3、自己破産の申立時に友人からの借金を除外するとどうなる?
(1)発覚すると追加される
自己破産の申立てをする際に、債務者(破産者)は、債権者のリストを作成して、裁判所に報告しなければなりません。
また、破産決定後に破産管財人から説明を求められた場合には、破産者は誠実に回答・報告すべき義務を負います。
過失による記載漏れは仕方ありませんが、意図的に友人を債権者リストに加えないなどして悪質とみなされた場合、破産法上の罰則規定に抵触し(破産法268条等)、懲役や罰金などの刑事罰を科される危険があります。
過失により債権者リストの記載漏れがあり、そのことが分かった場合には、裁判所・破産管財人は直ちに、新たに判明した債権者に対して、期間を定めて債権届を提出するかどうかを尋ねる通知書を送ります。
期間内に債権届が出された場合には、破産手続きの中で配当を得ることになります。
(2)免責されないこともある
破産手続における債務者(破産者)の目的は、免責を得るというところにあります。
免責を得られないと、破産手続終了後も負債は強制力があるまま残ることになってしまい、もし破産後に資産を築いたとしても、強制執行により資産を差し押さえることもあります。
破産で免責を得ることは、その後の経済的再生を目指すうえでは欠かせないものです。
しかし、友人からの借金を除外して申告した場合、その行為が悪質だとみなされてしまうと、破産法上の免責不許可事由(破産法252条1項3号)に該当するとして、免責が認められないということも起こりえます。
4、友人からの借金を除外して自己破産を申し立てる方法と注意点
(1)友人に債権放棄をしてもらう
破産開始決定が出て、破産管財人が財産調査等を行い、破産者の財産の清算と債権者への配当が終わると、破産手続きは終了します。
併せて免責許可が出ることで破産者は債務に対する責任を免れます。
この場合、法律上は配当を得ても満たされなかった債権については自然債務(強制力のない債務)になると考えられています。
自然債務とはつまり、返しても返さなくてもよい債務ということです。
こうして、破産手続が終了した後は、破産者は自分の財産を自由に処分できるようになります。
これをもとに友人からの借金について考えると、破産手続が終了してから、破産者が自身の意思にもとづいて返済することは自由ですので、破産手続きでは債権放棄してもらい、終了後に任意で支払っていくという約束をしておくことが考えられます。
(2)第三者から一括返済をしてもらう
破産によって友人に迷惑をかけたくないという場合には、ご両親や親せきなどの家族から立て替えて友人に返済してもらう、という方法も考えられます。
この場合は、立て替えた家族が破産手続きの中で債権者とされることになります。
債権者が友人から家族に代わるだけで、債権者の平等が害されるわけではないので、破産管財人から否認されるというリスクが回避できます。
ただし、この方法は、家族の協力が不可欠です。
(3)自分で一括返済した場合の注意点
破産前でも支払停止にある状態の中で、友人からの借金だけ一括返済すると、破産後に否認されるリスクがあります。
ただ、返済金額や態様にもよりますが、実態としては、破産管財人が否認までして取り戻すということはそれほど多くはないようです。
しかし、法律上は、先に挙げましたように破産法上の刑罰の対象となったり、免責不許可となることも理論上は想定されますので、実行前に弁護士に相談すべきでしょう。
配信: LEGAL MALL