり断ってもいいわけです。

ただし、所持品検査についても、職務質問と同様、警察官には一定程度の有形力の行使が認められています。

例えば、強盗の疑いが濃厚な者が、質問に対し黙秘したうえ、何度もバッグを開けるのを拒否した場合に、その者が持っているバッグの鍵がかかっていないチャックを開けて中をちらっと見る行為などは最高裁判例において適法とされています。

(3)警察官には手を出さない

突然、警察官からの職務質問を受け、抵抗したくなる気持ちはわかりますが、そこは気持ちをグッと抑えましょう。

間違っても、警察官の顔を殴ったり、足を蹴ったりすることはもちろん、胸ぐらをつかんだり、腕を押さえつけるなどして警察官に手を出してはいけません。

ここで警察官に手を出すと、公務執行妨害罪の現行犯として逮捕されるおそれがあります。

(4)職務質問の状況を記録に残す

職務質問にあったら、スマートフォンやボイスレコーダーなどで現場の状況や音声を記録しておくことも方法の1つです。

威圧的態度をとる警察官に対する抑止効果を期待できますし、のちのち裁判で職務質問の適法性が争われた場合、証拠にもなり得るからです。

警察官から記録を止められそうになった場合は、「職務質問の状況を記録に残すため」などといってはっきり拒否しましょう。

この時点で、あなたの承諾がない限り、警察官がスマートフォン等の記録機器をあなたから取り上げる権限はありません。

(5)弁護士を呼ぶ

自分1人での対応では不安だという方は、職務質問の現場に急行してくれる弁護士を呼ぶことも方法の1つです。

適当な弁護士を知らない場合は、ご家族などに電話して対応してもらいましょう。

職務質問の際に、警察官が外部の方との連絡を遮断する法的根拠はありません。

警察官からスマートフォンを手放すよう言われても何ら応じる必要はありません。

はっきりと拒否しましょう。

弁護士が警察官との間に入れば、違法・不当な職務質問を抑止することなどが期待できます。

まとめ

職務質問の目的はあくまで犯罪の予防・鎮圧です。

警察官もその目的を達成するために職務質問を行っているのであり、だれかれ構わず職務質問を行っているわけではありません。

警察官の職務質問を受けたというのであれば、周囲で事件があったなど、一応何らかの理由があるからです。

これまで職務質問を受けた際の対処法についてご紹介してきました。

しかし、ご自身に何ら犯罪への関与がないのであれば、素直に応じればすぐに済むことです。

何らかの理由で職務質問に応じたくないというのであれば、上記でご紹介した対処法をご参考にしていただければと思います。

この記事が職務質問の対処法に興味をお持ちの方のためのご参考となれば幸いです。

監修者:萩原 達也弁護士

ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、中国、ミャンマーをはじめとする海外拠点、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。

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