年齢詐称は犯罪になる?刑法上の取り扱いについて徹底解説

年齢詐称は犯罪になる?刑法上の取り扱いについて徹底解説

本当の年齢とは異なる年齢だと他人に伝えてしまう年齢詐称は、日常生活の場面ではさまざまな意図で行われているようです。

年齢詐称は、モラルに反し、褒められる行為ではありませんし、犯罪行為として捉えられ、法律上の問題が発生するケースもあります。

問題にはならないケースもあるものの、悪質なケースでは犯罪に問われてしまう可能性もあります。

この記事では、年齢詐称を行った場合に、法律上どのような問題が発生するのかについて、弁護士が解説します。

1、年齢詐称はなぜ行われるのか?

年齢詐称が行われる動機は、実害が生じないようなものから、大きな害悪を生じさせるものまで多種多様です。

ここからは、世間で年齢詐称が行われる際の具体例を一部紹介します。

(1)年齢下限制限のある仕事に応募するため

労働者の募集・採用にあたっては、原則として年齢制限を設けることはできません(雇用対策法第10条)。

しかし、仕事の中には、法令による制限によって、18歳以上などの一定の年齢以上でないと就労できない業種があります。

例えば、警備業務、飲食や接待などを行う業務、危険有害業務等があります。このような業務に就くために、年少者が、自分の年齢は18歳以上などと詐称することが見受けられます。

このような業種の採用では、免許証等によって生年月日を確認するのが通常ですから、応募者が年齢詐称をしても、発覚することがほとんどです。

しかし、人手不足などの理由によって、年少者を採用し、使用者と年少者が共謀して年齢詐称して、就労する問題も発生しています。

他にも、本人確認が厳格ではないパートやアルバイトなどでは、若く思われたいという動機から、履歴書の生年月日を偽っていたというものがあります。このような場合に問題になることは少ないのですが、定年によって働けなくなる時期を先送りしたいなどの理由によって、会社をだます目的であれば、大きな問題になりえます。

(2)年齢制限のあるインターネット上のアカウントを取得するため

SNSをはじめとしたインターネット上のwebサービスのアカウントを取得する際には、登録自体に年齢制限が設けられているケースがあります。

インターネット上には、

  • 暴力やわいせつなどの有害コンテンツ
  • 誹謗中傷
  • 根拠のないデマ

など、青少年にとって閲覧に注意を要する情報が非常に多数存在します。

こうした要注意情報から青少年を保護するため、

  • 「小学生以下禁止」
  • 「中学生以下禁止」
  • 「18歳以上のみ」

などの形で、アカウント取得に年齢制限を設けている場合があります。

しかし多くのwebサイトでは、利用者の登録時に厳格な本人確認などを行わないため、利用者が年齢を詐称しても、サイト運営者がそれに気づくことはほとんどありません。

そのため、webサイトに関心を持った対象年齢以下の青少年が、年齢詐称をして不正にアカウントを取得するケースが横行しています。

(3)未成年者が酒類やたばこなどを購入するため

「未成年者飲酒禁止法」および「未成年者喫煙禁止法」という法律で、未成年者が飲酒や喫煙をすることは禁止されています。

また、酒類やタバコの販売側にも厳しい規制がかけられており、未成年者であることを知って酒類やタバコを販売した業者には罰則が適用されるおそれがあります。また、酒類やタバコを販売する業者には、未成年者への販売を防止するための年齢確認などを行うことが法律上義務付けられています。

したがって、未成年者だとわかってしまえば、酒類やタバコを売ってもらうことは通常できません。

どうしても酒類やタバコを買いたいという未成年者が、酒屋やタバコ屋の店員に対して20歳以上だと嘘をついて購入するケースがしばしばあります。

販売店の中には未成年者飲酒・喫煙防止への意識が緩く、年齢確認を怠っている者が存在することも事実です。

このように、未成年者による年齢詐称は、販売業者側が本人確認を怠ることによって誘発されている側面もあるのです。

(4)実年齢よりも年下(年上)に見られたいため

法律その他のルールを不正に回避するため、というわけではなくても、単純に虚栄心や好かれたいという想いから年齢詐称を行うケースがあります。

たとえば出会い系サイトや婚活アプリなどでは、若い方が人気を集めやすい傾向にあります。

そのため、実年齢より若く登録するケースは頻繁に見られます。

また、芸能人や風俗関係の人が年齢詐称をしていることもあります。

これは若さをアピールして人気を集めたいという動機のほか、本当の生年月日を隠すことによって、個人情報・プライベートを保護するという意図もあるようです。

2、年齢詐称は詐欺罪になる?

年齢詐称は、相手を騙す行為であることは間違いありません。

法律上どのような問題が発生するのか見ていきましょう。

「騙す」という行為からは、刑法上の「詐欺罪」(刑法第246条1項)を連想する方が多いのではないでしょうか。

実際には、年齢詐称自体が詐欺罪に該当するケースは多くありません。

詐欺罪は、だます行為によって相手からお金等の財物を得た場合に成立する犯罪です。年齢詐称して、交際を始めたなどの場合には詐欺罪に該当することはありません。

しかし、結婚詐欺や恋愛詐欺の一つの手段として年齢詐称をおこなえば、詐欺罪に該当することもあるのです。

そこで、年齢詐称が詐欺罪に当たらないケース・当たるケースについて解説します。

(1)年齢詐称が財物の処分行為に向けられたものでなければ詐欺罪に当たらない

刑法上、詐欺罪については以下のように規定されています。

(詐欺)

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

(刑法第246条第1項)

非常にシンプルな条文ですが、法的には、詐欺罪の構成要件は以下のように解されています。

①欺罔行為(財物を交付させるような錯誤に陥らせる行為)

②錯誤(騙されて事実とはことなる認識をもつこと)

③処分行為(犯人に被害者が財物を渡す等の行為をすること)

④財物の交付(財物が犯人にわたること)

⑤①~④の間の因果関係

*この他、財産上の損害も要件であるとする見解もあります。

年齢詐称の場合、相手に対して嘘の年齢を言い、それによって相手が嘘の年齢を信じたならば、嘘で相手を騙したことは確かです。

しかし、それだけでは、詐欺罪とはなりません。犯人が財物を交付させるために年齢詐称を行い、被害者が、犯人の本当の年齢を知っていたならば、その財物を交付しなかったという関係(因果関係)があることが必要なのです。

このように、単に年齢詐称をしただけでは、詐欺罪は成立しないのです。

(2)財物の交付があった場合は、詐欺罪に当たる場合がある

上記のとおり、年齢が財物を交付するかどうか判断する上で重要事項である場合に、金銭や高価な物、価値のある権利等を交付させる目的で年齢詐称を行う場合は、詐欺罪が成立する可能性があります。

年齢詐称が詐欺罪に該当する可能性のある典型的ケースとしては、以下のようなものが考えられます。

「65歳以上の世帯に生活資金を援助します」という募集に対して、真実は60歳なのに、65歳偽って応募し、実際に援助金を受け取った場合

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