自己治癒力を上げてケガを治す!? 「PRP療法」についての疑問を医師が解説

自己治癒力を上げてケガを治す!? 「PRP療法」についての疑問を医師が解説

自己治癒力を活性化させ、ケガなどの回復を目指す「PRP療法」。今、もっとも注目されている再生医療の1つですが、治療内容や効果について理解していない人も多いのではないでしょうか。今回は「小石川整形外科」の丸山先生に、PRP療法に対する疑問を投げかけてみました。

丸山剛

監修医師:
丸山 剛(小石川整形外科 院長)

日本医科大学医学部卒業。その後、複数の病院の整形外科・リウマチ外科で経験を積む。2021年、東京都文京区に「小石川整形外科」を開院。常に患者に寄り添った診療を心がけ、地域医療に貢献している。日本整形外科学会専門医。日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会、日本股関節学会、関東整形災害外科学会の各会員。日本整形外科学会認定リハビリテーション医・スポーツ医・リウマチ医。

PRP療法とは?

PRP療法とは?

編集部

そもそも、PRP療法とはどんな治療法ですか?

丸山先生

PRP(Platelet Rich Plasma)療法は、日本語に直すと「多血小板血漿療法」のことです。簡単にいえば、ご自身の血液から抽出した「PRP(多血小板血漿)」を患部に注射する再生医療の1つです。

編集部

PRPについて、もう少し詳しく教えてください。

丸山先生

赤血球や白血球などとともに血液に含まれる細胞成分の一種である「血小板」を、濃縮して活性化したものがPRPです。骨髄で生成され、血管が損傷したときに血液を凝固させたり、止血したりする働きを担っています。

編集部

その血小板を注射するのですか?

丸山先生

そのとおりです。この血小板には、細胞分裂を活性化する「成長因子」というタンパク質がたくさん含まれています。特に、血小板に含まれる成長因子には、傷を修復したり、組織を再生したりする役割を担っています。患部に注射をして、PRPの働きを有効活用することで、自己治癒力の向上を目指すのです。

PRP療法が適応になる疾患や症状は?

PRP療法が適応になる疾患や症状は?

編集部

具体的に、PRP療法はどのような疾患や症状に有効なのですか?

丸山先生

医療機関によって対象とする疾患や症状は異なりますが、一般的には、整形外科と形成外科の領域で活用されています。また、最近では婦人科の領域や歯科のインプラント治療でも用いられつつあります。

編集部

そうなのですね。整形外科の領域では、どのような疾患が対象になりますか?

丸山先生

代表的なのは、「変形性膝関節症」でしょうか。膝関節のクッションとして働く軟骨が、加齢や筋肉量の低下、肥満などによってすり減り、痛みが生じる病気です。膝がこわばったり、痛くて歩けなくなったり、膝に水が溜まったりする症状が出ます。歳を取るにつれて多くの人が「膝が痛い」という症状を訴えますが、そのほとんどが変形性膝関節症です。PRP療法は、関節の痛みを軽減したり、組織の修復を促したりする効果があるため、変形性膝関節症の治療に用いられています。

編集部

関節の痛みを軽減することができるのですね。

丸山先生

そうですね。加えて、PRP療法は「すり減った軟骨組織を再生することができる」点が優れています。従来、膝など関節の痛みには「ヒアルロン酸が有効」と言われていました。なぜなら、ヒアルロン酸は関節液内の成分に似ており、補給注入することで痛みの改善と軟骨の保護を期待できるからです。しかし、ヒアルロン酸は軟骨組織そのものを再生することはできないので、痛みを繰り返してしまいかねません。その点、PRP療法は組織自体の再生を促すので、根本的な治療につながるのです。

編集部

ほかには、どのような症状に効果がありますか?

丸山先生

筋肉や腱、靭帯の損傷による痛みが続く症状にも有効です。例えば、ゴルフ肘と呼ばれる「上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)」や、テニス肘と呼ばれる「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」のほか、肉離れやアキレス腱炎などにも効果が期待されています。

編集部

一方、形成外科領域ではどうでしょうか?

丸山先生

「ケガや手術後などで皮膚の治癒を早めたい人」や「皮膚を綺麗に治したい人」にとって、検討する余地のある治療法です。例を挙げると、切り傷の跡を綺麗に治したい場合、PRP療法は傷の修復を促す効果が期待されます。また、肌質を改善して、しわを綺麗にしたいといった美容目的でも活用されています。

編集部

非常に幅広く効果が期待されるのですね。

丸山先生

はい。PRP療法は、人間が本来持っている創傷治癒のメカニズムに着目した治療法です。「自分の生きた細胞によって失われた組織を再生させる」という組織工学に基づき、自己治癒力の向上を目指します。現在は、様々な分野で研究と応用が進められており、すでに海外では一般的な治療法として認知されています。

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