既存のプログラムと学校独自の工夫の融合

学校独自のアイデアあふれる実践

こういった段階を超えて次の一歩となると、学校独自のとりくみが加味されます。ある学校は独自に「防災学習ノート」を作って、生徒たちに持たせています。学習のたびに記入していけば、その生徒独自のポートフォリオ(※2)となります。
年間を通して防災教育を展開している学校は、年度末に学習発表会を開いています。複数の学年が参加し(「縦割り」と呼びます)、上級生の発表を下級生が聞く機会を設けます。下級生は上級生の発表から学べるだけではなく、次年度以降の自分たちの学びの目標ができます。上級生は発表することで学んだ内容を定着させ、さらに下級生から「すごい」といわれて自身が付きます。
上級生だけではなく、すべての学年の総合的な学習の時間と特別活動、さらには教科の時間も使って総合的に防災教育を行っている学校もあります。この場合、低学年では家庭や学校、通学路といった身近な場所の危険と安全を学び、学年が上がるにつれて学習の範囲は地域、都道府県、日本全体へと広がっていきます。授業方法も工夫が凝らされています。低学年ではこどもたちが学校内を探検して危険個所を発見し、先生に提言します。一つでも改善されれば大きな自信になります。高学年は地域住民と街を歩いてハザードマップを作ります。とはいっても、危険個所だけを記載している地図ではなく、地域の良いところ、自慢、車いすでは入れるお店など、様々な情報を盛り込みます。完成したときは、協力してくれた地域の方を招いて発表会をします。

※2 ポートフォリオ portfolio 本来は書類入れのような意味ですが、教育では学習記録を積み上げたものを指します。

学ぶ「場づくり」が大切

正規のカリキュラムだけではなく、クラブ活動や生徒会活動を活用して防災にとりくむ学校もあります。大学生の協力を得て放送委員会のお昼の放送に防災プログラムを取り入れている小学校、「防災俱楽部」を作って地域と連携して防災活動をしている中学校、東日本大震災の被災地で「復興研究会」を作り10年間、定点観測や他地域の学校との交流、発信を続けてきた高校・・・。
大切なのは、こどもたちが学ぶ「場づくり」と学んだ内容を地元やほかの地域、学校、社会へ発信していく「場づくり」です。防災教育を支援する大人の重要な仕事の一つが、この「場づくり」であるといえるでしょう。

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moshimo ストック
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私たち moshimo ストックは「もしも」のための防災情報メディア。 最近、地震や台風がよく起きるようになって心配。 防災をしようと調べてみたものの、何から始めればいいの…? 私たちも始めは知ることがたくさんあって、防災ってちょっと難しいな…と思いました。 でも、ちょっと待って下さい! もし何の準備もなく災害にあってしまったら大変です。 防災は少しずつでも大丈夫、「もしも」のための準備を始めませんか?
私たち moshimo ストックは「もしも」のための防災情報メディア。 最近、地震や台風がよく起きるようになって心配。 防災をしようと調べてみたものの、何から始めればいいの…? 私たちも始めは知ることがたくさんあって、防災ってちょっと難しいな…と思いました。 でも、ちょっと待って下さい! もし何の準備もなく災害にあってしまったら大変です。 防災は少しずつでも大丈夫、「もしも」のための準備を始めませんか?