災害関連死とは?生き残った後にも油断せず、健康リスクに注意しよう

災害関連死とは?生き残った後にも油断せず、健康リスクに注意しよう

熊本地震から読み解く災害関連死のリスクが高い人の特徴

熊本県では、2016年に発生した熊本地震に関して、「熊本地震デジタルアーカイブ」として、被害の実情や復旧・復興の過程で得たノウハウ、教訓などをまとめています。その中で、災害関連死についてもまとめられています。(参照: 熊本地震デジタルアーカイブ 震災関連死の概況について
どのような人たちが災害関連死に至ってしまったのか、その傾向を知ることで、リスクの高い人の傾向や災害関連死を避けるためにすべき行動も見えてきます。

命を落とした人の、79%以上が災害関連死だったという、熊本地震。
男女比では男性が若干多いものの、大きな偏りはありませんでした。発災から1年ほど経っても亡くなる方が出ましたが、災害関連死した方の約8割は、発災から3ヶ月以内。過去に何らかの病気にかかったことのある人がほとんどでした。
年代別に見ると、10代以下でも災害関連死での死者は出ていますが、30代から増え始め、50代からは災害関連死での死亡者数の増加が顕著となり、80代が最も多くなっています。体力も落ちていて、持病のある人も多くなる、高齢者に災害関連死のリスクが高くなるのです。

災害関連死の多くは自宅で発生している

災害関連死の多くの原因は、地震のショックや余震への恐怖による、肉体的・精神的な負担です。ついで、避難所などでの生活の肉体的・精神的な負担。また、停電などによって医療機関の機能が停止し、既往症が悪化したり疾病を発症しても、初期治療を受けることができずに、命を落とすケースもあります。災害時には十分な医療が受けられなくなることを日頃から想定して、持病のある方は日頃からお薬などを多めにストックしておき、避難所などに行く際には、お薬手帳とともに忘れずに持っていくようにしましょう。

災害時には避難所などの慣れない場所で、慣れない状況下での生活が大きなストレスになるようにも思いますが、災害関連死は実は避難所よりも自宅などの、災害が発生した時にいた場所やその周辺で多く発生しています。
また、熊本地震の際は、肺炎や気管支炎などの呼吸器系の疾患や、心不全やくも膜下出血などの循環器系の疾患で亡くなった方が多くありました。
呼吸器系疾患や循環器系疾患で亡くなった方ほど数は多くありませんが、災害関連死者数全体の約8%の人が自殺で命を絶っています。
こうしたケースの中には、誰かひとりでも寄り添う人がいたなら、救うことができた可能性のあるものもあります。
ご近所とのおつきあいは日常生活の中でももちろん大切なことですが、大規模災害時には、ご高齢の在宅避難をしている人にも頻繁に声かけなどをすることが、災害関連死を防ぐためにはとても重要なことなのです。

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