裁量労働制でも残業代は請求可能!残業代の計算方法や請求方法を解説

裁量労働制でも残業代は請求可能!残業代の計算方法や請求方法を解説

3、裁量労働制の場合の残業代の計算方法は?

例えば、1日あたり9時間の裁量労働制がとられている場合、当該従業員が午前10時から20時まで働いたとしても、2時間分ではなく、8時間を超える1時間分の時間外割増賃金の支払が必要となります。

ただし、会社によっては、裁量労働制の適用に加えて、固定残業代の定めがある場合も多く、就業規則上で当該固定残業代にこの1時間が含まれるとする定めがあれば残業代は発生しないことになります。

また、裁量労働制によるみなし労働時間は原則として労働日にしか適用されません。

従いまして、会社は、休日労働の方は実労働時間を把握・計算し、法定外休日の労働時間分は時間外割増賃金を、法定休日の労働時間分は時間外ではカウントせず休日割増賃金を支払う義務があります。

また、「2」で述べたように、深夜労働についても別になりますので、会社は、時間外割増賃金と深夜割増手当の支払が必要になります。この場合も固定残業代の適用がある場合があることは、前述のとおりです。

4、裁量労働制の方が会社に残業代請求する方法

では、実際に残業代請求をする場合、どのような流れになるのでしょうか。

まず、法律事務所にご相談ください。この時に、残業の証拠となる資料(タイムカード、職場のアドレスから送信されたメール履歴等)、労働契約の内容を確認できる資料(雇用契約書、就業規則、給与明細等)をご持参いただけると、ある程度の確度を持った判断ができます。

また、裁量労働制がとられている方の場合、上記のような労使協定や労使委員会の議決が重要になりますので、できれば入手し、持参いただけるとさらに確度も持った判断ができます。

次に、会社に対し、内容証明郵便にて残業代等の請求を行います。労働者側に証拠が不足しているときは、会社に対し証拠の開示を求めます。多くの会社は証拠の開示に協力的ですが、中には開示に協力しない会社もあります。そのような場合には、推定計算等を用いて残業代の金額を計算します。

さらに、会社が裁判外で残業代を支払えば、これを受け取って事件終了となります。会社が裁判外での支払いに応じず、争う姿勢である場合には、労働審判や訴訟を提起して、裁判所による手続の中で解決を図ることとなります。

詳しくは「残業代が未払いになったら! 残業代請求の全手順」を参照ください。

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