教師の残業代はなぜ出ない?4つの理由と解決への対処方法

教師の残業代はなぜ出ない?4つの理由と解決への対処方法

「教師になったものの、残業代が出ないと知って戸惑っている」

「でも残業しないと仕事が終わらないし、残業代に相当する調整額ではとてもじゃないけど割に合わない」

そんなお悩みを抱えていませんか?

今回は、

  • 実はブラック…公立学校教師の働き方の実態
  • 教師の残業代がほとんど出ない理由
  • 教師が実質的に「残業代」を増やす方法
  • 教師に残業代が出ないなら…仕事を減らす方法はある?

など、公立学校で働く教師のみなさんの疑問にひとつずつお答えしていきます。

教師としての働き方に悩むみなさんにとって、この記事が少しでも現在の不満を解消するためのお役に立てば幸いです。

残業代がもらえないかも…?とお悩みの方は以下の関連記事もご覧ください。

1、教師は残業代がほとんど出ない!

まずは、公立学校の教師が実際に日々どのような働き方をしているのか、その実態から見ていきましょう。

(1)公立学校はブラック職場?

残業代の出ない長時間労働などが常態化している企業のことを俗に「ブラック企業」と呼びますが、公立学校の場合も労働環境をひと言でまとめるとまさに「ブラック」といえるかもしれません。

残業時間が月に100時間を超えるような教師も珍しくはなく、その上束の間の休憩時間も現実的には生徒への対応でほとんど潰れてしまうといいます。

それでいて若手教師の場合、月にもらえる残業代はわずか1~2万円程度。

働きに対して支払われる給与がまったく見合っていないのです。

(2)「過労死ライン」の激務で働く教師は多い

みなさんは、国が示す「過労死ライン」をご存知ですか?

これは「時間外労働時間がそのラインを超えると健康障害のリスクが高まる」という目安のことです。

発症前1ヶ月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月にわたって1か月あたりおおむね80時間を超える時間外・休日労働とされています。

参照:過労死等防止啓発パンフレット(PDF:5237KB) – 厚生労働省

上記の1ヶ月に80時間の時間外・休日労働を基準とすると、1ヶ月4週間と考えれば、1週間に20時間以上の時間外労働をすれば過労死ラインを超える労働時間に相当します。

労働基準法上の1週間の労働時間の上限は40時間ですから、1週間に60時間以上労働する場合には、過労死ラインを超えている可能性があると言ってよいかもしれません。

文部科学省の調査によると、小学校及び中学校の教師の1週間の学校内における総勤務時間は以下の表のとおりとのことです。

それによれば、実は1週間に60時間以上の労働をする教師が、小学校では全体の33.5%、中学校ではなんと57.7%にまで上っており、この数字からも教師の長時間勤務が今や常態化していることを伺い知ることができるでしょう。

引用:公立小学校・中学校等教員勤務実態調査研究

2、なぜ教師の残業代はほとんど出ないのか

一般企業であれば、たとえ長時間労働を強いられたとしても、「その分残業代をもらえるし…」と思うことでモチベーションを維持できる方も多いでしょう。

しかし教師の場合は、これだけの長時間労働に対してもほとんど残業代が出ず、しかもそれが特に違法というわけではありません。

一体どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。

(1)教師にも労働基準法が適用される

前提として、公務員である公立学校の教師にも基本的には労働基準法が適用されます。

そのため、8時間労働制を定めた32条、時間外労働の条件や残業手当について記された36条・37条も、その対象になってはいるのです。

(2)残業代ではなく、特例法により一律4%上乗せすることで対処された

しかし、その上で公立学校の教師には「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)が適用されており、給特法3条には以下の2点が明記されています。

  • 時間外・休日手当は支給しないこと
  • 月額給与の4%にあたる額を上乗せして支給すること

つまり、時間外・休日手当(=いわゆる残業代)が出ないことは決して違法なわけではなく、その代わりに月額給与の4%が最初から支給額に含まれているということです。

この上乗せ分の4%は「教職調整額」と呼ばれます。

昭和41年度の文部省実態調査で明らかになった月約8時間の超過勤務に相当する金額として算出されたものです。

参照:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/__icsFiles/afieldfile/2014/04/23/1265449_006.pdf

(3)教職調整額の性質

ここで気になるのが、なぜ教師にはこのような例外が適用されているのかということですが、その背景には教師という専門職に期待される自発性や創造性に加え、勤務形態にほかの公務員=一般行政職とは異なる次のような特殊性を備えている点があります。

  • 遠足や修学旅行など、学校外での教育活動がある
  • 家庭訪問や、学校外での自己研修などの教師個人の活動がある
  • 夏休みなどの長期休業期間がある

教師のこういった活動について、一般行政職と同じように厳格な時間管理を行うことは難しいのが現実です。

そのため、定時後に勤務した時間をもとに支払われる残業代を適切に計算することも難しく、時間外勤務手当制度そのものが教師の勤務形態にはなじまないと考えられました。

教職調整額にはこの問題を解決するために導入されたという経緯があるため、実際の労働時間に関わらず一律支給という形が取られているのです。

参照:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/042/siryo/attach/1249656.htm

(4)教職調整額の経緯

戦後の公務員の給与制度改革(昭和23年)によって、教師の勤務時間の測定が困難であったことなどから、教師については一般の公務員より一割程度有利に切り替えられ、教師に対しては超過勤務手当は支給されないこととされました。

しかし、実際には勤務時間を超過して働かなければならないケースが後を絶たず、全国各地で残業代の支払いを求める訴訟が頻発しました。

この流れを受けて、昭和41年に当時の文部省が教師の勤務状況を調査した結果、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)が成立しました。

給特法では、時間外勤務手当を支給しないこととし、その代わりに、給料月額の4パーセント(※)に相当する教職調整額を支給することとされました。

また、教師については原則として時間外勤務を命じないこととされ、命じる場合は、

  1. 生徒の実習に関する業務
  2. 学校行事に関する業務
  3. 教職員会議に関する業務
  4. 非常災害等のやむを得ない場合の業務

の4項目に限定(いわゆる超勤4項目)しました(公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令)。

※小・中学校教師の1週間の残業時間は平均1時間48分(約2時間)、月間にすると約8時間であることが分かり、この時間に見合う教職調整額として月給の4%という数字がはじき出されたのです。

参照:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/031/siryo/07012219/007.htm

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