5、保釈金を支払えない場合はどうするか
保釈保証金が支払えない場合には、保釈を許す決定が出ても身柄拘束から解放されないことになります。もっとも、一度に150万円から300万円の大金を用意できる人もそう多くはないかもしれません。
そのような方のために、一般社団法人日本保釈支援協会や弁護士協同組合等では、保釈保証金立替制度というものが運営されています。
保釈保証金立替制度とは、これらの団体が、被告人やその関係者に代わって、保釈保証金を用意してくれる制度です。簡単にいえば、保釈保証金納付の目的に限って、お金を貸してくれる制度です。
この制度は、保釈保証金を直ちに用意できない場合などには有用な制度です。銀行などからの融資と比べて審査が緩やかであり、高額の立替も比較的認められやすい運用となっています。
しかし、この制度には以下のようなデメリットもあります。
(1)第一のデメリット
本人以外の家族が申し込みする必要があり、保釈保証金が没収された場合には、その申込みをした家族が保釈金を返済する義務を負います。
(2)第二のデメリット
手数料は、銀行などからの融資と比べて高めに設定されている場合が多く、保釈期間が長引くほど、手数料の負担が増えていくことになります。保釈保証金を返還しても、この手数料はかえってきません。
したがって、この制度の利用に際しては、保釈保証金が没収されるリスクや、保釈期間が長引き、長期にわたって手数料を負担しなければならないリスクをよく検討する必要があります。
まとめ
警察の留置施設や拘置所に拘束され、自由に生活できないことは、肉体的にも精神的にも想像以上に辛いことです。一刻も早く外に出たい(出したい)と思うのが通常だと思います。しかし、保釈をするには高額のお金を納付する必要がありますし、立替制度にもデメリットはあります。
本人と家族でよく話し合い、弁護士の意見もよくきいて、検討されるのがよいかと思います。
こちらの「刑事事件と民事事件の違い」の記事も参考にしていただけたら幸いです
監修者:萩原 達也弁護士
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